施設報告
大久後トンネルの照明設備 - 広スパン対応型トンネル照明器具の納入事例 -
国内営業事業部 西日本営業部 中部技術設計センター
国内営業事業部 西日本営業部 名古屋営業所
キーワード
大久後トンネル,広スパン,トンネル照明,小型・軽量,均斉度,視認性,コスト縮減
2.照明設計 (続き)
2.4 器具・光源の選定
トンネルの基本照明は,トンネル内を走行する運転者が前方の障害物を視認するのに必要な,設計速度に応じた最低限の明るさを与えるための照明とし,トンネル全長に亘って設置するものであり,器具・光源の選定要件としては照明効率が高く経済的であり,照明効果が充分に得られること,さらに維持管理に際してはランプの入手や交換が容易であることが必要となる。
これらのことを踏まえ,以下の3種類の照明器具及び光源の組み合わせについて検討を行った。
- 低圧ナトリウムランプ 35W(プレス型)
- コンパクト蛍光ランプ 45W( 〃 )
- 高圧ナトリウムランプ 60W(広スパン対応型)
これらの光源は光束,効率,寿命など光源として具備すべき特性が安定しており,トンネルという使用場所の環境に適合している。そこで,これら3種類の組み合わせにおいて,経済性(照明率),照明効果(均斉度),見え方などについて検討した結果,基本照明には高圧ナトリウムランプ60W+広スパン対応型トンネル照明器具を,入口照明には,高ワットのランプが必要になることから,高圧ナトリウムランプ+一般のプレス型トンネル照明器具を採用した。
尚,比較に当っては,いずれの器具・光源の組み合わせについても,まず最大照明率を得られるトンネル照明器具の取り付け角度を選定し,その照明率における最大取付間隔を決めその取付間隔における均斉度を求め基準値をクリアするかどうかを確認し,クリアしなければ取り付け角度を変更し,変更後の照明率により最大取付間隔・均斉度の確認という作業を繰り返し行い,各器具・光源の組み合わせによる最大取付間隔を決定した。
表2に経済性,また図5に照明効果の比較結果を示す。
10年間のライフサイクルコストの比較を行った結果,高圧ナトリウムランプ60W(NHTD60)+広スパン対応型照明器具の組み合わせが最も経済的であり,低圧ナトリウムランプ(NX35)より31%,ランプ単価の安いコンパクト蛍光ランプ(FHP45)よりも約25%の費用の削減効果が得られることが分かった。また,初期設備費においても低圧ナトリウムランプより27%,コンパクト蛍光ランプよりも約31%安くなるという結果を得た。
① | ② | ③ | |||||
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トンネル照明器具仕様 | ステンレス製 プレス加工器具 |
ステンレス製 プレス加工器具 |
ステンレス製 プレス加工器具 |
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比較区分 | 基本照明:NX35W | 基本照明:FHP45W | 基本照明:NHTD60 | ||||
項目 | 単位 | 基本照明 | 入口照明 | 基本照明 | 入口照明 | 基本照明 | 入口照明 |
ランプの形式 | NX35 | NHT110 ~ 180LS | FHP45W | NHT110 ~ 180LS | NHTD60 | NHT110 ~ 220LS | |
灯具の形式 | KPL035B | KPH110B ~ 180B | KPFHP0451B | KPH110B ~ 180B | KPD060BL | KPH110B ~ 220B | |
灯具数 | 台 | 76 | 34 | 76 | 34 | 48 | 30 |
初設備費 | 円 | 7,930,600 | 3,777,740 | 8,607,000 | 3,777,740 | 5,205,600 | 3,347,500 |
初設備費計 | 円 | 11,708,340 | 12,384,740 | 8,553,100 | |||
% | 100 | 106 | 73 | ||||
年間固定費 | 円 | 746,700 | 339,666 | 844,740 | 339,666 | 485,520 | 300,642 |
年間固定費計 | 円 | 1,086,366 | 1,184,406 | 786,162 | |||
% | 100 | 109 | 72 | ||||
年間電力費 | 円 | 547,648 | 221,302 | 517,404 | 221,302 | 484,120 | 207,119 |
年間電力費計 | 円 | 768,950 | 738,706 | 691,239 | |||
% | 100 | 96 | 90 | ||||
年間保守費 | 円 | 2,765,920 | 907,200 | 2,232,640 | 907,200 | 1,513,020 | 801,150 |
年間保守費計 | 円 | 3,673,120 | 3,139,840 | 2,314,170 | |||
% | 100 | 85 | 63 | ||||
年間運転費 (電力費+保守費) |
円 | 3,313,568 | 1,128,502 | 2,750,044 | 1,128,502 | 1,997,140 | 1,008,269 |
年間運転費計 | 円 | 4,442,070 | 3,878,546 | 3,005,409 | |||
% | 100 | 87 | 68 | ||||
年間照明費 (年間固定費+年間運転費) |
円 | 4,060,268 | 1,468,168 | 3,594,784 | 1,468,168 | 2,482,660 | 1,308,911 |
年間照明費計 | 円 | 5,528,436 | 5,062,952 | 3,791,571 | |||
% | 100 | 92 | 69 |
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