技術資料

昼間用LED視線誘導灯の所要光度と設置方法に関する研究

技術開発室 技術部 技術開発グループ
情報機器事業部 事業推進部
国内営業本部 営業技術部 LCS

キーワード

視線誘導,LED,視認性,安全,安心

3.設置方法に関する実験

視線誘導標の設置方法(取付間隔,取付高さ)は,視線誘導標設置基準・同解説1)で定められている。それによれば,設置場所は「コーナー部左側の路肩に設置することを原則とする。ただし曲率半径が特に小さい場合は,右側の路肩にも設置するものとする。なお,必要に応じて中央分離帯などにも設置することができる」とし,取付高さについては「90~120cm,取付間隔は表7の数値が望ましい」としている。しかし,これらは反射式を対象としたものであり,LEDなどの自発光式については,その妥当性を確認した研究はないようである。

そこで,本実験では自発光式のLED 視線誘導灯をコーナー部に設置する場合の適切な取付間隔と取付高さを印象評価実験で明らかにすることにした。

表7 標準取付間隔
曲率半径(m) 取付間隔(m)
~50 5
51~80 7.5
81~125 10
126~180 12.5
181~245 15
246~320 17.5
321~405 20

実験は前述の所要光度を求めた場合と同じように,実フィールドで行うのが望ましいが,必要となる機材の量や,フィールドの確保の面などで難しいため,バーチャルリアリティ(以下VR)を使用した。VRを利用すれば,周囲の環境,コーナーの曲率半径,設置場所,取付間隔,取付高さが任意に設定でき,迅速に評価が行えるという利点がある。今回VRで想定する場所は,昼間の山間部コーナーとし,複数の曲率半径に取付間隔,取付高さ,設置場所を変えてLED視線誘導灯を設置する。

3.1 目的

昼間時の山間部コーナーにおいて,LED視線誘導灯の適切な設置方法(取付間隔,取付高さ)を,VRの動画像を用いた印象評価実験により把握する。

3.2 評価刺激

評価刺激は,VRにて直線とコーナーで構成される山間部道路の動画像とし,視線誘導灯の位置を変えて設置する。

表8の基本設定条件に示すように,車線は山間部であることから,片側1車線とし,コーナーの曲率半径を急カーブを想定した60Rと100Rの2種類,取付間隔は視線誘導標設置基準で示されている5,10,20m の3種類,取付高さを0.25,1.2mの2種類とした。なお,取付高さの0.25mは同基準で示されてはいないが,路肩に直接敷設する方法として普及している理由から本実験で採用することにした。設置場所は,通常考えられる「左右の路肩」,「左は路肩で右は中央線上」,「左の路肩のみ」,参考用の「設置なし」の4種類とした(図9~図12)。また,進入速度は道路構造令3)に従ってコーナーの曲率半径ごとに設定した(表9)。

これらにより評価刺激を合計13パターン作成した(表10)。

表8 基本設定条件
項目 条件
環境 昼間,山間部コーナ
道路構造 片側1車線(対向2車線),3.5m ×2+路肩1m
視線高さ 運転状態1.5m
被験者 10名(運転免許所有,両眼矯正視力1.0以上)
LED 橙色で15×15cmの正方形
表9 視線誘導灯の設置条件と道路構造
項目 条件
取付高さ 0.25m,1.2m
設置場所
  1. 左右の路肩(図9)
  2. 左は路肩で右は中央線上(図10)
  3. 左の路肩のみ(図11)
  4. 設置なし(図12)
取付間隔 5m,10m,20m
コーナ形状 R60,R100 ※左カーブのみ
速度
R60
進入60km/h,カーブ内40km/h
R100
進入60km/h,カーブ内50km/h

図9 LED 視線誘導灯を左右の路肩に設置した例

図10 LED 視線誘導灯を左の路肩とセンターラインに設置した例

図11 LED 視線誘導灯を左の路肩だけに設置した例

表10 VR画像(評価刺激)の種類
画像番号 道路構造 LED 設置場所 取付高さ(m) 取付間隔(m)
A R60 左(路肩),右(路肩) 1.2 5
B 10
C 20
D R100 5
E 10
F 20
G R60 なし なし なし
H 左(路肩),右(路肩) 0.25 5
I 1.2
J 左(路肩),右(中央線) 0.25
K 1.2
L 左(路肩)のみ 0.25
M 1.2

図12 LED視線誘導灯設置なし


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