技術資料
FECセラルクスエース®垂直点灯形(UVカット膜+テフロン®膜付き)
- 150W,220W,270W,360W -
光源部 HID技術課
キーワード
FECセラルクスエース®,垂直点灯形,セラミックメタルハライドランプ,テフロン®膜,UVカット,石英ガラス製スリーブ
1.はじめに
近年,セラミックメタルハライドランプが高効率,高演色,長寿命と優れた特徴から普及してきており,当社でも水銀灯安定器に適合にしたFECセラルクスエースを発売し,工場・倉庫・体育館等の高天井照明の市場に浸透させてきた。
今回は「FECセラルクスエース」の品種拡大として,食品工場や精密機械工場などをターゲットとして,UVカット膜とテフロン膜(飛散抑制)の両機能を併せ持ったFECセラルクスエースを開発したので,ここに報告する。
2.商品概要
本開発品(UVカット+テフロン膜仕様のFECセラルクスエース)のランプ特性を表1に示す。
ランプ電力により4種類あり,それぞれに透明形と拡散形を用意した。ランプの大きさでは2種類に分かれる。色温度はすべて4100Kである。
注)Teflon®(称呼:テフロン®)は、デュポンと三井・デュポンフロロケミカル(株)の登録商標。
形式 | M150(F)CELS-W/BUDP | M220(F)CELS-W/BUDP | M270(F)CELSH-W/BUDP | M360(F)CELSH-W/BUDP |
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外管径(mm) | 90 | 116 | ||
全長(mm) | 240 | 290 | ||
テフロン膜 | あり | |||
UVカット | あり | |||
ランプ電力(W) | 150 | 220 | 270 | 360 |
ランプ電圧(V) | 95 | 130 | 130 | 130 |
ランプ電流(A) | 1.9 | 2.1 | 2.5 | 3.3 |
全光束(ℓm) | 14000(13500) | 23000(22000) | 29000(28400) | 43200(41400) |
相関色温度(K) | 4100 | 4100 | 4100 | 4100 |
平均演色評価数:Ra | 93 | 85 | 80 | 80 |
点灯姿勢 | 垂直±60° | 垂直±15° | 垂直±15° | 垂直±15° |
定格寿命(hrs) | 12000 | 15000 | 15000 | 15000 |
- ※全光束の( )内は拡散形の値を示す。
- ※定格寿命15,000時間以上のランプについてはテフロン膜の耐久性を確認中。
- ※テフロン膜は使用温度制限(260℃以下)という制限がある。使用器具等には十分注意が必要(前面ガラス付き器具や投光器には適合しない可能性がある)。
3.特徴・機能
FECセラルクスエースランプはUVカット仕様が標準となっているが,外球にUVカット膜を塗布しているため,同じ外球にテフロン膜を重ねて塗布した場合,テフロン膜の接着強度が低下する問題が発生し,UVカット膜とテフロン膜の両立が難しかった。
そこで,UVカット膜は,発光管破裂防止用として外球内に設置している内管スリーブに塗布することとした。図1に透明形ランプの外観写真を示す。矢印の部分が石英ガラス製内管スリーブである。
図2に,波長250nmから500nmまでの分光分布測定結果について,外球にUVカット膜を塗布したものと,内管スリーブにUVカット膜,外球にテフロン膜を塗布したものとの比較を示す。同図から紫外線(380nm以下)領域は両者ともほぼ同等にカットされていることが分かる。380nmから420nmで現行品よりも開発品の方の分光分布曲線が下になっているが,これはUVカット膜を塗布している石英製スリーブの温度が高いので,UVカット膜のカット位置が長波長側へシフトしているためである。この分光変化による影響は少なく,現行品と同じランプ特性を得ている。
これらによりUVカット機能とテフロン膜による飛散抑制機能とを両立することが出来た。
4.おわりに
本稿ではUVカット膜とテフロン膜を両立したFECセラルクスエース垂直点灯形ランプについて紹介した。次に,新製品であるFECセラルクスエースPROのランプについても同様な開発を行う予定である。今後,省エネ化が更に強力に推進されると考えられるので多くの市場で採用されると確信する。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第21号掲載記事に基づいて作成しました。
(2009年11月10日入稿)
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