技術資料

電子式安定器によるメタルハライドランプの調光
- 矩形波点灯調光によるランプ寿命の検証 -

株式会社アイ・ライティング・システム 電子回路技術部

キーワード

電子式安定器,メタルハライドランプ,調光,矩形波点灯,ランプ寿命

1.はじめに

近年,地球環境保護や省エネルギーによるCO₂削減が叫ばれているが,照明業界においても光源の高効率化及び回路の電子化が活発に行なわれている。

放電灯点灯回路の電子化にあっては,蛍光灯点灯回路の電子化に遅れを取っていたが,過去10年間で飛躍的に発展を遂げている。また,省エネルギーを目的とした放電灯の調光についても要望が多くなってきている。調光とは,ランプ電力を可変させ明るさ(光束)を調節することである。本稿では,電子式安定器による石英管メタルハライドランプの調光について評価した結果を報告する。

2.メタルハライドランプの調光方法

平均演色評価指数の高い石英管メタルハライドランプやセラミック管メタルハライドランプの調光については従来から要望が多かったが,ランプ点灯に古くから使用されてきた磁気回路式安定器での調光は立ち消えの問題があり不可能とされていた。しかし,電子式安定器を使用することにより安定した調光点灯が可能となったので,その調光方法について紹介する。

2.1 磁気回路式安定器にて行なう方法(リアクトルを付加させる方法)

図1 磁気回路式回路図

一般的にメタルハライドランプは,図1の磁気回路式安定器で調光した場合,図2-bのようにゼロクロス付近の電流オフタイムが大きくなり再点弧電圧が発生しやすくなるため,立ち消えが発生する場合がある。そこで調光は不可能と言われている。

図2-a 全光(Ry ON) | 図2-b 調光(Ry OFF)

2.2 電子式安定器にて行なう方法

図3のような回路構成の電子式安定器による矩形波点灯では,図4-bのように電流のオフタイムがほとんど無いため全光時,調光時共に安定した点灯が維持される。更に,この点灯は,50/60Hz共用である,瞬時停電に強い,光のチラツキが無いなど,電子式安定器の一般的な特長も兼ね備えている。

図3 電子式回路図

図4-a 全光(100%) | 図4-b 調光(50%)


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。