技術資料

小型光照射試験装置 - EYE SUN-CUBE® Xenon -

光・環境事業本部 光デバイス部 光技術課

キーワード

促進性劣化試験装置,EYE SUN-CUBE® Xenon,キセノンランプ,低価格,小型・軽量化,定照度管理

1.はじめに

現在,弊社より販売されている耐候性試験装置「アイ スーパーUVテスター®」や「アイ スーパーキセノンテスター®」は,光量,温湿度が制御でき,屋外暴露に近い環境試験が可能なことから,素材研究,開発,検査など幅広い分野で使用されている。しかし,これらの装置はサイズが大きく,高価格であることから,導入の大きな壁となっていた。

以前より,お客様から試験装置の低価格化を望む声が多く寄せられていることや,使用用途によっては,汎用性の高い高価な試験装置よりも,限定的な機能でも安価な試験装置を望む声があったことから,今回,市場拡大を目的として,機能を限定し,価格を抑えた小型の簡易光照射試験装置「EYE SUN-CUBE® Xenon」の開発を行った。

2.商品概要

本装置の外観図と試験庫内の写真を図1に,外形寸法図を図2に示す。また,商品仕様を表1に示す。

(a)外観図

(b)試験庫

図1 小型光照射試験装置「EYE SUN-CUBE® Xenon」

図2 外形寸法図

表1 商品仕様
名称EYE SUN-CUBE® Xenon
型式SCX400/1-1
搭載ランプキセノンランプ
定格電力400W
調光機能50~100%(250~500W)
照射範囲ø100mm
均斉度90%以上
照射距離400mm
放射照度 1)Max. 5.6mW/cm²(1.5sun程度)
ブラックパネル温度 2)
(温度制御)
40℃
(常時ファン冷却あり)
消費電力Max. 960VA
入力電圧AC100V(50/60Hz共用)
スペクトル合致度JIS C 8912(ソーラシミュレータ)クラスA
JIS K 5600-7-7(塗料:デイライト)
JIS K 7350-2(プラスチック:デイライト)
タイマー機能有(0~9999hr)
外径寸法W450mm×D500mm×H872mm
庫内寸法W446mm×D396mm×H500mm
本体重量46kg
価格オープン価格
  • 注) 1.紫外線照度計「UVP365-03A」で測定。
  • 注) 2.測定環境:気温23℃,定格点灯(400W),照射距離400mm。

3.特長・機能

3.1 低価格化

本装置は,湿度制御機構をなくし,試料台冷却をファン冷却とすることで低価格な装置を実現している。

3.2 小型・軽量化

本装置は,機能を限定することで小型・軽量化も実現している。重量を46kgに抑えているため,フォークリフトなどを特に必要とせず,搬入,設置作業ができる。また,装置のゴム足をオプションのキャスターに変更することで,容易に移動させることができる。

3.3 キセノンランプを搭載

可視光域の分光分布が自然光に最も近いキセノンランプを搭載しており,不安定な日照に比べ,定量的な試験を行うことができる。

3.4 定照度管理が可能

図3 ハンディタイプ紫外線照度計「UVP365-03A」

ボリュームによる調光機能を搭載しており,オプションのハンディタイプ紫外線照度計「UVP365-03A」(図3)を用いて,定照度管理を行うことができる。

3.5 JIS規格に合致した分光放射スペクトル

図4 照射面分光分布図

装置内部に弊社製のUV-IRフィルタを搭載しており,試料台照射面の分光放射スペクトルは,下記3つのJIS規格に合致している(図4)。

  1. JIS C 8912(ソーラシミュレータ)クラスA
  2. JIS K 5600-7-7(塗料:デイライト)
  3. JIS K 7350-2(プラスチック:デイライト)
  • 注)分光放射照度分布のみの合致となる。

3.6 シンプル設計で操作が簡単

図5 操作パネル写真

装置の操作は,ランプの点灯および消灯,調光ボリュームでの光量の調整,タイマー機能のみとなっており,簡単に操作できるようになっている(図5)。

4.照射試験

図6 PCクリア照射試験結果

照射試験の一例として,樹脂(PCクリア)の試験結果を図6に,色差,光沢保持率の動程曲線を図7,8に示す。試料台に試験片をセットするだけで試験が可能であり,簡単に劣化(色変化)が確認できる。

図7 PCクリアの色差曲線

図8 PCクリアの光沢保持率曲線

5.おわりに

今回,EYE SUN-CUBE® Xenonを上市することで,インクメーカー,油脂メーカーなどから新規のお引き合いをいただいている。今後,本装置の市場での反応を踏まえ,関係部署と協議し,次機種の商品開発の方向性を決定していく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第37号掲載記事に基づいて作成しました。
(2017年10月24日入稿)


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