技術資料

LEDioc®防爆形LED照明器具(AC/DC対応)

伊東電機株式会社 技術部
製造統括本部 照明部 第一商品開発課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 照明部 LEDエンジニアリング課

1．はじめに

あらゆる照明分野でLED化は急速に進んでおり，防爆機器が必要なプラント・工場においてもLED化を求める声が強まっている。防爆機器は，設置場所や器具構造からランプ交換が容易ではないため，長寿命光源であるLEDの採用による顧客メリットは大きい。さらに，震災以降，日本全体で節電ニーズは高まっており，省エネルギーの観点からも白熱灯照明器具のLED化が強く求められている。

そこで，国内シェア拡大は元より，今後，海外を視野に入れた販売強化のため，IEC適合である防爆指針Ex2008に基づき，第1類危険箇所(Zone1)および第2類危箇所(Zone2)に使用可能な，防爆形白熱灯照明器具の代替商品(LED器具)を開発する必要性と，通常の入力電源に加え，非常用電源(DC100V)入力に対応した防爆形器具の提供の観点から，本商品を開発した。

2．商品概要

器具の外観図を図1に示す。商品仕様を表1，品種一覧を表2に示す。

表1 商品仕様

本体	アルミニウム合金ダイカスト
前面ガラス	強化ガラス
仕上色	グレイ(マンセルN7)
定格電圧(V)	AC(50/60Hz)：100～242， DC：100～110
	低出力タイプ	高出力タイプ
消費電力(W)	17	8
定格光束 (器具光束)(ℓm)	1590	890
防爆構造記号	ExdⅡB+H2T6X(灯具のみ)
保護等級	IP65
使用温度範囲(℃)	-20～+40

• ※全機種(タイプ)，厚生労働省型式検定合格済み。
• ※別途，スタンド灯(L形，ステッキ形)も対応可。

3．特長・機能

3.1 交直両用機器

当社初の直流と交流の両電源で使用が可能な防爆機器であり，通常時は交流電源(100～242V；周波数50/60Hz共用)，非常時は直流電源(100～110V)で点灯させる用途での使用が本器具1台で可能である。

3.2 高低2種類の明るさの品揃え

2種類の器具光束(低出力タイプ890ℓm，高出力タイプ1590ℓm)をラインアップした。それにより，従来品である防爆形白熱灯100W，200Wと同等以上の明るさを達成した(図3参照)。

3.3 防爆指針準拠・省施工性

今後，海外販売を視野に入れるため，IEC適合である防爆指針Ex2008に準じて設計を行った。さらに，ケーブルグランドを本体のケーブル導入部に設けることにより，吊具を交換することなく，既設の設備に施工することが可能となった。

3.4 高い省エネ性

消費電力については，白熱灯と比較し高出力タイプは17W，白熱ランプ200Wと比較すると91％，低出力タイプは8W，白熱ランプ100Wと比較すると92％の省エネとなり，いずれも約90％以上の消費電力削減を達成した。防爆エリアの省エネに大きく貢献する(図3参照)。

図3 白熱灯との照度分布及び経済性の比較

3.5 コンパクト化

電源の配置について，開発当初は本体の中央にケーブル導入部を配置したが，本体中央に凹部が形成されるため，その下部に電源を配置した場合に本体が大きくなる問題が発生した。そこで，ケーブル導入部を中央から外側にずらし，それにより空いたスペースに電源を配置するように設計変更した。その結果，本体の外径を大きくせずに本体の高さを32mm低くすることができ，本体のコンパクト化が達成できた(図2参照)。

4．おわりに

本商品は，従来品である耐圧防爆形白熱灯と比較し，同等以上の明るさや長寿命化による省メンテナンス，省エネなどの性能を満足させ，発売することができた。

今後，市場ニーズを分析し，防爆形LED照明器具の品種拡充を順次図っていく。