技術資料

高出力形LED投光器「LEDioc FLOOD ZEST 500/1100」

株式会社アイ・ライティング・システム 商品開発部 第二商品開発課

キーワード

投光器,LEDioc FLOOD ZEST,グレア抑制,空間照度,省施工

1.はじめに

近年LED投光器の市場において,大型スタジアムで使用する場合,高出力化だけでなく競技者へのグレアの抑制について考慮することが重要視されてきている。グレアを抑制する方法として,直射光の遮光角を大きくして直射光の広がりを抑制する方法があるが,照射エリアが狭くなり空間照度を確保するために別の投光器を使用する必要があった。そこで,グレアの抑制と空間照度の確保を両立するLED投光器の開発に着手した。

2.商品概要

本商品は,2017年12月に発売の,競技者のグレアを抑制したLEDioc FLOOD ZEST 800クラスの品種拡大であり,500クラスと1100クラスの2品種を追加とし,配光はグレア抑制と空間照度の確保が可能な狭角・中角と,エリア配光に適している広角の3種類をラインアップし,従来商品と同様にDMX制御による演出も可能としている。

器具の外観図と外形寸法図を図1に示す。

500クラス

1100クラス

図1 外観図と外形寸法図

また,商品ラインアップを表1に,商品仕様を表2に,電源装置仕様を表3に示す。

表1 品種一覧
クラス 配光 形式 本体形式 光束(ℓm) 平均演色評価数(Ra)※1 消費電力(W) 質量(kg)
500クラス 狭角 E32102N/NSAJ2 E32102N/N 55000 80 556 12
中角 E32102M/NSAJ2 E32102M/N 60000
広角 E32102W/NSAJ2 E32102W/N 60000
1100クラス※2 狭角 E32202N/NSAJ2 E32202N/N 110000 80 1132 25
中角 E32202M/NSAJ2 E32202M/N 120000
  • ※1)Ra70,Ra90対応可能
  • ※2)広角対応可能

消費電力は200V時
執筆時のラインアップ。2019年5月現在は12種類に拡充

表2 商品仕様
相関色温度 5000K相当(昼白色タイプ)
定格寿命 40000時間
保護等級 IP65
使用温度範囲 -20℃〜+40℃
仕上色 ブラック(半艶)
材質 本体 アルミダイカスト
前面カバー ポリカーボネート
反射鏡 マグネシウムダイカスト
台座アーム 鋼板(溶融亜鉛めっき)
表3 電源装置仕様
電源形式 500クラス:LE538230HSD2/2.4-A1
1100クラス:LE1076230HSD2/2.4-A1
入力電圧 200〜242V
周波数 50/60Hz共用
口出線 1000mm
二次側配線長 50m
耐雷サージ 15kV
初期照度補正機能 あり
PWM調光対応 25%〜100%
質量 500クラス:5kg
1100クラス:10kg

3.特長・機能

3.1 グレア対策とエイミング機構

一般的に高出力LED投光器において,軸光度が器具中心に集中しているためグレアが発生しやすい課題がある。そこで1100クラスは,本体を2つのユニットに分けることで軸光度を分散させてグレアの抑制を行っている。また,ユニットの回転軸を独立させることで,それぞれのユニットでエイミングを行うことが可能となり,最適な照明設計提案を可能としている(図2)。この2つのユニットをそれぞれエイミングする際に,ユニット同士が干渉しないよう角度表示板にストッパーを設けている(図3)。

図2 エイミング機構

図3 ストッパー機構

さらに,従来の投光器の角度表示は外側にしかなく,外側から確認しながらエイミングを行っているが,本商品では,施工性を考慮して内側にも角度表示を施し,エイミングを容易に行えるようにしている(図4)。

図4 角度表示板

3.2 配光制御

従来の放物面を利用して遮光角(θ)を大きくした狭角形反射鏡の場合,スポット的な照射でグレアを抑制することはできるが,空間照度を確保することが難しく,その空間照度を確保するために別途器具が必要となる課題があった。

本商品の反射鏡は放物面を利用した反射鏡で,水平角方向の遮光角(θ)を大きくしてグレアを抑制し,鉛直角方向の遮光角(θ)を小さくして空間照度を確保することができる反射鏡としている。これにより同一の器具でグレアを抑制したフィールド照明と空間照明を行うことが可能となる(図5)。

図5 反射鏡の遮光角(θ)

3.3 発光面輝度

配光3種類の発光面輝度の見え方を図6に示す。角度が付くにつれて輝度が低くなり,水平角30°以降は狭角,中角ともにグレアを抑制している。

図6 発光面輝度

4.おわりに

今回は,大型施設などで要求されるグレア抑制と空間照度の確保を両立させたことで,最適な照明提案ができる商品の開発ができた。今後も,利用者が使いやすい商品の開発を行っていく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第39号掲載記事に基づいて作成しました。
(2018年12月3日入稿)


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