HID安定器について
蛍光ランプやHIDランプなどの放電ランプに必要な安定器。
HID安定器を使用する上での注意事項やHID安定器の寿命についてご案内しています。
また、お客さまから寄せられたご質問を中心に掲載した、よくあるご質問(FAQ)もご覧ください。
HID安定器の安全上のご注意
ランプワット数に応じて適合する安定器を使用してください。
電源電圧
- 安定器は、設置場所の電源電圧、周波数に適合するものを使用してください。間違って使用すると、火災・感電・ランプの破損落下のおそれがあります。
- 電源電圧は、定格入力電圧の±6%の範囲内で使用してください。(一部除く 例:定電力形±10%以内、電圧フリータイプなど)
- 指定以外の電圧で使用すると、破損及び短寿命や不点灯の原因となるおそれがあります。
- 使用機器によっては、電源電圧波形を歪ませるものがあります。このような高調波成分を含む電源で、一般形高力率安定器を使用した場合、過大なコンデンサ電流が流れ、安定器故障のおそれがありますので、低力率安定器を使用してください。
周囲温度
- 安定器は周囲温度が常時40℃を超える場所では使用しないでください。周囲温度-20℃~+40℃で使用してください。火災・感電・短寿命のおそれがあります。
- 安定器をまとめて使用する場合は、安定器相互の間隔をケース幅以上離してください。収納箱等で使用する場合にも、安定器の雰囲気温度が40℃以下となるよう通風を良くしてください。過熱すると火災・感電・短寿命のおそれがあります。
使用条件
- 屋外、又は雨水のかかるところでは、安定器の口出線を下向きに取付けてください。また、積雪や雨水の跳ね返りなどで、口出線部より水気が浸入しないよう、取付高さなどに十分気を付けてください。雨水などが浸入すると絶縁が低下し、漏電・感電のおそれがあります。
- 振動や衝撃のあるところで使用する場合は、金属疲労やねじの緩みによる落下を防止する対策を施してください。対策を施さないで使用すると、落下によるけがのおそれがあります。
- 安定器は、湿度が85%を超える場所や、水気の跳ね返る場所では使用しないでください。感電のおそれがあります。
- 爆発性ガス・引火性ガスの発生する場所では、防爆形安定器を使用してください。一般仕様の安定器を使用すると火災のおそれがあります。
- 節電器と組合せて使用しないでください。ランプ短寿命、ちらつき、安定器故障のおそれがあります。
- 安定器は粉塵の多い場所では使用しないでください。火災のおそれがあります。
- 環境の悪い場所(工業地帯、温泉、火山地域、廃棄物焼却場、屋内プール、塩害地域など)では、一般仕様の安定器を使用しないでください。含有物質によりさびが促進され、落下のおそれがあります。耐塩塗装仕様品(2~3年毎の補修塗装は必要)、ステンレスケース仕様品などを使用してください。
- クレーン・ホイストなどの振動・衝撃が多い場所は、特別仕様となりますので最寄りの弊社営業所までお問合せください。
- 体育館・公民館では騒音の出やすい定電力形(RC)・ピーク進相形(LP)・パルス進相形(CAP)の設置を避け、一般形安定器を使用してください。
適正使用
- 安定器の構造を変更したり、ケースを開けたりしないでください。故障のおそれがあるばかりでなく、感電・火災・落下による事故の原因となります。
- 管灯回路内に中間ジョイントとして、コンセント等の接続器を使用しないでください。高電圧パルス等による絶縁破壊により火災のおそれがあります。
- 電線、あるいは絶縁処理部に、刃物などによるきずをつけないでください。絶縁破壊により漏電・感電・火災のおそれがあります。
- 安定器の二次側を器具に接続しないままで放置しないでください。施工途中でやむを得ず二次側に器具を接続しない場合、切断した電線を一本毎に分けて確実に絶縁処理をしてください。一括して絶縁処理をすると電線切断面で放電が起こり、電線が焼損し火災のおそれがあります。なお、電子安定器の場合は故障のおそれがあります。
- 安定器を設置する場合、可燃性の造営材から1cm以上離して堅ろうに取付け、布や紙、断熱材などを上に置いたり、かぶせたりしないでください。温度が上がり、保護機能が動作したり、火災や過熱のおそれがあります。 (「安定器を別置にする場合の注意点」参照)
- 安定器には、二次側に高電圧を発生するものがありますので、活線作業をしないでください。活線作業をすると感電などのおそれがあります。
- 安定器は、必ずランプの種類、ワット数に適合するものを使用してください。間違えて使用すると、ランプの破損落下のおそれがあります。また、ランプの短寿命・ちらつき・光束不足・安定器の短寿命のおそれがあります。
- 一般形安定器の場合、安定時の電流よりも始動時や無負荷時の電流が大きいものがあり、ブレーカの遮断容量や配線容量を超えることがあります。入力電流の値をご確認のうえ、設計にご配慮ください。
- 結線は、安定器に表示してある接続図通りに行ってください。間違って接続すると、不点灯・安定器の焼損・ランプの破損のおそれがあります。特に電子安定器は、誤配線や結線外れの地絡により瞬時に故障します。
- 天井裏などの隠ぺい場所に取付ける場合には、容易に点検できるように施設してください。
- 安定器の取付、配線は施工説明書に従い、結線は安定器の銘板に表示してある接続図通りに確実に行ってください。間違って取り付け、配線をすると安定器の故障や落下、焼損又はランプの不点灯、破損などのおそれがあります。特に、電子安定器は、誤配線や、結線外れの地絡により瞬時に故障します。
- 安定器の青色電線をソケットの中心接触片側に接続してください。逆に接続しますと、不点灯・感電・焼損のおそれがあります。照明器具には高電位側である旨が、端子台の表示(+、高電位側)や電線の色分け(白色又は灰色でない側)で識別されています。
- 管灯回路の延長は、安定器やランプによって制限がありますのでご注意ください。なお、使用する電線は安定器の口出線(600Vビニル絶縁電線)と同等以上のものを使用してください。
- HID安定器には縁がありますので取扱いにはご注意ください。また、重量がありますので確実に取付けてください。
- 看板照明などに使用する場合、看板の構造によっては雨水が霧状になって渦巻き、安定器の絶縁を劣化させることがあります。
- ポール内に水が溜まると高温多湿になり、安定器絶縁不良のおそれがありますので、水が溜まらないように施工してください。なお、防湿形安定器も製作できます。(屋外用安定器は防雨構造になっていますが、防湿構造ではありません)
- 一般形安定器を屋外で使用するときには、口出線の向きが下側になるようにしてください。
安定器形式末尾が5Xの表示で、寸法(ケース幅C×高さD)が112mm×112mmの場合は、施工上・安全上の観点から6インチの太さのポールを収納可能ポールとして推奨いたします。
※対象商品
また、ケース長さAが355mm超過の場合は、安定器取付用フック位置が特別仕様のポールをご使用ください。
H2RC1A(B)51、H2.5RC1A(B)51、H2RC1A(B)51、H2.5RC1A(B)51、H4CD2A(B)50、H4CDT2A(B)50、H4RC1A(B)51〔水銀灯用定電力形/(自動)調光一般形〕、
MC2.5TCP1A(B)50、MC2.5TCP2A(B)50、MC4CCP2A(B)50〔セラルクス用一般形〕、
MS2.5TCP1A(B)52、MS2.5TCP2A(B)52、MT2.5TCP1A(B)52、MT2.5TCP2A(B)52〔メタルハライドランプ専用一般形〕、
NHX2.5TC1A(B)51、NHX2.5CC2A(B)51、NHX4TC1A(B)51、NHX4CC2A(B)51〔スペシャルクス用一般形〕
NX13.5SRP1A(B)51、NX13.5SRP2A(B)51、NX18SRP1A(B)51、NX18SRP2A(B)51〔低圧ナトリウム用一般形〕
TH40/22C2A(B)52〔ツインアーク用一般形〕
WH2RC1A(B)51、WH2RC2A(B)51、WH2.5RC1A(B)51、WH2.5RC2A(B)51、WH3RC1A(B)51、WH3RC2A(B)51、WH4RC1A(B)51、WH4RC2A(B)51〔水銀灯(2灯用)定電力形〕
※対象商品
H2.5RD2A(B)50、H3RD2A(B)50、H3RDT2A(B)50、H4RD2A(B)50、H4RDT2A(B)50〔水銀灯用(自動)調光定電力形)〕、
H7RC1A(B)61、H7RC2A(B)61、H10RC1A(B)71、H10RC2A(B)71、H7RD2A(B)60、H10RD2A(B)70、H7TC1A(B)61、H10TC1A(B)71、H7CD2A(B)70〔水銀灯用(調光)定電力形/100V一般形高力率/調光一般形〕、
M7BLP2A(B)60、M10BLP2A(B)60、〔M15BCAP2A(B)71、M15BDCAP2A(B)70、Bタイプメタルハライド専用ピーク進相形/パルス進相形〕、
NHL1.8TD2A(B)52、NHL2.2TD2A(B)52、NHL2.7TD2A(B)52、NHL3.6TD2A(B)52〔高圧ナトリウムランプ用調光形〕、
TH20/11T1A(B)42〔ツインアーク用一般形〕、
WH7RC2A(B)71〔水銀灯(2灯用)定電力形〕、
MC4TCP1A(B)50〔セラルクス用一般形〕
保守・点検
- 高圧危険" ランプ始動のため高電圧パルスが二次側に発生します。取付工事、ランプ交換、保守点検などを行う場合、必ず電源を切ってください。電撃による感電、墜落などのおそれがあります。
- 冬季等長期間使用しない施設では、周辺の湿気により絶縁抵抗が低下し、漏電・感電のおそれがあります。湿気対策として定期的に通電してください。
- 一般仕様の安定器は、鋼板に塗装処理を施してありますが、2~3年毎に保守・点検を行わないとさびが発生することがあります。特に取付工事の際にきずが付いた場合は、必ず補修塗装を行ってください。
- 安全に使用するために、3~5年に一回は工事店などの専門家による点検を実施していただき、不具合がありましたら交換してください。寿命末期(一般的な使用条件で寿命の目安は約10年)には、絶縁物が劣化して、漏電・感電し易くなり、火災のおそれがあります。
法的規則
- 安定器の取付工事は、電気工事店などの専門家(電気工事士)に依頼してください。一般の方の工事は、法律で禁止されています。素人の工事は、漏電・感電・火災のおそれがあります。
安定器には接地工事が必要です。入力又は二次電圧が300V以下のものはD種接地工事、300Vを超え600V以下のものはC種接地工事を、「電気設備技術基準」に準じて施工してください。接地工事をしないと感電のおそれがあります。
寿命
- 安定器の平均寿命は JIS C 8110によると、標準の使用条件で8~10年と言われています。ここで言う平均とは、この年数までに半数の寿命が尽きていることを意味しています。周囲温度や過電圧などにより、安定器絶縁物温度が8~10℃高くなると、寿命は標準条件の半分になります。事故防止の見地からも、耐用年数を過ぎた安定器は、早めの交換をおすすめします。
安全のために
- 設置して8~10年経過すると、外観に異常がなくとも内部の変化は進行しています。早めの点検、交換をおすすめします。
なお、下記の劣化診断チェックで該当する項目がある場合は、劣化が相当進行していることを示しております。さらに劣化が進行すると、絶縁劣化により発煙する事故や、コイルの異常発熱による断線、コンデンサケースの破損など、事故に至る危険性もありますので、安全のために交換などの処置を行ってください。
また、“ランプが点灯しない"などの症状が安定器の寿命による場合もありますので、ランプの項目と併せて点検し、処置することをおすすめいたします。
安定器の劣化診断チェック
項目 | 判断基準 | 診断結果 | 処置 |
---|---|---|---|
1.ケースの外面 | (1)熱による変色又は部分的に錆の発生が見られる。 | ▲ | 交換をおすすめします |
(2)内部の充填物などの流出又は腐食が著しい。 | ● | 交換してください | |
2.口出線 | (1)被覆に硬化、変色が見られる。 | ▲ | 交換をおすすめします |
(2)被覆にひび割れ、心線露出がある。 | ● | 交換してください | |
3.絶縁抵抗 | (1)充電部と非充電部間が2MΩ以下である。 | ● | 交換してください |
- ●
- 危険な状態です
- ▲
- 劣化が相当進行しています
●のチェックが該当しない場合でも、▲のチェックが2つ該当する場合は、劣化がかなり進行していますので速やかな交換をおすすめします。
安定器を別置にする場合の注意点
安定器を別置にする場合は、関連法規(電気設備技術基準、内線規程など)を参照し、注意して取付けてください。
- 別置できる安定器は、ケース入り(屋内用)のものであること。
- 展開した場所(露出場所)に施設する場合は、安定器を可燃性造営材から1cm以上離して堅ろうに取付けること。
- 間接照明のためコーブ内に施設する場合、又はショーウィンドウ、ショーケース内の隠ぺい場所に施設する場合は、安定器を可燃性造営材から1cm以上離して取付け、かつ、容易に点検できるようにすること。
- 隠ぺい場所に施設する場合は、安定器を容易に点検ができるようにすること。
- 照明器具は、電気用品安全法に基づいて製造しています。器具の改造、変更は行わないでください。分解したり、力率改善用コンデンサやスイッチなどの追加は故障のおそれがあります。
- 器具を取付ける場合、口出線を傷つけないようご注意ください。
- 取付け面の強度は、器具質量に応じてご確認のうえ、取付けてください。器具の落下、天井面の変形、破損などが起こる可能性があります。
- 器具の温度が高くなり過ぎないように注意してください。安定器やランプの短寿命、器具内配線など樹脂部分の劣化が起こります。
電子安定器の寿命について
電子安定器と前述の一般形安定器との平均寿命の差はありません。
しかし、電子安定器の平均寿命は、下表のように安定器を構成する多種の電子部品の劣化に大きく左右されるため、使用条件、使用場所の環境による劣化にも注意が必要です。
電子安定器の主な寿命低下要因と劣化現象
部品名 | 主な劣化症状 | 主な劣化要因 | 劣化現象 |
---|---|---|---|
電解コンデンサ | 電解液の蒸発・漏れ | 温度上昇 | 容量低下 |
フィルムコンデンサ | 絶縁低下 | 温度上昇、湿度 | 損失増大、容量低下 |
半導体 | チップの絶縁破壊 | 温度上昇、湿度、電圧 | 特性不良 |
巻線類 | 絶縁低下 | 温度上昇、電圧 | レイヤショート |
はんだ付部 | 熱膨張収縮によるクラック | 温度上昇、点滅頻度 | 不導通 |
プリント基板 | ホコリ付着・雨漏りなどによる水滴付着による絶縁低下 | 使用環境 | 動作不良 |
- ※電子安定器は、使用温度範囲を超えて使用すると、上記のような原因で短寿命になる場合があります。
(安定器の使用温度範囲上限は、器具内蔵又は併置の場合で35℃、別置の場合で40℃) - ※平均寿命とは、同時に使用した安定器の半数が寿命になる年数をいいます。
- ※電子安定器は弊社ランプに適した設計がされておりますので、弊社ランプ以外との組合せの場合は、ランプの始動不良、ちらつき、短寿命が発生することがあります。弊社ランプと組合せてご使用ください。
照明器具の寿命とリニューアルのおすすめ
照明器具には寿命があります。設置して約10年経つと、外観に異常がなくても内部の劣化(安定器、電線、ソケットなどの電気絶縁物の劣化)は進行しています。点検・交換をしてください。