HID光源の故障診断と対策

HIDランプの不具合をチェックするには、すべての動作状態をチェックする必要があります。特に故障診断をする場合、安定器を含めた回路を総合的にチェックし、無負荷時、短絡時、点灯時の各状態を検査することが大切です。
HIDランプは、点灯時間とともに徐々に、電極が消耗したり、発光管の封入物の反応により、ランプ特性が変化していきます。主な故障とその対策、主な寿命末期現象は、次のとおりです。

HIDランプの主な故障とその対策

HIDランプの主な寿命末期現象

1.点灯しない、2.ついたり消えたり、3.明るくならない

修理、安定器交換、及び電源電圧適正化などの処理は、電気工事士の資格が必要です。お買い上げの販売店(工事店)へご依頼ください。

ランプが点灯しない

原因 チェック方法 処理
  • ランプ取付け不完全。
  • ランプ自体の不良。
  • 器具・ソケット・配線不良。
  • (※)ランプをソケットに十分ねじ込む。
  • ランプを交換してみる。
  • ソケット部の配線やリード線の劣化の有無を調べる。
  • ランプ交換。
  • 不具合部分のチェック。
  • 安定器の不適合又は不良。
  • (※)安定器の二次無負荷電圧・二次短絡電流が正常かチェックする。
  • 安定器交換。
  • 誤配線、あるいは接続不良。
  • (※)電源からランプまでの配線を調べる。
  • 誤配線あるいは接続不良個所を修理。
  • 配線長の長すぎ。(パルス減衰)
  • (※)(高圧パルス発生安定器の場合)安定器とランプの配線長を調べる。
  • 配線長を指定範囲内とする。
  • 発光管リーク・溶接外れなどのランプ不良。
  • 正常な安定器で点灯しないことを確認する。
  • ランプ交換。
  • 安定器の寿命。
  • 安定器設置期間を確認する。(標準使用状態で8~10年が寿命)
  • 安定器交換。
  • 安定器・ブレーカ周囲の湿度が高い。
  • 器具、安定器、ブレーカの絶縁不良を調べる。
  • 防湿安定器あるいは防湿箱入りブレーカに交換する。
  • 電源(無電圧・スイッチ外れ・ヒューズ切れなど)の不良、ブレーカの動作不良。
  • 電源全般について調べる。
  • 故障個所を修理。
  • ヒューズ・ブレーカの容量不足。
  • (ヒューズの溶断やブレーカが落ちる)安定器の始動時・無負荷時の入力電流と容量が適合しているか確認する。
  • 適正容量のヒューズ・ブレーカに交換。
  • 電源電圧の低過ぎ。
  • 電源電圧が適正範囲か調べる。
  • 電源電圧を適正化するか安定器を交換する。

ちらつきや点滅をくり返す

原因 チェック方法 処理
  • ランプ電圧が高い。
  • (※)ランプ電圧をチェックする。特に高圧ナトリウムランプは器具との不適合が考えられる。
  • ランプか器具のどちらかを交換する。
  • 安定器不良、又は安定器不適合。
  • (※)安定器の二次電圧又は二次短絡電流を調べる。
  • 安定器交換。
  • 点滅器の取付け位置の不具合。
  • (※)不必要な外部光を受けていないか点滅器の位置を調べる。
  • 点滅器を移動するか向きを変える。
  • あるいは遮光カバーを設ける。
  • 電源電圧が低過ぎる。
  • 電源電圧が適正範囲か調べる。
  • 電源電圧を適正化するか安定器を交換する。
  • 電源電圧の変動が激しい。
  • 電源電圧の激しい変動や、瞬間的な低下がないか調べる。
  • 電源変動を少なくするか、適正な安定器に交換する。

点灯はするが明るくならない

原因 チェック方法 処理
  • 安定器の不適合。
  • (※)ランプの種類と安定器の適合性を調べる。
  • 適合安定器に交換する。
  • ランプの点灯方向が不適合。
  • (※)指定された点灯方向以外で使用されていないか調べる。
  • ランプ交換。
  • 電源電圧が低い。
  • 電源電圧が適正範囲か調べる。
  • 電源変動を少なくする。
  • 器具・ランプの汚れがひどい。
  • 使用環境を調べる。
  • ランプ・器具の清掃。

短時間で点灯しなくなる

原因 チェック方法 処理
  • 安定器の電圧・大きさ(電力)・周波数の違い。
  • (※)使用安定器が正規のものか調べる。
  • 安定器交換。
  • ランプの点灯方向が不適合。
  • (※)指定された点灯方向以外で使用されていないか調べる。
  • ランプ交換。
  • 二次側配線長が長すぎる。
  • (※)指定された配線長の範囲内であるか調べる。
  • 取付場所の再検討。
  • ランプ外管リーク、発光管不良。
  • 取扱いや輪送時の外管リークや破損がないか調べる。
  • ランプ交換。
  • 電源電圧が低い、又は高い。
  • 電源電圧が適正範囲か調べる。
  • 電源電圧を適正化するか安定器を交換する。
  • 安定器不良。
  • 安定器の適合性を調べる。
  • 二次電圧と二次短絡電流が正常の範囲内かを調べる。
  • 安定器交換。
  • 周囲温度が高過ぎる。
  • 周囲温度を調べる。
  • 取付場所の再検討。
  • 通風をよくする。

注意

  1. ※印は設備初期か、ランプ・安定器の交換時、あるいは設備改修時に発生する故障の原因です。
  2. 高演色形メタルハライドランプなどの専用安定器タイプの場合、高圧パルスが出るものがあります。
    二次無負荷電圧の測定には十分にご注意ください(パルスによりメータが壊れます)。

備考

  1. 使用安定器の定格入力電圧、周波数、適合ランプの定格ランプ電力が実際の使用状態に一致している必要があります。
  2. 点灯しないランプは、別の器具・安定器で点灯確認し、回路故障かランプ故障かの判断を最初に行ってください。安定器故障(レイヤショート)で不点になっている場合は、新しいランプを取付けても、すぐに不点(破損)となります。
  3. テスタで安定器の二次無負荷電圧を測定する場合、銘板記載値あるいはカタログ発表値の±10%以内となります。
  4. パルス始動式安定器の二次無負荷電圧をテスタで測定する場合は、テスタを保護するため0.1~0.2μF(定格入力電圧500V以上)程度のコンデンサをテスタ棒に並列接続してから測定してください。
  5. 既設水銀灯設備にパルスを発生するランプを取付けた場合、ランプソケットの汚れや環境、使用年数などの状態によっては、パルスによりランプソケットが絶縁低下することも考えられます。
  6. セラルクス・ハイラックス用電子安定器は、温度スイッチを内蔵しており、ランプ電圧が定格入力電圧の半分(40~50V)のとき、又は安定器の周囲温度が50℃以上のときに保護回路として温度スイッチが働きます。

照明器具の寿命とリニューアルのおすすめ

照明器具には寿命があります。設置して約10年経つと、外観に異常がなくても内部の劣化(安定器、電線、ソケットなどの電気絶縁物の劣化)は進行しています。点検・交換をしてください。