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2023/07/05
当てると物の性質が変わる、電子線(EB)のチカラ
電子線(EB)を活用して生まれる新しい価値 ほか
こんにちは。岩崎電気です。
ほとんどの地域で本格的な梅雨明けはこれからのようですが
梅雨の合間の晴れ模様も夏本番といったような暑さです。
お祭りや花火大会も数年ぶりに開催するところが多く、
今年の夏は盛り上がりそうですね。
今回は、当てると物の性質が変わる電子線(EB)について、ご紹介します。
目次
当てると物の性質が変わる、電子線(EB)のチカラ
みなさんは、「電子線(Electron Beam、以下EB)」という言葉をご存じでしょうか?
EBは、エネルギー線を照射することで
高度な殺菌や材料の改質(新しい特性の追加)などを行うことができる技術です。
“ビームを当てると、新しい能力が加わる”と聞くと
なんだかゲームや漫画の世界のように聞こえますよね。
今回は医療・半導体・材料科学など多くの分野で活用されているEBについてご紹介します。
EBを使って耐熱性をアップ
下記は2つのゴム状素材の片方だけEBを照射して、
庫内の温度を200度に上げたときの様子です。
左はEB照射していない素材、右はEB照射した素材です。
左は10秒程度で伸びてしまいますが、右側は変わらず維持されています。
この2つ、素材としては全く同じものが使用されています。
違いは、数秒間のEB照射が行われているかどうか、ただそれだけです。
このように対象物にEBを当てるだけで、、
耐熱性が高まったり消臭機能が加わったり、新たな特性を追加することができるんです。
[光技術Tips]
電子線(EB)を活用して生まれる新しい価値
先述のゴム状素材は、
技術的に言うと「架橋」というEBの働きで耐熱性が強化された事例です。
このようにEBは、くらしをとりまく多彩な素材のさまざまな可能性を引き出します。
そのEBの働きは主に、
「架橋」に加えて「重合」・「グラフト重合」・「滅菌」という4つの区分があります。
架橋 | 【機能アップ】 EBが高分子材料に照射されると、化学結合が生じ、分子間に「橋」を形成する現象です。この結果、材料の強度、耐熱性、耐化学性などの機能がアップします。 |
---|---|
重合 | 【キュアリング】 小さな分子(モノマー)をつなげ、高分子のポリマーを形成します。高品質な塗料や接着剤の硬化に使用されます。 |
グラフト重合 | 【機能追加】 既存の高分子鎖に新たな分子を結合させます。グラフトとは接ぎ木の意味です。この結果、既存の材料の良さを残したまま新たな機能を追加できます。 |
滅菌 | 【EB滅菌】 EBは微生物のDNAを破壊し、細菌やウイルスを無害化します。化学薬品を使わないので薬品残留の心配がなく、熱に弱い素材にも利用できます。滅菌とは殺菌の中でも最高レベルの処理です。 |
こうした働きを有効活用し、さまざまな高機能素材や安全性の高い医療器具などが開発・製造されています。
脱炭素社会に向けたEB活用
温暖化が進む昨今、脱酸素社会に向けて2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルな取組みが推奨されています。
EBはそんな取組みにも優れた一面を持ち合わせています。
たとえば分子の科学的作用「架橋」・「重合」で物質を硬める“硬化”のプロセス。
塗料に対して“硬化”を行う際に従来の「熱硬化方式」では、
エネルギーを大量に必要とするため、二酸化炭素が大量に発生していました。
それが「EB硬化方式」を用いてEBの照射で「硬化」させることで、
エネルギー消費量は「熱硬化方式」の50分の1まで減少。
二酸化炭素排出量の削減につながっています。
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編集後記
7月7日は七夕。
ハロウィンにはカボチャ、お正月にはおせち料理と
イベントにはそれぞれ「行事食」と呼ばれる定番の食べ物があります。
七夕ではそうめんが行事食となっています。
諸説ありますが、そうめんを織り糸や天の川に見立てたという由来があります。
この季節にもピッタリのメニューですね。
梅雨空が続いていますが、星が見えそうな夜は、
そうめんを食べながら夜空を眺めるのもいいですね。
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