技術資料
トンネル照明器具の今日と最新技術
国内営業事業部 営業技術部 中央技術設計センター
キーワード
トンネル,照明器具,HIDランプ,カウンタービーム照明方式,高効率,調光
「レディオック トンネル シリーズ」のご案内
コンパクトなボディにさまざまな工夫を施し、トンネル、アンダーパス、カルバートなどで車の安全走行を支える「レディオック トンネル シリーズ」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- レディオック トンネル シリーズ
5.今後の動向
今後も,技術的進歩による省エネルギー,省資源,小形化など計画時点におけるLCCの低減への取り組みが求められる。また,トンネル照明施設の適切な運用による維持管理費の縮減に関する要請もさらに高まるものと思われる。
5.1 光源技術の進歩
グリーン購入法では,道路照明に高効率のHIDランプである高圧ナトリウムランプが推奨されているが,トンネル照明においても,高圧ナトリウムランプのほか,長寿命で寿命末期までの光束減衰が少ないセラミックメタルハライドランプの性能向上が期待される。また,HIDランプ以外にも高周波点灯専用形蛍光ランプや無電極ランプの性能向上が進んでいる。トンネル照明に用いられる最近の光源の特性を表1に示す。
種類 | 低圧ナトリウムランプ | 両口金形高圧ナトリウムランプ | 両口金形セラミックメタルハライドランプ | 高圧ナトリウムランプ | Hfコンパクト形蛍光ランプ | 無電極ランプ | |
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ランプ形式 | NX35 | NHTD60 | NHTD110 | MTD70 | NHT360LS ~ NHT110LS | FHP45 | 50W |
ランプ光束(ℓm) | 4600 | 5000 | 10400 | 7500 | 47500 ~ 10400 | 4135 | 5000 |
ランプ効率(ℓm/W) | 131 | 83 | 95 | 107 | 132 ~ 95 | 92 | 100 |
定格寿命(h) | 9000 | 18000 | 18000 | 12000 | 24000 | 12000 | 60000 |
安定器入力電力(W) | 57 ※ | 70 | 141 ※ | 80 | 455 ~ 150 ※ | 54 ※ | 55 |
総合効率(ℓm/W) | 81 | 71 | 74 | 94 | 104 ~ 69 | 77 | 91 |
- ※上表中の安定器入力電力は,「道路・トンネル照明器材仕様書(平成16年改訂)」((社)建設電気技術協会)に記載の諸特性値による(※印なきものはメーカー値による)。
5.2 照明の制御技術(運用)
近年採用が進んでいる電子安定器に,連続調光機能を持たせ,付帯設備と組み合わせることにより,以下に示すような運用が期待される。
5.2.1 初期照度補正
初期照度補正による調光点灯を行なうことにより,照明器具の設置当初およびランプ交換当初の過剰な明るさを押さえるとともに維持費の低減を図ることができる。
5.2.2 透過率補正
トンネル内の煤煙透過率を計測できる場合には,透過率が良好な時に調光点灯をすることにより,上記と同様に維持費の低減を図ることができる。
5.2.3 入口照明の調光
現在,トンネル照明用自動調光装置には,照度方式と輝度方式が採用されている。
将来的には,従来行なわれてきた「坑口付近の照度」や「野外の輝度」を計測する方法でなく,CIE(国際照明委員会)が推奨6)7)している「等価光膜輝度」を用い,これを直接計測した結果により入口部照明を連続的に調節することで,これまでの段階調節より維持費を低減する取り組みにも期待される。
6.おわりに
トンネル照明設備は,国民共有の財産である。したがって,初期設備費の低減と維持管理費の縮減をバランスよく合わせ考え,ライフサイクル全体を通して質の高い照明設備を整備してゆくことが重要となっている。
このため,照明器具などのハードやそれらの運用手法であるソフトには,周辺技術を含む幅広い見地からの新技術の提供が不可欠であり,われわれはさまざまな工夫を凝らし,これらの開発と向上に取り組んでゆかねばならない。
参考文献
- CIE 88 2nd edition:GUIDE FOR THE LIGHTING OF ROAD TUNNELS AND UNDERPASSES, pp.6-19(2004).
- CIE 88 2nd edition:GUIDE FOR THE LIGHTING OF ROAD TUNNELS AND UNDERPASSES, pp.26-28(2004).
- 注)本稿は,照明学会誌,第91巻,第3号,pp.124-129(2007)に掲載された記事を一部改変して掲載するものである。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第16号掲載記事に基づいて作成しました。
(2007年3月12日入稿)
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