技術資料
インターデッキ型 UV-LED照射器
アイグラフィックス株式会社 技術部 印機技術課
光・環境事業本部 光応用部 LED技術課
キーワード
UV-LED,インキ硬化,枚葉印刷,インターデッキUV,UV-LED照射器
UV-LED(紫外線LED光源)のご案内
光をリフレクターで制御し直進性の高い光として前方へ放射するUV-LED方式のUV照射器「UV-LED(紫外線LED光源)」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- UV-LED(紫外線LED光源)
1.はじめに
枚葉印刷機用UV-LEDは,2008年のドイツDrupa展示会でRYOBIが枚葉印刷機に搭載し,新製品として発表された。その後,今まで印刷市場に入ってこなかった複数のメーカーも参入するようになった。
弊社でもUV-LEDの開発を進め,現在では第三世代となるUV-LED専用のインキのみならず,従来のUVインキも良好な硬化が得られる長照射距離用,高照度のUV-LED照射器を開発した。この照射器は枚葉印刷機内で各色インキをすべて印刷した後のデリバリーに設置し,インキを硬化させる用途である。
付加価値印刷では,色印刷ユニット間(インターデッキ)に照射器を設置し,インキを硬化させる場合がある。コンパクトかつ各色印刷ユニット間の移動設置が可能な照射器が求められるため,高照度UV-LEDの技術を応用し,インターデッキ用UV-LEDを開発した。これにより枚葉印刷機内に搭載できる照射器のラインアップが増え,UVランプと同様に一般印刷に加え,特殊付加価値印刷分野でもUV-LEDの販売展開を促すことが可能となった。
2.概要説明
2.1 オフセット枚葉印刷方式とUV-LED
印刷機には,紙一枚ずつに印刷をしていく枚葉機と,ロール状の巻き取り紙に連続的に印刷する輪転機がある。輪転機の用途は,チラシや雑誌,書籍の印刷などの商業印刷である。今回,インターデッキUV-LED照射器を搭載する枚葉機の用途は,紙器,パッケージ印刷である。
一枚ずつ紙に印刷するため,紙サイズの自由度が大きく,小ロットの印刷にも対応している。種類として両面を一度に刷れる用紙反転装置が組み込まれたものや,色数,用紙サイズ,乾燥方式やインキの種類などによっていろいろな枚葉機を採用している。
今回はオフセット印刷とよばれる印刷方式で,版胴とよばれる部分に版が巻き付けてあり,そこへインキと湿し水が供給され,版とブランケットが接触することでブランケットに転写されたインキが紙へ印刷される。UV-LEDはその後に照射して硬化を行う(図1)。
2.2 インターデッキUV-LEDを印刷で使用する効果
主に付加価値印刷用途となる。アルミ蒸着紙などの非吸収原反へ印刷を行うときには,4色印刷をする前に白インキが下地に使われることが多い。その場合,最初に印刷された白インキを,インターデッキUV-LED照射でいったん硬化させてから,絵柄の4色を印刷し,最終のデリバリーの高照度UV-LEDで硬化させる。また,4色絵柄印刷の後にコーターニスを乗せる場合でも,4色絵柄印刷後にインターデッキUV-LEDで硬化させ,コーターニス引き後に最終デリバリー高照度UV-LEDまたはUVランプで硬化させる。
これらの効果として,インターデッキUV-LEDは,インキをウェットからドライにすることで,インキを重ねてもにじまない印刷再現性を高め,コートニスの付きを良くする役目がある。また,UV-LEDは,小さい紙サイズでも発光長分は常に点灯するUVランプと違い,モジュールで100mmごとに点灯できるため,圧胴表面に残ったインキを硬化させないようにする。または,反射光による印刷ユニット内のインキを硬化させ,印刷障害になることを軽減できる利点もある。最終の完全硬化を目的としたものではなく,上記の「にじみのない,印刷の再現性向上」,「コートニスの付きを良くする」などのために使用される補助硬化装置である(図2)。
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