施設報告
秋田県立野球場「こまちスタジアム」照明設備 - リニューアルに伴うナイター照明のLED化 -
営業技術部 仙台技術課
国内事業本部 国内営業部 仙台営業所 秋田事務所
キーワード
秋田県立野球場,こまちスタジアム,LED投光器,LEDioc FLOOD DUELL,LEDioc FLOOD ZEST,ナイター照明,グレア測定
3.設備概要(つづき)
3.3 グレア測定
今回の照明改修では,改修前(既設HID照明)と改修後(LED照明)の光環境測定を行い,LED投光器を使用してもグレアなどに問題ないことを示した。光環境測定を行った項目を表5に示す。以下にグレア(GR)測光の方法を紹介する。
測定項目 | 水平面照度 (G.L.面) |
円筒面照度 (G.L.+1.5m) |
グレアレイティング (GR) |
平均演色評価数 (Ra) |
輝度分布測光 | 水平面照度 (野球場外漏光) |
---|---|---|---|---|---|---|
点灯パターン | ||||||
全点灯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
2/3点灯 (3パターン) |
○ | - | ○ | - | ○ | - |
1/3点灯 (3パターン) |
○ | - | ○ | - | ○ | - |
写真測光法によるGR測光では,一眼レフカメラと魚眼レンズを使用し,各測光ポイントにおいて120°間隔で3方向測光することで,全方向のGRを求めることが可能となる。図6に写真測光法を用いた輝度分布画像の測定結果の一例を示す。ここで得られた輝度分布データを解析ソフト(QUAPIX)で解析してGRの算出を行った。全点灯時におけるGR比較結果を図7に示す。
3.4 照明器具の取付状況
特に注意した点として,HID投光器と同じような扇形のエイミングをすると,グラウンドから見た際にLED投光器が光の塊となって見えてしまうため,グレアを低減する目的でクロスエイミングを行っている。図8,図9に主アーチ部,水平アーチ部のLEDioc FLOOD ZESTの取付状況写真を,図10に照明鉄塔のLEDioc FLOOD DUELLの取付状況写真を示す。
LED投光器の照射位置決めについては,架台に設置したLEDioc FLOOD ZESTにカメラとスマートフォン(以下,スマホ)を使用した治具を使用した。図11にLEDioc FLOOD ZESTに取り付けた治具の写真を示す。
照明器具の前面ガラスに平行に取り付けたカメラとスマホを連動させることにより,カメラの画像をスマホに映し出し,スマホの画面を確認して,照明器具の照射位置を決めるものである。これを使用することにより正確な照射ポイントの位置出しを行うことができた。LEDioc FLOOD DUELLにもスコープ形の治具を使用し,グラウンド側から見たのでは分かりにくいLED投光器の照射位置を正確に決め,短時間で照射位置決めを行うことができた。
4.おわりに
本施設において,LED投光器のLEDioc FLOOD ZESTとLEDioc FLOOD DUELLを設置する場所に応じて使い分けし,プロ野球開催に必要な照度と均斉度を満足することができ,良好なナイター照明環境を作ることができた。現地で主アーチに設置してあるLED投光器の角度調整を行いながら,グレア低減する方法としてクロスエイミングが必要であるとあらためて感じ,既設設備の限られたスペースでクロスエイミングを行う難しさを実感した。今回,改修前と改修後の光環境測定を施工業者様,関係部署の方々のご協力のもとに行うことができたことを,あらためて御礼申し上げる。
最後に,本照明施設の納入にあたり,ご指導ご協力いただいた関係各位に深く御礼申し上げる。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第39号掲載記事に基づいて作成しました。
(2018年11月16日入稿)
納入事例
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