光応用の知識
赤外線加熱
Ⅰ.赤外線の概要
1.熱の伝わり方
(1) 熱と温度
身近な環境において熱とは、暖かい、熱い、涼しい、冷たいというような、ものの度合いを表す尺度単位です。分子レベルでみれば、物質構成粒子(分子など)の運動(分子の熱運動)の平均エネルギーを表す尺度のことでもあります。
また、熱とは温度が異なる2つの物体が接触するとき、物体を構成している原子間、分子間の振動などの運動エネルギーが伝播することです。つまり、高い温度の物体から低い温度の物体に移動するエネルギー、それを熱といいます。
分子振動が大きい高温のものから、分子振動の小さい低温のものに振動が伝わることで熱が伝わる
分子速度が速い高温の気体分子が、分子速度の遅い低温の気体分子に衝突し、速度が加わることで熱が伝わる
図1 固体と気体 熱の伝わり方
(2) 伝導・対流・放射
熱は、伝導・対流・放射という3つの伝わり方で広がっていきます。
伝導
物体の内部を高温部から低温部へと熱が順次伝わっていくこと。結合している原子間・分子間を次々に振動などの運動エネルギーとしての伝達によって熱が伝わることをいいます。
加熱物と被加熱物を接触させ、熱伝導により熱を直接材料に伝えます
図2 伝導加熱
対流
気体や液体のような流体が熱せられると、膨張し軽くなって上へ移動し、冷たい部分が下降し入れ換わるように熱が動くことをいいます。温度が高くなれば、分子の運動範囲は広くなり、体積は膨張して密度は小さくなります。つまり、軽くなって重力と反対方向にあるいは圧力に押される方向に移動します。
空気・ガスなどを媒体として熱を伝えます
図3 対流加熱
放射
空間など赤外線をよく透過する物体内では、赤外線波長域の振動数をもった電磁波として伝わっていきます。その電磁波が物体にあたったとき、物体を構成する原子間の結合力と重さに依存する固有の振動数と適合すれば、物体の分子振動の振幅は助長され、高い熱エネルギーを保有します。赤外線加熱は、この放射の加熱方式にあたります。
空気・ガスなどを介さず、電磁波により分子を振動させ摩擦熱を発生させます。アイハロゲンヒータの加熱方式は、この放射加熱にあたります
図4 放射加熱
赤外線加熱コンテンツ
Ⅱ.アイハロゲンランプの特長
Ⅲ.アイハロゲンヒータの照射技術
Ⅳ.応用例
Ⅴ.赤外線ハロゲンランプの新規採用にあたって