施設報告

横浜・八景島シーパラダイス ふれあいラグーンの照明 - 夜の水族館を魅力的に照らす -

営業技術部 LCS

キーワード

横浜・八景島シーパラダイス,水槽,セラミックメタルハライドランプ,カラーランプ,投光器

2.照明設計(つづき)

2.3 照明手法

図8 ホエールオーシャン夜景

イルカ・クジラの「ホエールオーシャン」は,夜間の海中を表現するため,ブルーのカラーランプで水中照明を行なっている。合わせて,観覧席からの景観を考慮し,上部テントより投光器で照射し,水槽と観覧部の境を重点的に明るくし,安全で安心してふれあえる雰囲気を創り出している。投光器は観覧位置の後方に設置し,観覧の妨げにならないよう配置,維持照度で200ℓxを確保している。(図8)

図9 ヒレアシビーチ夜景

セイウチ,オタリア,ゴマフアザラシ,ペンギンなどの海の生き物の水槽「ヒレアシビーチ」では,ただ全体的に明るくするのではなく,岩などが立体的に見え,水槽全体で奥行感が出るよう,程良く陰影を付けることで昼間とは違った夜景を創り出している。投光器を使用し,所々にスポットさせている。観覧デッキ下に配置し,上部からの観覧時にグレアが出ないよう留意し,スポット部で維持照度200ℓx程度確保している。(図9)

図10 アクリルトンネル夜景

ヒレアシビーチの水槽内は,保守可能な水槽上部のウッドデッキ上から照明し,水槽内を照らし出している。陸上と同様に狭角配光を使用し,光溜りを創り,奥行き感を演出している。アクリルのトンネルは水槽下部にピットを設け,投光器を配置し,上下より照らすことで,トンネル内のゴマフアザラシを浮かび上がらせている。(図10)

図11 フレンドリーサークル夜景

海のいきものたちのパフォーマンスが間近で繰り広げられる「フレンドリーサークル」の観覧席は,上部テントを照らし,間接光により維持照度30ℓxを確保している。観覧時のグレアをなくすとともに,遠景から望んだ際,アイキャッチとなるよう配慮している。フレンドリーサークル内は,上部テントから照射して,観覧席からの見え方に留意している。施設の中心に位置し,また,パフォーマンスが十分に行なえるよう,施設内で最も明るくしている。(図11)

図12 サカナリーフ夜景

「サカナリーフ」は,浅瀬の水槽内に出入りができるため,安全性を最優先に考え,ポールライトを使用し,全体で均斉よく上部より照明している。また,岩場の陰影がつくよう,クリアのランプを採用し,維持照度100ℓxを確保している。(図12)

図13 ウッドデッキ夜景

ウッドデッキ・通路は,上部の開放感を保つため,足元を照らす18Wコンパクト形蛍光ランプフットライトのみを手摺下に配置し,境界線を明確にすると共に誘導性を確保している。明るさは,観覧を妨げないよう最低限とし,維持照度5ℓxとしている。(図13)

3.おわりに

「Open Aquarium」という屋外形の新しい水族館のため,さまざまな制限,要望の中で,昼間は,開放的な景観を維持し,夜間では,十分な明るさを確保し,観覧者へのグレアを抑制しつつ,昼間とは違った,夜ならではの景観を創り出している。また,演色性の良いセラルクス3200Kの光が,暖かみのある雰囲気を創り,海の生きものや景観の自然な見え方を実現している。夜間照明が本施設に貢献できることを願う。最後に,照明設計及び施工にあたり,ご指導,ご協力頂いた皆様に感謝の意を申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第19号掲載記事に基づいて作成しました。
(2008年11月19日入稿)


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