光応用の知識

電子線滅菌

4.EBの発生と装置の構造

EB装置は、熱電子を加速するタイプがほとんどですが、二次電子を加速するタイプもあります。ここでは一般的な熱電子タイプのEB装置の概略を図3に示し、EB発生原理を説明します。

真空に保たれたチャンバーの中心に配置されたフィラメント(タングステン)に電流を流すことにより、加熱されて熱電子を放出します。放出された熱電子は、まずグリッドに抽出されます。
この熱電子は、ターミナルと陽極であるウインドー間の80~300kVの高電圧(加速電圧)によって光速近くまで加速され電子流となり、ウインドーの薄い箔(アルミやチタン)を通過して外界に飛び出します。(これがEB)

EBが物に照射されると制動X線が発生するので鉛等で遮蔽し、それを装置内に閉じこめて外部には漏洩しない自己遮蔽構造(セルフシールド)としています。
説明の中で出てきた各部の役割を表3にまとめました。

図3 EB装置の原理

表3 EB装置の構成部名とその役割

構成部名 役割
フィラメント 熱電子の発生源
チャンバー 高真空に保持され、ガン部を収納する容器
ターミナル フィラメント部の収納及びチャンバー内の電界の安定化
グリッド 電子を取り出すための網状の電極板電子流を制御しウインドーへ電子流を効率よく導く
ウインドー 電子流をプロセスゾーンに取り出す。窓箔によりチャンバー内の真空を保持する
真空関係の装置 チャンバー内を高真空に保つ
セルフシールド 制動X線を装置内に閉じこめ、外部に漏洩しないようにする(X線の防護)
高電圧電源(トランス) EBの加速電圧の確保とビーム電流の確保
制御盤 EB装置の操作、制御及びメンテナンス

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