技術資料

霧環境下における照明シミュレーションソフトの開発(その1)

技術開発室 技術部 技術開発グループ
中央大学 理工学部 牧野 光則,笹田 真也

キーワード

安全,安心,霧,視線誘導灯,照明,シミュレーション

5.実験による解析

シミュレーションソフトに関しては現在,画像表示モデルをほぼ完成し,霧散乱モデルのプログラムを作成している段階である。しかし,シミュレーションソフトが完成しても,それの適否を検証する手段がない。この為,独立行政法人交通安全環境研究所の低視程実験棟を借りて,室内実験を行ない,その取得したデータを使って検証する事にした。この室内実験では,視程(霧の濃度)を変化させ,その時の輝度(対象物),水平面照度,鉛直面照度,時刻,温度を取得した。霧発生では視程を一定に設定しても,実際には霧濃度は変化する為,1秒毎のデータをパソコンに記録し,測定した時間から正確なデータを読み取った。検証結果の詳細は次号に報告するが,現時点の解析結果では,視線誘導灯は実測結果とシミュレーション結果が近似し,有効性が確認されている。以下に測定風景を示す。

図4 実験風景
霧のない,太陽光がある状況想定した実験風景

図5 視線誘導灯
霧が発生,太陽光がある状況を想定した実験風景

図6 障害物実験
霧が発生,太陽光があり,照明灯が点灯している状況を想定した実験風景

図7 実験結果例
(図5に示す実験)

6.今後の展開

今後の予定は,シミュレーションの結果と測定データの結果を検証し,より精度の高い解析ソフトの開発と,誰もが簡単に使用出来るように操作マニュアルを準備する。また,過去の実験データが残っていれば,開発したソフトで計算して再検証と実用性の確認をする。検証の結果,実用レベルでの使用が確認出来れば,実務に応用して霧環境下での見え方の予測,照明手法の検討,及び開発商品の評価等の検証に利用する。

今後の課題としては,特性は異なるが粒子として扱える煤煙に応用して,トンネル内の煤煙が発生する環境下での見え方予測への応用が挙げられる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第14号掲載記事に基づいて作成しました。
(2006年4月24日入稿)


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