施設報告
水道施設における耐塩素性病原生物対策事業 - 株式会社東京サマーランドの事例 -
光応用事業企画部 光応用事業企画課
営業本部 東日本営業部 東日本技術設計センター
製造本部 光応用機器部 光応用開発課
製造本部 光デバイス部 光プロセス技術開発課
製造本部 光デバイス部 光技術課
キーワード
東京サマーランド,水道施設,耐塩素性病原生物,クリプトスポリジウム,紫外線,不活化
6.(財)水道技術研究センターの技術審査基準
(財)水道技術研究センターから上水施設に紫外線照射装置を導入するにあたっての紫外線処理装置技術審査基準が示されており,平成20年4月1日から実施された。認定を取得するための評価方法としては以下の通りである。
- バイオジメトリーによる評価:指標微生物を用いた不活化性能評価試験。
- トレーサー試験による評価:試薬を用いた流動解析評価試験。
- CFD解析による評価:解析ソフトを用いた不活化,流動のシミュレーション。
本件案の工期は平成20年2月20日であり認定の対象外であるが,技術審査基準と同等の性能があることを社内試験(バイオジメトリーによる評価)により確認した。この試験設備は時間当たり550m³の通水試験が出来る国内最大級のものである。
性能確認のための社内試験風景を図4に示す。
7.紫外線照射装置の概要
今回はプールやレストランに給水を行なう「本館地区」とキャンプ場に給水を行なう「ファミリーパーク地区」の2箇所に紫外線照射装置が導入された。以下が装置の概要である。
7.1 本館地区
- 処理通水量=250m³/hr=6000m³/day
- 設置場所=機械室(屋内)
- 既設配管口径=150A
- 既設配管材料=SGPW(水配管用亜鉛めっき鋼管)
- 紫外線照射槽はステンレスのため電食防止として絶縁フランジ継手を使用。
処理フローを図5に示す。
- 貯水槽が満杯の場合及び紫外線装置に異常が発生した場合は自動3方弁を原水槽へ切替える。
完成した紫外線照射装置本体を図6に,制御盤を図7に示す。
7.2 ファミリーパーク地区
- 処理通水量=42m³/hr=1000m³/day
- 設置場所=濾過装置設置部(屋内)
- 保健所の指導により施錠出来る紫外線照射装置小屋を併設した。
- 配管口径=80A
- 既設配管材料=SGPW(水配管用亜鉛めっき鋼管)
- 紫外線照射槽はステンレスのため電食防止として絶縁フランジ継手を使用。
処理フローを図8に示す。
- 貯水槽が満杯の場合及び紫外線装置に異常が発生した場合は砂濾過を停止し、給水を停止する。
完成した紫外線照射装置を図9に示す。
8.保健所への提出資料
8.1 施工前の提出書類
- 専用水道布設工事設計確認申請書
- 設備設計書(主にクリプトスポリジウムに対する性能計算書)
- 図面,フロー図,工程表
8.2 施工後の提出書類
- 専用水道給水開始届
- 紫外線施設設置後の公的機関による51項目の水質検査
- 試験成績書
9.おわりに
紫外線による水処理業務に携わって久しいが,ほんの数年前までは紫外線の特長の一つである残留性がないことが影響し,上水市場への参入はタブーであった。それがここ2年程の間に大きく変わり厚生労働省が認可するまでになったのである。固定観念にとらわれない自由な発想の必要さを痛感させられた。
初めての上水施設への参入ということで,特に安全性にこだわった設計としたが,サマーランドの施設の方や保健所の方からは細かなアドバイスを頂き無事工期を迎えることが出来た。この仕事に携って頂いた皆様に感謝の意を申し上げる次第である。
- ※現在のランプは、水温に影響されにくいアマルガムランプで統一されており、JWRC(財団法人 水道技術センター)の技術認定に適合した商品を取り揃えています。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第18号掲載記事に基づいて作成しました。
(2008年5月9日入稿)
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