技術資料

諸工業などにおける紫外線技術の導入動向

光応用事業部 光応用開発部 ソフトエンジニアリング課

キーワード

紫外線技術,水処理,微生物,殺菌,不活化,有機物,分解

3.紫外線導入動向(つづき)

3.3 その他について

微生物の殺菌・不活化や有機物の分解以外にも紫外線技術は水処理技術としてあらゆる分野に使用されている。
上記以外での紫外線技術の導入事例としては,

  1. プール水のクロラミンの分解,過マンガン酸カリウム消費量の低減及び殺菌
  2. 各種公園の景観用水としての池水の浄化(アオコの抑制)
  3. オゾン水の残留オゾン分解
  4. 温泉水のレジオネラ属菌の殺菌
  5. 酒造用水の除鉄

などがある。
特にプール水への導入実績は100か所以上,景観用水への導入実績は300か所以上に上っている。

プール水に対しては残留塩素を利用して過マンガン酸カリウム消費量を低減すると共に,紫外線の脱塩素反応を利用し塩素とアンモニアとが結合してできるクロルアミン(クロラミン)の分解及び殺菌のために用いられている。

景観用水の浄化に対しては,紫外線による核酸への作用による藻類抑制効果と,波長184.9nmの紫外線を空気中の酸素に照射して生成されるオゾンを利用した脱臭・脱色効果とを組合せ,池水の浄化に用いられている。(図10,図11)

図10 池浄化装置
図11 池浄化施設例

殺菌・不活化及び有機物分解以外の目的で導入されている紫外線技術を表4に示す。

表4 その他の導入動向
No.処理対象紫外線光源処理効果納入実績
業種対象水UV透過率設定値(254nm,10mmセル)ランプ種類ランプ電力主な対象目標除去率(%)
1プールプール水90~95%低圧及び中圧水銀ランプ65~95W,3.5kWKMnO4消費量,大腸菌群,クロラミン99.9%(殺菌)100台以上
2景観施設景観用水70%以上低圧及び中圧水銀ランプ25~95Wアオコ(アオコ抑制)300台以上
3温泉温泉水70%以上低圧水銀ランプ65~95Wレジオネラ属菌99.9%(殺菌)数10台
4酒造用水清酒希釈水 低圧水銀ランプ95W除鉄99%数台
5電子産業オゾン水 低圧水銀ランプ95W残留オゾン99%数台

4.おわりに

今回国内の諸工業における紫外線装置の導入動向を調査し,紫外線技術による水処理への導入が民間ベースでは思った以上に進んでいることがわかった。

紫外線を用いた水処理技術はその技術がクリーンな技術であると共に環境に優しい技術であるため,今後さらに導入が進むことが期待される。

注)本稿は,水環境学会誌2005年4月号,第28巻234-237ページに掲載された記事を一部補正して転載したものである。

この記事は岩崎電気発行「IWASAKI技報」第13号掲載記事に基づいて作成しました。
(2005年8月5日入稿)


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