技術資料
配光可変形セード(SAW415・SAW713)
株式会社アイ・ライティング・システム 機器技術部 第一機器技術課
キーワード
配光可変形セード,高効率,省エネ,セード,配光可変,照度の明暗差,FECセラルクスエース™
「配光可変形セード・ホルダ」のご案内
1種類のセードで広角タイプ・中角タイプ・狭角タイプの3種類の配光制御が可能な「配光可変形セード・ホルダ」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- 配光可変形セード・ホルダ
3.特長・機能
3.1 高効率
拡散型ランプ用セードは設計当初から拡散型ランプ使用を前提として開発されたため,透明型ランプを装着すると,被照射面に発生する照度の明暗差が大きくなるため使用することができない。しかし,拡散型ランプは,透明型ランプと比較した場合,照明率が落ちてしまうという問題があり,それを解決した商品がSAW415である。
本商品はSAW414と同様,透明型ランプ使用を前提として開発されたため,広照形,中照形,狭照形のいずれの場合においても高い照明率を実現することができた。
例えば,SAW413とFECマルチハイエースH400W拡散型の組み合わせと,SAW415とFECセラルクスエース360W透明型の組み合わせとを比較した場合,約8%の照明効率アップを実現する。さらに,SAW414とFECセラルクスエース360W透明型の組み合わせと比較した場合は,ほぼ同等の照明率を実現する。一方,SAW713は透明型メタルハライドランプと組み合わせることにより,SAW712と拡散型メタルハライドランプの組み合わせとの比較において約6%の照明効率アップを実現する。(なお,照明効率は,照明する空間の大きさや形状により多少変化する。)
3.2 配光特性
配光可変セード用ホルダとの組み合わせにより,一つの反射鏡で広照形・中照形・狭照形の配光が実現可能である。代表例としてSAW415の配光曲線を図3に,各配光における性能を表2に示す。
B/H | 照明率(%) | 器具効率(%) | |
---|---|---|---|
広照形 | 1.6 | 66 | 80.5 |
中照形 | 1.3 | 67 | 80.3 |
狭照形 | 0.75 | 68 | 80.0 |
透明型ランプの使用を前提として設計されたSAW414・214の商品化によって,照度の明暗差が大きくなるという問題が改善されたため,透明型ランプによる最適提案を推進してきたが,近年,低ワットクラスの透明型セラルクス®が順次開発・発売され,SAW214と透明型セラルクス®150Wの組み合わせの要求が増していた。
しかしその組み合わせでは,大きな照度の明暗差が発生した。これは,SAW414・214の反射鏡を構成する一つ一つの面が大きいため,ランプから放射される光束の配分が十分になされず,さらに曲面で構成されているため光が集光するからである。低ワットになるとランプ発光管の大きさがより小さくなるため,その傾向は顕著に現れる。
本商品の反射面は目標配光になるように細分化され,さらに一つ一つの面は光が集光しないように平面になっているため,透明型ランプ,特に低ワットの透明型ランプにおいて,被照射面における明暗差を低減させることが実現できた。
3.3 配光可変
本商品は配光可変形セード用ホルダと組み合わせることで広照形,中照形,狭照形の配光が実現できる。図4に配光可変形セード用ホルダを示す。
目的の配光の位置に目盛りを合わせると,図5のようにランプ位置が動くため配光が可変し,表2のような配光性能となる。なお,ランプがセードの開口径に近づくほど広照形となり,ホルダ側に近づくほど狭照形となる。図6は270W~500Wクラスのランプにおいて広照形となる位置である。
3.4 省エネ
照明効率の高い新形セード「SAW415」と高効率ランプ「FECセラルクスエース(180W)」との組み合わせと従来セード「SAW413」と水銀ランプ(400W)の組み合わせを比較した場合,1年間の電気代を約56%削減※でき,大幅な省エネルギーを実現する。これらの例示比較を視覚的にアピールするイラストを図7に示す。
※広さ,器具取付高さなど設置条件により異なります。
3.5 オプション
反射鏡の開口径が従来と同じであるため既存のアクセサリがそのまま適合する。また,既設のホルダにも本セードが取り付けられるように配光可変セード用可変アダプタ(F415)も同時発売している。
3.6 用途
- リニューアル施設(全面改修・部分改修)
- 屋内体育館用照明
- 一般工場用照明
- 店舗用照明
- 植物育成用照明
3.7 その他発売予定の商品
第1弾として本商品以外に配光可変形セード用HB(安定器併置形器具),配光可変形クラークナインを発売していく予定である。
4.おわりに
今回,高天井用照明器具における全面リニューアル第1弾とし高性能のセードを開発そして発売することができた。
セードの生産数は年々減少傾向にあるが,配光可変形セード用ホルダの投入により商品ラインナップが他社並みとなるため減少傾向を抑えることができ,さらに性能の優れた本商品と組み合わせることで他社以上の商品ラインナップとなるため,今以上の売り上げが期待できると考えている。
セードは多岐に渡って使われており,全面的に変えていくには多大な時間及び労力が必要である。しかし,他部門と連携を取り,効果的に業務を進め,2年間で全面的リニューアルを完成させていきたいと考えている。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第18号掲載記事に基づいて作成しました。
(2008年6月5日入稿)
関連情報
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