技術資料
LED投光器 - LEDioc FLOOD SPOLART™ 310W(品種拡大) -
株式会社アイ・ライティング・システム 開発・企画部 第一開発課
株式会社アイ・ライティング・システム 開発・企画部 第二開発課
キーワード
LED,投光器,LEDioc FLOOD SPOLART™,省エネ,メタルハライドランプ代替
「レディオック フラッド スポラート」のご案内
メタルハライドランプ1000Wを代替するHID投光器のデザインを継承したLED投光器「レディオック フラッド スポラート」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- LEDioc FLOOD SPOLART(レディオック フラッド スポラート)
1.はじめに
水銀に関する水俣条約の締結により,2021年以降,一般照明用高圧水銀ランプの製造,輸出および輸入が禁止となることから,弊社では,2014年6月からHID高圧水銀ランプの代替となるLEDioc FLOOD SPOLARTシリーズ(以下:SPOLART)を商品化し,好評を得ている。
学校のグラウンドや広場では,水銀ランプより高出力のメタルハライドランプ(以下:メタハラ)が多く採用されている。弊社のメタハラ1000W相当の投光器は,主にスタジアム等の大型施設向けのLEDioc FLOOD DUELLシリーズ(以下:DUELL)がすでに商品化されている。
本商品は,従来のHID投光器のイメージを崩さないように,従来と同等の外観でコストを抑えたメタハラ1000W相当のSPOLARTであり,既設のメタハラ1000Wタイプの投光器を簡便に置き換え可能である。
2.商品概要
外観は従来のHID投光器を継承し,光束は,水銀ランプ1000W相当のSPOLART 210Wタイプが22000ℓmに対して,メタハラ1000W相当の本商品,SPOLART 310Wタイプは約1.8倍の40000ℓmを有する。
また,耐塩レベルも従来のHID投光器と同様に耐塩と重耐塩仕様を標準でラインアップした。
投光器の外観図を図1に,外形寸法図を図2に示す。また,商品ラインアップを表1に,商品仕様を表2に,各部品の仕様を表3にそれぞれ示す。
仕様 | 形式 (セット形式) |
配光タイプ | 器具形式 | 電源形式 | 1/10ビームの開き (°) |
器具光束 (ℓm) |
相関色温度 (K) |
平均演色評価数 (Ra) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
耐塩 | E30405M/NSAN8 | 中角 | E30405M/N | DLE148115HS1/2.4/T | 62 | 40000 | 5000 | 70 |
E30405W/NSAN8 | 広角 | E30405W/N | 90 | |||||
重耐塩 | E30406M/NSAN8 | 中角 | E30406M/N | DLE148115HS1/2.4/J | 62 | |||
E30406W/NSAN8 | 広角 | E30406W/N | 90 |
仕上色 | グレイ(マンセルN6) |
---|---|
消費電力 | 310W |
定格寿命 | 60000時間 |
質量 | 11kg(器具のみ) |
保護等級 | IP43 |
使用温度範囲 | -20℃~+35℃ |
耐雷サージ | 15kV (コモンモード) |
結線方法 | 口出線 (器具外3m×2本付) |
材質 | 表面処理 | |
---|---|---|
灯体 | アルミダイカスト | 耐塩:ポリエステル+アクリル塗装 重耐塩:ポリエステル+フッ素塗装 |
前面カバー | 強化ガラス(透明) | - |
反射鏡 | アルミニウム | シリカガラス処理(外面アクリル塗装) |
LED反射鏡 | アルミニウム | 中角:シリカガラス処理 広角:白色塗装 |
保護カバー | ポリカーボネート (グレイ色) |
- |
アーム | 鋼板 | 溶融亜鉛めっき後 耐塩:ポリエステル+アクリル塗装 重耐塩:ポリエステル+フッ素塗装 |
3.特長・機能
3.1 意匠の継承
本商品は従来のHID投光器の意匠を継承しており,既設の架台や既存のオプション品の利用を可能にしている。
表4にオプション品のガード,ルーバを示す。
品名 | ガード | ルーバ |
---|---|---|
外観図 | ||
形式 | GH6002 | LH6002 |
材質 | ステンレス | ステンレス |
仕上色 | ホワイト(マンセルN9.5) | ブラック半つや(マンセルN1) |
質量 | 1.7kg | 4.4kg |
3.2 放熱部分の構造
本LEDパッケージは従来のLEDパッケージよりも高出力であるため,ヒートシンク部における放熱構造の改良を行った。従来と同様のヒートパイプフィンからの放熱に加え,円周状にフィンを設けたヒートシンクからも放熱させることで,さらに放熱効果を向上させている。
図3にヒートシンク部の構成概略を示す。なお,ヒートシンクとヒートパイプフィンは,ヒートパイプによって接続されている。
3.3 内蔵LED反射鏡
本商品のLED反射鏡はアルミニウム製とし,LED固定金具を介して反射鏡も放熱効果をもたらしている。また,配光タイプは,LED反射鏡の表面処理を,中角タイプはシリカガラス処理,広角タイプは白塗装とすることで2種類ラインアップした。
図4にLED反射鏡取付部の構成概略を示す。
3.4 LEDパッケージ
既存のLEDパッケージでは光束が不足していたため,発光径をø32.8からø47.5にサイズアップし,さらに素子数をより多く搭載させることで器具光束40000ℓm,固有エネルギー消費効率130ℓm/Wを達成することができた。
なお,本LEDパッケージは2系統の電源供給が必要であり,発光面のセンターで電源系統が分割されている。
図5にLEDパッケージの外形図を示す。
3.5 照度分布・寿命・省エネ
メタハラ1000W投光器の代替となるように,器具光束を40000ℓm,1/10ビーム角を中角タイプは62°,広角タイプは90°とした。HID投光器と同条件で比較すると,照度分布は同等,光源寿命は約6.7倍,消費電力は約70%削減となる。
図6に照明比較を示す。
3.6 電源ユニット
電源ユニットは新規に設計する必要があったが,開発期間を短縮するため,既存の電源装置を組み合わせることで対応した。本LEDパッケージは2系統の電力供給が必要であるため,本投光器1台につき電源装置が2台必要となる。そのため,既設の電源装置の置き換えを考慮して,電源取付金具に2つの電源装置を取り付けることで施工性の向上を図った。
さらに,電源取付金具にHID安定器の標準取付ピッチと合う複数の取付穴を設けることで,既存の電源装置の置き換えができるようにしている。
電源ユニットの外観図を図7に,HIDランプとHID安定器との取付ピッチの関係を図8に,電源仕様を表5に,電源特性を表6にそれぞれ示す。
仕様 | 耐塩 | 重耐塩 | |
---|---|---|---|
電源形式 | DLE148115HS1/2.4/T | DLE148115HS1/2.4/J | |
電源ケース | 材質 | 電気亜鉛めっき鋼板(SECC) | ステンレス(SUS304) |
表面処理 | ポリエステル+アクリル塗装 | フッ素塗装 | |
電源取付金具 | 材質 | ステンレス(SUS304) | |
表面処理 | ポリエステル+フッ素塗装 |
項目 | 電源特性 | ||
---|---|---|---|
入力電圧(V) | 100 | 200 | 242 |
周波数(Hz) | 50/60共用 | ||
入力電流(A) | 3.09±10% | 1.57±10% | 1.32±10% |
入力電力(W) | 310±10% | 307±10% | 306±10% |
入力力率(%) | 95-5以上 | ||
入力容量(VA) | 309±10% | 314±10% | 320±10% |
質量(kg) | 7.0 |
なお,器具が耐塩,重耐塩仕様であるため,電源ユニットも同じく耐塩,重耐塩仕様を用意している。
4.おわりに
本商品は,従来のオプション品や既設架台が流用でき,低価格を実現した商品であるため,主に学校のグラウンドでのリニューアルに適している。屋外投光器の市場においてはDUELLとSPOLARTが共存し,各商品の特長を活かす充実したラインアップにより,棲み分けた商品提案が可能になると考えている。
今後も広い視野での商品企画や質の高い商品開発,さらに,新しい技術にも挑戦していきたいと考えている。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第37号掲載記事に基づいて作成しました。
(2017年12月6日入稿)
テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。