施設報告
無接点昇降式照明灯(試験施工) - 福岡497号今宿道路東地区外道路照明設置工事 -
アイグラフィックス(株) 福岡営業所
国内営業事業部 福岡営業所 第二営業課
機器事業部 照明事業推進部 マーケティンググループ
機器事業部 機器技術部
大成電機工業(株) 営業技術部 技術課
キーワード
福岡497号今宿道路,無接点昇降式照明灯,安心・安全,環境配慮,交通規制,省力化,簡易操作,事故防止,安全走行
4. 機能(昇降動作状態の解説)
昇降動作状態ごとの昇降装置の操作および動作は,ウインチおよびロック装置の状態を6パターンに分けてそれぞれの概略は下記の通りで,その状態図を図8に示す。
- 通常時 :2組のロック装置で可動部が固定されている。
- 下降開始 :ウインチを取り付け,ポール内ワイヤー先端の豆ブロックを固定ボルトから外し,リングキャッチと接続する。同時にケーブルコネクターを分離する。ウインチを上昇方向の右回転させロックを解除する。(図9a)
- 下降中 :ウインチを下降方向の左回転させ,可動部を回転下降させる。(図9b,c)
- 最下降時 :ガイドレールの最下部で停止した可動部(照明器具)で作業を行う。(図9d,e)
- 上昇中 :ウインチを上昇方向の右回転させ,可動部を回転上昇させる。(図9c,b)
- 上昇後の固定 :上昇後ロック装置をセットするために,再上昇してセット後下降させ,常時のロック状態にする。下降開始の作業を逆の順序でウインチを取り外す。
上記に関連して,本施設での状態を図9に示す。
5. 特徴と推奨設置場所
本照明灯の特徴を機能上と運用上に分け,また推奨設置場所も合わせて列挙する。
5.1 機能上の特徴
- 照明器具に接点を設ける必要が無いので,汎用の照明器具やその他の機器(例:監視カメラ,センサなど)の設置にも対応可能である。
- ロック装置を2組装着しているので,通常時の固定状態が安定している。
- 操作中にポール内ワイヤーが切断しても,照明器具が落下することはない。
- 操作中にウインチから手を離しても照明器具はその位置での停止状態となる。
- ウインチは,使用頻度とポール内の結露による腐食を考慮し,着脱式である。
- ロック機能の解除とセット状態の確認は,ワイヤーのゆるみと張力の状態を手で判断できる。
- 装置の主要部品は,耐食仕様である。
- ガイドレールに沿って昇降するので,可動部(照明器具)が振れることなく安定している。(風の影響も受けにくい)
- 中央分離帯の2灯用照明灯への対応も可能である。
5.2 運用上の特徴
- 車線規制の必要が無いので,所轄警察への申請の必要がない。
- 渋滞が発生しないので,通常の安全走行状況が確保できる。
- ウインチを持参することで,一人で手軽にメンテナンスが出来る。
- 回転(90°を標準)昇降するので,高所作業を必要としないので,地上での作業位置の限定が出来る。
- 緊急車両などの走行障害にならないので,経済的損失が少ない。
5.3 推奨設置場所
- 車線規制の障害が多い交差点付近の照明灯
- 照明灯の設置後,高所作業車が入れない場所
- 一車線の道路で,車線規制に交通止めを伴う区間
- トンネルの坑外灯
- 車線規制によって事故の危険や周囲環境への悪影響が懸念される場所
- 塩害や鳥害,排気ガスに対する照明器具のチェックの必要が多い場所
6. おわりに
本照明灯を試験施工に採用いただき,無事竣工出来たことに際し関係者各位に心から御礼を申し上げる。当社埼玉製作所において,実際に10m ポールを建柱して試作品での幾度の実験と検証そして改良の結果,屋外での道路照明灯のメンテナンスが,安全に容易に出来る商品が完成した。今後もより一層の機能と信頼性の向上,そしてコストダウンに注力していかなくてはならない。
また,現場状況を考慮すると,電源の引き込みが架空の場合もあるので,それらに対応した商品の開発も進める必要がある。
ご協力ご尽力いただいた関係部署および,関係会社の皆様に感謝の意を申し上げる。
参考文献
- 提案書「無接点昇降式照明灯のご提案」,岩崎電気
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第13号掲載記事に基づいて作成しました。
(2005年9月9日入稿)
テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。