UVカット形メタルハライドランプ
紫外線による商品の変退色を抑制
照射物の損傷に影響を与える波長域をカットしているため、一般のメタルハライドランプと比較し、変退色など照射物への影響を低減しています。
なぜ変退色を低減できるの?
照射物を光放射から保護するには、「光化学反応」「温度上昇」および「湿度の変化」を考慮しなければなりません。これらは主に可視光、紫外線、赤外線の「放射量」とそれにさらされている時間により変化します。
この中で光化学反応による損傷は、紫外線および可視光が展示物に吸収されることにより生じます。図は損傷の波長特性を示した一例で、300~~380nmの紫外線が損傷原因の約95%となっています。
UVカット形メタルハライドランプは380nm以下の波長の約90%をカットしているため、この光化学反応による損傷を低減させることができます。
照射物への変退色の影響の度合いを知る方法は?
照射物への影響を知る方法として損傷係数(米国商務省標準局:N.B.S., 現National Institute of Standard Technology)があります。損傷係数は、色紙の変退色の程度を数値化したもので、一般に、この値が小さい光源ほど照射物への影響が少なくなります。
各光源において変退色が生じるまでの時間はわかりますか?
変退色が生じるまでの時間は、照射物の種類、照度、光源の損傷係数により下式により求められます。
照明時間=最小のM.P.F/照度×白色蛍光ランプの損傷係数/求める光源の損傷係数
※M.P.F:最小可知退色(Minimum Perceptible Fading)。
かろうじて変退色を生じていることを識別しうる程度の変退色。値はℓx時で示す。
サンプル | M.P.F(白色蛍光ランプ) |
---|---|
85%毛・15%ナイロン | 96万ℓx時 |
綿 | 100~1000万ℓx時 |
絹 | 100~300万ℓx時 |
レイヨン | 100~1000万ℓx時 |
90%ナイロン・10%絹 | 400~900万ℓx時 |
例1
一般形メタルハライドランプで照明した場合、
変退色が認められるまでの時間
(照度1000ℓx、85%毛・15%ナイロンの場合)
照明時間=96万ℓx時/1000ℓx×0.022/0.053=398(時間)
例2
UVカット形メタルハライドランプ(セラルクス3500K)で照明した場合、
変退色が認められるまでの時間
(照度1000ℓx、85%毛・15%ナイロンの場合)
照明時間=96万ℓx時/1000ℓx×0.022/0.015=1408(時間)