創造人×話

光の入り方でさまざまな表情を見せる小さなガラスの中で輝きを放つ宇宙を感じていただけると嬉しいです。

戸水 賢志さん株式会社Plus Alpha代表取締役/アーティスト

写真集の表紙にも使用した代表作 SpaceGlass/2015

日本だけではなく、海外からの問合せも多いとお聞きしましたが、何かきっかけがあったのですか?

確かに海外からの問合せも多く、現在は販売サイトのウェブ会員も日本の他に世界120ヶ国に及んでいます。2017年にアメリカの大手ニュースサイト「INSIDER」のFacebookで動画を掲載していただいた際には、5日間で1000万回を超え、現在では2000万回に迫る再生数になっていますので、こうしたメディア掲載も私の作品を知っていただけるきっかけの一因になったのではないかとありがたく思っています。

さまざまな角度や光の入り方で色や見え方が変わる「宇宙ガラス」は照明も大事な要素のひとつなのではないでしょうか。

光の当て方でさまざまな表情を見せる宇宙ガラス

いろいろな角度から見た時に色合いや見え方が変化することを特長としている「宇宙ガラス」という作品にとって、光は命と言ってもいいほど重要な要素と言えます。上から、後ろからなど光の当て方によっても見え方が変わりますし、太陽光はもちろん、蛍光灯や白熱灯、LEDなど照明の違いによっても全く異なる表情を見せてくれるのです。

「宇宙ガラス」を写真に撮る時に、ガラスという素材は映り込みがあるので難しいということを念頭に置いて、もっと手軽に撮影できないかと考え、演色性の高い特注ライトをつくるなど、照明にはかなりのこだわりを持っています。展示会でのショーケースも、作品を多灯のLEDではなく1灯で照らして映り込みを抑え、ガラスの中が綺麗に見えるように照明器具を持参するなど、作品の魅力をより効果的に伝えられる光環境づくりに努めています。

螺旋の色や線の強弱により宇宙空間の壮大さを表現した作品
2つのオパールを使用し惑星と衛星を表現した作品
惑星が吸い込まれていく「動き」を色と形で表現した作品

作品づくりの喜びについて、また、今後の抱負をお聞かせください。

私の作品を購入してくださった方がそれぞれのイメージで写真に撮って送ってくださったり、SNSにアップされていたりするのを見るととても嬉しく思い、作品を通して人とのつながりを感じることができることにいつも喜びを感じています。これからも「宇宙ガラス」をつくり続けていくとともに、今後の抱負としては、自分がデザインしたり考えたりしたアイデアを生かしながら、他の技術を持っている職人さんや、ものをつくっている人、企業の方々と協力して新しいものづくりに挑戦したいと考えています。

2017年に刊行された「手のひらの宇宙 宇宙ガラス ビジュアルブック」写真集
Jellyfish/2011

異なるジャンルのものを組み合わせることによって、今までにない価値を見出せるのではないかと思っていて、たとえばガラスと漆とのコラボレートによる作品づくりに取り組んでいます。日本の伝統文化として歴史がある漆は、和風のイメージが強いかと思いますが、若い人でも身に着けやすいアクセサリーを提供したいと考え、ガラスの内側にさまざまな色の漆を塗ったピアスの試作品をつくりました。赤や黒をイメージされる方が多い漆は、実はいろいろな色がつくれますし、時間とともにその色味が変わっていくという特性も面白く、今はガラスに漆を塗る技術があるということですので、変化しないガラスと変化する漆を組み合わせることで、新しいものづくりを展開していきたいと思っています。

ある分野で専門的な知識を持つ人と人、人と企業を繋ぐことで新たな可能性が広がり、日本のものづくりのこだわりを世界へ向けて発信していけたら素晴らしいのではないかと考えています。

戸水 賢志(とみず さとし)

1980年
神奈川県生まれ。
2008年 5月
耐熱ガラスのアクセサリーと出会い、その道を歩み始める。
2015年 12月
J-WAVEアトリエ・ノヴァDesign Award大賞受賞。
2016年 1月
株式会社Plus Alpha設立。
2016年
アーティストAimer with chelly(EGOIST)の曲(ninelie)のミュージックビデオに宇宙ガラスが起用される。
2018年
LUNA SEA、X JAPANのギタリストとして活動しているSUGIZO氏のソロベストアルバム(COSMOSCAPEⅡ)のジャケットに宇宙ガラスが起用される。

その他、TVなどのメディアに多数出演。