技術資料
セラルクス®発光管内封入添加物の精密分析
研究開発部 光技術基礎研究室
キーワード
セラミックメタルハライドランプ,金属ハロゲン化物,誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES),原子吸光光度計(AA)
3.分析事例
2.金属ハロゲン化物精密分析方法に準じて,TmI₃,CeI₃,TlI,CaI₂,NaIの5成分からなるペレットの定量分析を行い,その収率を求めた。
3.1 分析操作
分析操作のフローチャートを図6に示す。
3.2 測定条件
3.2.1 ICP発光分光法の測定条件
各元素の測定波長と測定条件を検討した結果を表2,表3に示す。
元素 | 測定波長(nm) |
---|---|
Tm | 376.191 |
Ce | 413.38 |
Tl | 276.787 |
Ca | 422.673 |
条件 | 設定値 |
---|---|
積算回数 | 2回 |
走査速度 | 40nm/min. |
積分時間 | 5sec. |
積分回数 | 5回 |
RFパワー | 1.2~1.3kW |
測光高さ | 10.3mm |
キャリヤーガス流量 | 0.5ℓ/min. |
3.2.2 原子吸光光度法の測定条件
Na量の測定波長と測定条件を検討した結果を表4,表5に示す。
元素 | 測定波長(nm) |
---|---|
Na | 589.59 |
条件 | 設定値 |
---|---|
バーナー高さ | 10mm |
バーナー角度 | 45° |
燃料ガス流量 | 2.4ℓ/min. |
助燃ガス流量 | 17.0ℓ/min. |
スリット幅 | 0.50nm |
HCL電流 | 10mA |
レスポンス | 1.0sec. |
繰返し測定 | 5回 |
積分時間 | 5sec. |
3.3 測定結果
- 各元素の標準溶液添加量と発光強度(または吸光度)の関係を図7に示す。
- 収率を式2によって算出し,その結果を表6に示す。
成分 | TmI₃ | CeI₃ | TlI | CaI₂ | NaI |
---|---|---|---|---|---|
収率(%) | 99.7 | 100.4 | 99.7 | 99.9 | 100.7 |
図7 各元素の標準添加法による検量線
4.まとめ
- 複数の金属よう化物からなるペレットの各成分量を化学分析手法により,各金属元素を精密に定量することが可能となった。
- 不活性ガス雰囲気での秤量とアンプル管への封入による潮解性対策,アンプル管のテフロンチューブ内への封入による試料飛散とコンタミネーション対策により,サンプリング精度が向上した。
- 塩素水の添加による分解・溶解時に生成する(I₂)の除去対策により,測定精度が向上した。
- 測定時の分析装置の各種条件設定により,測定精度が向上した。
今後,本手法を基盤として他品種ペレットへ応用展開して行き,工程管理やランプ開発への基礎データ取得のために活用していく予定である。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第25号掲載記事に基づいて作成しました。
(2011年12月2日入稿)
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