技術資料
トンネル照明器具の今日と最新技術
国内営業事業部 営業技術部 中央技術設計センター
キーワード
トンネル,照明器具,HIDランプ,カウンタービーム照明方式,高効率,調光
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- レディオック トンネル シリーズ
4.最新の照明技法
トンネル照明の技法やこれに用いる照明器具は,前項図5の照明器具の変遷に示すように,技術的進歩と社会的ニーズに応じて変化してきた。
まず,昭和30年代後半から昭和40年代には,光源を低圧ナトリウムランプとする対称照明方式の器具が用いられていた。次に,昭和50年代には,高圧ナトリウムランプが入口照明を主として採用されるようになり,平成に入ると,これに効率,寿命の向上と瞬時再点灯の技術が加わることにより,基本照明にも演色性に優れた高圧ナトリウムランプが用いられるようになった(図6)。さらに,照明器具も寿命延長とコスト縮減を目的に開発が進められ,鋼板製の板金加工であったものがステンレス製プレス加工器具が主流となってきた(図7)。
4.1 非対称照明方式
こうして,HIDランプ技術の進歩などによって,照明器具の小形化や光学的に優れた特性を有する反射鏡の開発が可能となり,最近では非対称照明方式の器具が取り入れられるようになってきた。
4.1.1 対称照明方式
従来から用いられている対称照明方式とは,隅角部に照明器具を取り付け,道路横断面に対して対称配光の照明器具を使用する照明方式で,基本照明および入口照明に用いられる(図8(a))
4.1.2 カウンタービーム照明方式
これに対し,非対称照明方式であるカウンタービーム照明方式とは,天井部または隅角部に照明器具を取り付け,走行する車両の進行方向と逆方向に照明する照明方式である(図8(b))。
この方式は,交通量の少ないトンネルの入口照明に適しており,運転者側へ高い路面輝度が得られることと障害物正面が暗くなることから,路面と障害物に高い輝度対比を得やすい特長があり,入口照明に用いられる。この方式に用いる照明器具の参考形状を図9に示す。なお,前掲図5に示すとおり,これらの器具は平成16年の器材仕様書で正式に仕様化されている。
4.1.3 プロビーム照明方式
また,プロビーム照明方式とは,天井部に照明器具を取り付け,走行する自動車の進行方向に照明する照明方式である(図8(c))。
トンネル坑口付近に存在する先行車の背面を照明することにより,先行車に対する視認性を改善した照明方式で,交通量の多いトンネルの入口照明で補足的に用いられる。
図9 カウンタービーム照明器具
4.2 片側配列方式4)
NEXCO(旧・日本道路公団)では,数年前から交通量が少ない地方の横断道路などにおいて,入口照明を車両が進入する車線のみに対して片側配列で設置することが試行されており,現在では標準施工の1つになっている。また,東海環状自動車道などでは,ロボット清掃による省力化も勘案して基本照明も片側配列にて設置されている。これらを契機に,一般道においてもトンネル照明の片側配列方式による計画が見られるようになってきた(図10)。
4.3 広スパン形トンネル照明器具
最近,照明器具を従来よりも広い取り付け間隔で設置しても,高い均斉度(明るさのむら)を確保できる広スパン形トンネル照明器具が開発された(図11)。この照明器具は,コンパクトな両口金形HIDランプを用いることで,器具を小形化するとともに,光学性能を改善したもので,LCC(ライフサイクルコスト)が低減できるほか,片側配列でも従来と同等の明るさと均斉度が確保できることもあり,採用例が増えつつある。
4.4 フレームレス形照明器具
昨年から,コスト縮減を主目的に前面ガラスの取り付け枠をなくしたフレームレスのプレス形照明器具が提案されている(図12)。この器具は,前面のガラス部分が大きいため,反射鏡を大形化することで器具効率の向上も期待できるものである。
参考文献
- 東日本高速道路(株),中日本高速道路(株),西日本高速道路(株):設計要領第七集(電気施設編)第5編トンネル照明設備,NEXCO中央研究所,pp.3-45(2006).
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