技術資料

コンパクトLEDスポットライト「LEDioc UNO」

株式会社アイ・ライティング・システム 商品開発部 商品開発課
株式会社アイ・ライティング・システム 回路開発部 電源開発課

キーワード

LEDioc UNO(レディオック ウノ),スポットライト,投光器,グレアカット

1.はじめに

屋外スポットライト市場において,弊社が2012年に発売したLEDioc FLOOD NINO(レディオック フラッド ニノ)以降,新商品の開発に着手しておらず,競合他社がラインアップ含め先行している状況にある。また,スポットライトはグレア対策が必要であるが,多くの器具はグレアカットによって器具効率が低下しているという現状がある。

本シリーズは,専用器具の開発を行ってラインアップを拡充し,効率的なグレアカットによりさらなる性能アップを図り,市場拡大を目的としている。

2.商品概要

本シリーズは,出力(ワット)別に3品種(10/20/30クラス)で構成している。また,前面カバーの組合せにより配光は狭角,中角タイプの2種類をラインアップしている。LED光源色も5品種(6500K/5000K/4000K/3000K/2700K)設け,塗装色を3種,固定方式をアームタイプ,フランジタイプの2種と,お客さまのニーズに応えられるよう合計45品種の構成となっている。

外観図を図1に,商品ラインアップを表1に,商品仕様を表2に示す。

図1 外観図

図2 外形寸法図

表1 品種一覧
クラス 配光 定格光束(ℓm) 消費電力(W)
2700K 3000K 4000K 5000K 6500K 100V 200V
10クラス 狭角タイプ 1000 1050 1100 1150 1150 9.4 10.1
中角タイプ 950 1000 1050 1100 1100
20クラス 狭角タイプ 1450 1500 1550 1650 1650 14.8 15.6
中角タイプ 1400 1450 1500 1600 1600
30クラス 狭角タイプ 2200 2250 2400 2500 2500 24.9 25.6
中角タイプ 2150 2200 1350 2450 2450
器具形式の構成
表2 商品仕様

フランジタイプ アームタイプ
材質 本体 アルミダイカスト
前面カバー 強化ガラス
反射鏡 アルミダイカスト,ポリカーボネート
フランジ アルミダイカスト -
アーム - ステンレス
仕上色 サテンブラック ダークグレー
ホワイト
質量 1.35kg
定格寿命 60000時間
保護等級 IP65
使用温度範囲 -20℃〜+35℃

3.特長・機能

3.1 高出力化・機能性

本商品は,器具の高出力化を図りながら器具サイズをできるだけ抑え,競合品より小形化を達成することを目標としていた。そこで専用のLEDパッケージと電源装置を開発し,器具の設計に適した形状に合わせることで高出力化(NINO:15W,UNO:25W)を図りながら小形化を実現している。

さらに市場に合わせたフランジタイプとアームタイプをラインアップし,オプション品も取りそろえることで商品の機能性(使いやすさ)を高めている。表3に従来品との比較を示す。

表3 比較表(NINO・UNO)
機種 LEDioc FLOOD NINO LEDioc UNO
外観図
固定方式 アーム アーム,フランジ
定格光束(狭角タイプ) 960ℓm 2500ℓm
消費電力 15W 24.9W
固有エネルギー消費効率(狭角タイプ) 64ℓm/W 100ℓm/W
直径 ø62mm ø75mm
全長 163mm 166mm
質量(電源内蔵) 0.86kg 1.35kg
保護等級 IP65 IP65
耐雷サージ(コモン) 6kV 15kV
使用温度範囲 -5℃〜+35℃ -20℃〜+35℃
標準オプション なし フード,スヌート,ディフュージョンレンズ,スプレッドレンズ

3.2 グレアカット高効率化

図3 一般的なスポットライトの構造

屋外スポットライト市場ではグレア対策が必須となっており,競合他社含め一般的な手法として,器具内部にバッフルを搭載し,強制的に光をカットしてグレア対策を行っている。よって器具効率が悪く,固有エネルギー消費効率は50〜60ℓm/Wが主流となっている(図3)。

図4 LEDioc UNOの構造

本商品は器具効率を向上させ,なおかつグレア対策を施すため,反射鏡によりカットオフを作って光をカットせずに反射させ,直線的な光を出射している(図4)。その結果,グレアを抑制しながら100ℓm/Wを達成している。

3.3 電源装置の小形化,性能アップ

図5 電源装置外観図

器具を小形にするためには電源の小形化も必要である。加えて安価で高効率,高力率,100/200V共用,調光可能な電源を求められていた。これらは既存保有の回路では対応できなかったため,新規の回路方式(IC)を採用した。この回路方式は,1スイッチングタイプでIC自体に調光機能を有しており,少ない部品点数で電源回路を構成することができる。

また,既存製品よりも駆動周波数を高めに設定することで,スイッチングトランスの小形化を行った。そのほか,雷サージ性能に関しては既存回路にて構成し,コモンモードで15kVの要求をクリアした。

LEDに関しては,製品としての高効率化を実現するために,器具,光学,電源の3方面から検討を行い,カスタム品LEDを採用した。

上記を実施することにより,必要な性能を維持しながら電源の小形化を達成した(サイズ:W75×D45×H35)。表4に電源特性を,図5に電源装置の外観図を示す。

表4 電源特性
30クラス 20クラス 10クラス
入力電圧(V) 100 200 100 200 100 200
入力電流(A) 0.252±10% 0.132±10% 0.156±10% 0.084±10% 0.095±10% 0.053±10%
入力電力(W) 25.2±10% 25.9±10% 15.5±10% 16.4±10% 9.5±10% 10.5±10%
入力容量(VA) 25.3±10% 26.5±10% 15.6±10% 16.8±10% 9.6±10% 10.7±10%
入力力率(%) 90以上 90以上 90以上
出力電圧(V)(標準値) 139 136 134
出力電流(A) 0.170±5% 0.105±5% 0.065±5%
出力電力(W)(標準値) 23.6 14.3 8.7
電源効率(%)(標準値) 93 91 92 87 91 83

4.おわりに

本商品は,器具,電源,LED三位一体の開発により,高出力で小形軽量の目標を達成することができた。今後の予定としては,ポールタイプなど商品バリエーションを拡充していく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第41号掲載記事に基づいて作成しました。
(2020年6月5日入稿)


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