施設報告

泉の杜・清水緑地の照明設備 - ホタル保護灯の納入事例 -

国内営業事業部 中部技術設計センター
国内営業事業部 名古屋営業所

キーワード

清水緑地,アプローチライト,ホタル保護灯,フィルター

2. 照明設計

ホタルは“満月の夜にはあまり飛ばない”など明かりを嫌い,まして,明るい人工光が多いと飛ぼうとせず,発光や繁殖ができなくなる。人工光はホタルの生息に少なからずとも影響を与えている。

光がホタルに与える影響について調査を行った結果,光色の違いによって大きな差が出ることがわかった。光源の種類で比較すると,蛍光灯は草陰でホタルが20~25匹が発光する程度だったが,高圧ナトリウムランプの下では80匹が発光し,水銀灯では100m先にあっても全くホタルは飛んでいなかった。ホタルが比較的“気にしない色”の光は暖色系の光で,オレンジ色の光色を持つ高圧ナトリウムランプであり,ホタルにとって最も影響が少ないようである。

この結果に加え,人間の安全に必要なJIS道路基準等も考慮すると,ホタルの生息において望ましい照明灯は,以下の条件を備えたものである。

図3 ホタル保護灯の点灯状況

  1. 路面上の水平面照度はおよそ0.3~1ルクス
    光源の光色は,オレンジ色が望ましい
  2. わずかな明るさでもホタルに影響を与えるので,出来るだけ照明の目的以外に光が漏れないよう配光を考慮したもの

これらのことを考慮し,今回,光源には他のアプローチライトに合わせコンパクト蛍光ランプ「FDL18W(電球色)」を使用し,ホタルのシーズン(4月~7月)には,灯具に深めのフードとオレンジ色のフィルターを取り付け,ホタルへの影響を少なくするとともに歩道周辺以外に光が漏れないよう配光を工夫した(図3)。

設計時の配置図および照度分布図を図4に示し,ホタル保護灯の昼夜の外観を図5,6に示す。

図6 ホタル保護灯の夜景

図5 ホタル保護灯の昼景


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。