技術資料
高天井用電源内蔵形LEDランプ「LEDioc® LEDアイランプ® HB 66W」
製造本部 光源部 LEDランプ技術課
キーワード
LEDランプ,LEDアイランプ®,高天井,電源内蔵形
「LEDioc LEDアイランプHB」のご案内
水銀ランプ250Wなどから置換え可能な電源ユニット内蔵形の高天井用LEDランプ「LEDioc LEDアイランプHB」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- LEDioc LEDアイランプHB
1.はじめに
一般照明における光源は,水銀ランプからLED化への動きが急速に進んでおり,弊社では水銀ランプからの置き換えが可能であるLEDランプをさまざまな用途向けに展開している。
工場や倉庫の天井で使用できる高天井用LEDランプとしては,LEDアイランプ® SPシリーズを展開して好評を得ているが,電源装置別置形であるため施工性に優れた電源内蔵形を要望される場合があった。
一般的に電源内蔵形LEDランプは,電源回路を内蔵することでLED素子のみならず電源回路部品が発熱源となり,とりわけ高温となる高天井環境においてはランプ温度上昇が顕著となる。温度上昇に対する放熱対策のため,単純に放熱部(きょう体,ヒートシンク)の大型化を進めると,そのままランプの大型化(重量化)につながるため,結果的にランプを取り付けるソケットに対して荷重負荷がかかり,ソケットの機械的破損や落下事故などにつながる危険が生じる。
本稿では,電源機能を内蔵しながらランプの大型化および重量化を抑制した,高天井用電源内蔵形LEDランプの開発について述べる。
2.商品概要
本商品は,弊社の高天井用シリーズであるLEDアイランプ® SPの商品形態を継承し,さらに電源内蔵による施工性の高さと,絶縁構造や軽量化などの安全設計を付加させた高天井用電源内蔵形LEDランプである。
ランプの外観図を図1に,外形寸法図を図2に,商品仕様を表1に示す。
表1 商品仕様
形式 | LDR200V66N-H-E39/HB/H250 | |
---|---|---|
口金 | E39 | |
光源色 | 昼白色 | |
仕上色 | 白色塗装 | |
使用場所 | 屋内専用(非防水仕様) | |
点灯方向 | 下向き点灯 | |
材質 | 本体 | アルミダイカスト |
グローブ | ポリカーボネート | |
使用温度範囲 | -20℃~+50℃(ホルダ単体時) -20℃~+40℃(セード組合せ時) |
|
付属品 | ・落下防止ワイヤ(LDRW-820-SP) ・防振パッキン(装着済) |
入力電圧 | 200V |
---|---|
周波数 | 50/60Hz共用 |
入力電流 | 0.33A |
消費電力 | 66W |
相関色温度 | 5000K |
平均演色評価数 | Ra70 |
全光束 | 10000ℓm |
最大光度 | 3400cd |
1/2ビームの開き | 110° |
ビーム光束 | 7000ℓm |
定格寿命 | 40000時間 |
質量 | 1420g |
水銀ランプ250Wからの置き換えをターゲットとして,ランプ光束は10000ℓm,ランプ電力(消費電力)は66Wとなる(効率151.5ℓm/W)。電源機能はランプに内蔵され,別置電源装置を必要とせずに商用電源200Vで直接点灯することが可能である。
なお,本商品名であるLEDアイランプ® HBの「HB」はHigh-Bay(高天井)の頭文字を意味する。
3.特長・機能
3.1 電源機能内蔵とランプ質量の低減
高天井環境は商用電源電圧200Vが支配的であることを踏まえ,入力電圧を200Vに固定することによって電源部を従来設計よりも簡略化させ,さらに電子部品の分散配置により発熱源を分散させて,ランプの温度上昇を抑制している。
これによって,きょう体やヒートシンクの大型化,重量化が不要となり,電源機能の内蔵とランプの軽量化を両立することが可能になった。ランプ質量は,電源機能を内蔵しながらLEDアイランプ® SP(電源非内蔵)と同等レベルに抑えることができた(1420g)。
また,電源機能が内蔵されることによって施工,改修が容易になり,利便性を大きく向上させることができた。
3.2 安全設計
絶縁構造をとることにより,ランプ外郭部(金属部)が導通部から電気的に絶縁されており,万が一,導通時にランプ外郭部に触れても感電から保護される。また,過電流保護機能により,ランプに規定値以上の大きな電流が流れた場合に事故を未然に防止する。
口金部には防振パッキンを装着して,ランプとソケットの密着性を高めており,ランプの振動揺れや口金の緩みを抑制している。さらに,前述のランプの軽量化により,ソケットに対する荷重負荷を軽減できるため,ソケットの破損,落下などの重大事故を抑制する。
3.3 水銀ランプ250W相当の明るさ
高効率モジュールの採用により,固有エネルギー消費効率は151.5ℓm/Wを達成し,水銀ランプ250W(セード付き)と同等となる配光性能を実現した。水銀ランプ250Wからのリニューアルにより,水銀ランプに対して消費電力を約75%削減することが可能となる。
水銀ランプ250Wとの照度分布比較を図3に示す。
3.4 幅広い使用環境
使用温度範囲は-20℃~+50℃と幅広い使用環境で使用することができ,夏場に高温となる工場,倉庫,体育館などの高天井で使用可能である。また,高天井用ホルダやセードと組合せて使用することもできるが,セード併用時には使用温度範囲が-20℃~+40℃となる(図4)。
3.5 ノイズカット機能
外部機器の誤作動や故障を招く電磁ノイズの発生に対しては,電源回路部にノイズカット機能を付加することにより,ランプから発生するノイズを抑制している(国際規格「CISPR15」に対応)。
4.おわりに
本商品LEDアイランプ® HBの開発により,弊社の高天井用LEDランプシリーズに施工性を高めた電源内蔵形(水銀ランプ250W相当品)が追加された。
今後,さらなるラインアップ拡充を図り,既設水銀ランプからLEDへの置き換えを推進していく。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第38号掲載記事に基づいて作成しました。
(2018年4月26日入稿)
商品詳細
テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。