施設報告

国立霞ヶ丘競技場 秩父宮ラグビー場 夜間照明設備 - ラグビー場照明設備施設例 -

営業本部 東日本営業部 宇都宮営業所
営業本部 東日本営業部 東京広域営業所

キーワード

秩父宮ラグビー場,増反射膜付投光器,メタルハライドランプ,仮設用電源

3.設備概要(つづき)

3.3 グレア軽減対策

グレアの検証は,ラグビー協会様の要望で被験者(代表の競技者)による照明効果(まぶしさ)の聞取り調査が行なわれた。1回目の調査では,グラウンド中心部に集中する光がハイパント(高く蹴ったボール)と重なり,気になるとの意見を頂いた。

ラグビー競技の照明器具の配置は,JIS基準に基づくとサイド配置を推奨している。さらに照明器具の取付高さは,サイド配置において,計算上最下段H=35m以上が望まれる。しかし,鉄塔最上段H=30m以内の条件で設置する為,低いことが避けられない。

表1 GRと不快グレアの程度
GR 不快グレアの判定
90 耐えられない
70 邪魔になる
50 許容できる限界
30 あまり気にならない
20 気にならない

コーナー配置鉄塔は,グラウンド中心部まで距離があるため,取付角度が少しでも上方に向くと,机上でのグレア指数に影響が出る。よって是正作業で,取付角度を68度以内に修正し,机上で中心部でのグレア指数が最大値で52以下になるようにした。(図9)

中心部の設計照度は若干落ちる結果になるが,再度被験者に修正効果を確認して頂いた。その結果,インゴール(タッチライン,ゴールライン後方のエリア)の明るさが増し,見え方が良くなったとの評価を頂いた。

3.4 仮設電源

照明点灯方式は全点灯のみで,受電方式は各鉄塔共通で仮設電源を使用する。

仮設電源は,ナイター試合当日に発電機搭載の特殊車両[電源車]を3台 競技場内の鉄塔付近に配備を行なっている。(図10)

電源車は,外観上発電機を搭載していることを感じさせず,騒音も少なく,野外コンサートのイベント等に幅広く利用されている。(図11,図12)

図11 電源車外形寸法

図12 電源車外観

電源車の構成は次の通りである。

電源車 容量 375kVA
全長 6700mm
車幅 2170mm
車高 2572mm
タンク容量 210ℓ+150ℓ
ベース車 4t
全重量 8t
騒音レベル 64~75dB

電源車から仮設電源ケーブルは,塔下の自立型分電盤に接続し,手動操作を行なっている。自立型分電盤は,筐体横に図13に示す仮設用電源ケーブル入線窓(下面口)を設け,立上りケーブルが盤内に入線しやすく,かつ,端子に接続しやすい縦長の構造にした。(図14)

図13 自立型分電盤小窓開閉状況

図14 自立型分電盤内部

4.おわりに

ラグビー観戦は,一般的に冬場昼間のスポーツと思われているが,本場のニュージーランドなど海外では,ナイター試合が日常で行なわれている。

平成19年8月11日,ナイター初試合で,ワールドカップ日本代表vsアジア・バーバリアンズ戦が行なわれた。観客席はほぼ満席の状態で,大勢の熱いラグビーファンであふれていた。今後秩父宮ラグビー場は,夏の風物詩としてナイター観戦のスポットになるであろうと感じた。

最後に,本事業の施主様,ラグビー協会様をはじめ,ご尽力を頂いた設計事務所様や多くの方々に厚く御礼を申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第19号掲載記事に基づいて作成しました。
(2008年11月5日入稿)


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