施設報告
パソナ社植物育成施設における照明設備
光応用事業部 光応用営業部 第三営業課
国内営業事業部 営業技術部 中央技術設計センター
技術開発室 技術研究所 環境技術グループ
キーワード
パソナO₂,植物育成施設,人工光源,光放射応用,照明設備
3.照明設備(続き)
3) ルーム3:イネ栽培(棚田)(図7)
- 照明目的
- 稲作栽培の成育維持と美しく見せること
- 照明手法
- HIDランプによる混光全般照明
- 使用光源
- 高圧ナトリウムランプ360W+メタルハライドランプ400W
- 平均光強度
- 239~298μmol・m⁻²・s⁻¹(22700~27000ℓx)
4) ルーム4:トマト栽培(図11)
- 照明目的
- トマト栽培の成育維持と美しく見せること
- 照明手法
- 蛍光ランプによる近接照明
- 使用光源
- Hf3波長形昼白色蛍光ランプ86W
- 平均光強度
- 21.7μmol・m⁻²・s⁻¹(1790ℓx)床面上1.5m
5) ルーム5:葉菜類栽培
- 照明目的
- 葉菜類栽培の成育維持と美しく見せること
- 照明手法
- HIDランプによる局部照明
- 使用光源
- セラミックメタルハライドランプ70W(白色形)
- 平均光強度
- 31μmol・m⁻²・s⁻¹(2950ℓx)
ルーム2と同様照明設備
6) ルーム6:育苗栽培(図13)
- 照明目的
- 葉菜類の棚式育苗栽培
- 照明手法
- 蛍光ランプによる近接照明
- 使用光源
- 3波長形昼白色蛍光ランプ110W
- 平均光強度
- 148μmol・m⁻²・s⁻¹(13200ℓx)
7) その他の照明設備
・LED 照射装置(図15,16)
- 波長
- 赤・青型(625・470nm),赤・緑型(625・530nm)
- 光強度
- 赤・青型66~110μmol・m⁻²・s⁻¹(1900~4100ℓx)
赤・緑型 75~146μmol・m⁻²・s⁻¹(4400~12100ℓx)
赤色LD 照射装置(図17)
- 波長
- 658nm(InGaAlP)
- 出力
- 2.45W(50mW・49ドット)/台
- 光強度
- 334~345μmol・m⁻²・s⁻¹(4600~5300ℓx)
4. おわりに
植物育成と人工光源の関連は,エジソンが白熱電球を発明(1879年)してから,約40年後(1920年)に光周性が発見されたのが端緒とされている。わが国では1937年にキクの電照栽培が試みられ,その普及は愛知県渥美市で1950年ごろとされている。一方,植物工場の研究は1974年(高辻)より始められ,現在国内30数カ所で稼働中である。使用光源も高圧ナトリウムランプ,蛍光ランプ(近接照射)などに加えて,最近では赤色LED による近接照射の施設が普及し始めている。今回の施設では植物工場の照明に関与する光源の殆どが使用されている。
農業分野における食糧・高齢化問題等の解決策の一端となるべく本提案型施設の照明設備の開発に携われたことは幸いであり,今後の光放射応用のさらなる発展に期待したい。
最後に本施設へ照明機器を納入するにあたり,短納期等にも関わらず御協力いただいた関係各位に厚く御礼を申し上げます。
参考文献
- 稲田勝美:「施設園芸と光質利用」植物の化学調節,Vol.6 , No.1 , pp.9-18(1971).
- 相賀,村上ら:「光バイオインダストリー」,(社)照明学会編,オーム社,p.153(1992).
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第13号掲載記事に基づいて作成しました。
(2005年9月30日入稿)
納入事例
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