技術資料
電子式安定器によるメタルハライドランプの調光
- 矩形波点灯調光によるランプ寿命の検証 -
株式会社アイ・ライティング・システム 電子回路技術部
キーワード
電子式安定器,メタルハライドランプ,調光,矩形波点灯,ランプ寿命
3.調光点灯でのランプ寿命について
電子式安定器によるメタルハライドランプの調光点灯が可能であることは前述の通りであるが,ランプの調光特性や調光使用時の寿命については未確認であった。
今回,400W石英管メタルハライドランプの調光点灯における寿命試験を行なった。
3.1 調光特性
400Wの石英管メタルハライドランプを電子式安定器で調光した時の演色性(Ra),色温度(K),ランプ電力(W)の変化は図5の通りである。調光していくと色温度は上がり,演色性は緩やかに下がる傾向にある。調光率50%でのランプ電力は約65%となる。また,過度な調光は演色性や色温度が大きく損なわれることになるため注意が必要である。なお,ここでいう,調光率とはランプ光束の変化率である。
3.2 寿命試験
電子式安定器で100%点灯,70%調光点灯,100%-40%調光繰返し点灯,および磁気回路式安定器で100%点灯の条件にて各4台ずつ200V商用電源に接続して,図7,図8のサイクルで試験を行なった。
12,000時間点灯した結果を図6に示す。石英管メタルハライドランプでは,調光点灯も含めて電子式安定器で点灯した方が磁気回路式安定器で点灯するより光束維持率が良いという結果となった。
この結果は,調光しても磁気回路式安定器に比べ寿命が短くならないことを表している。
4.おわりに
メタルハライドランプの調光について,今まで未確認であった調光特性とランプ寿命を検証した。
今回の結果から,評価した400W石英管メタルハライドランプの調光範囲としては大きく演色性の損なわれない50%調光が適当であると考えられる。また,電子式安定器で調光を行なっても短寿命にならず問題無く使用できることが確認できた。このことは他の種類のメタルハライドランプに対しても期待できる。
注意点としては,調光による特性の変化はランプにより異なるため,それぞれに対し適正調光範囲を確認する必要がある。今後,セラミック管メタルハライドランプについても調光特性の確認と寿命試験を進めていく。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第13号掲載記事に基づいて作成しました。
(2005年9月1日入稿)
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