技術資料

LED防犯灯10VAタイプ ローコスト新きょう体

製造統括本部 照明部 第一商品開発課
製造統括本部 照明部 LEDエンジニアリング課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 電子機器部 回路設計課

キーワード

LED,防犯灯,低価格化,小型・軽量化

1.はじめに

LED防犯灯10VAタイプは,従来の競合メーカーの他,多くのベンチャー企業が参入し,LED防犯灯の中で最も価格競争が激しい状況にある。

10VAタイプは「防犯灯市場」の中で市場規模が最も大きく,市場シェアを拡大させるためには,拡販する上で障害となる『価格』を大幅に改善する必要がある。

そこで,低価格化を実現させるために,部品点数を減らし,小型・軽量化された新きょう体を採用した防犯灯の開発を行うことにした。

2.商品概要

器具のラインアップを表1に示す。器具の外観及び寸法を図1,商品仕様を表2に示す。

表1 ラインアップ一覧
器具形式 自動点滅機能 質量 定格光束 定格電圧
E70049SAN1 420g 800ℓm 100V
E70050SAN1

図1 器具外観図

表2 商品仕様
きょう体 アルミダイカスト
前面グローブ兼レンズ アクリル
LED 昼白色系LED
仕上色 メタリックシルバー

3.特徴・機能

3.1 低価格化

従来品の器具構造図及び主要部品を図2に,新きょう体の器具構造図及び主要部品を図3に,それぞれ示す。

図2 従来品の主要部品

図3 新きょう体の主要部品

従来品ではLEDモジュールと電源装置とセンサ基板がそれぞれ別部品となっていたが,新きょう体では3つの基板を一つの基板(以後,「三位一体基板」と称す)とすることで,それぞれの基板を繋ぐ配線2点を削減でき,さらに,基板を固定する組立作業も簡略化を実現した。

また,従来品ではレンズとグローブがそれぞれ別部品となっていたが,新きょう体ではグローブ兼レンズ(一体形状)とすることで,部品を1つにまとめ,部品点数及びそれらを固定するためのねじの削減が可能となった。

3.2 小型・軽量化

従来品ではLEDの配置を縦1列としていたが,新きょう体では,レンズの配光が干渉しないように3列(サイコロ5の目)配置とすることでLEDの配置スペースを小さくすることができた。また,三位一体基板にすることで組立時の配線する作業スペースが不要となり,その結果,器具の大幅な小型化を実現できた。

また,器具質量についても半分以下にすることが可能となり,持ち運び時の利便性や施工性も向上させることが可能となった。図4にきょう体新旧比較を示す。

図4 従来品と新きょう体の比較

3.3 設置間隔の拡大

従来品ではレンズとグローブがそれぞれ別部品となっており,クラスBで18mとなっていたが,新きょう体では,グローブ兼レンズ(一体形状)とすることで,LEDからの光を効率良く取り出すことが可能となり,設置間隔を拡大させることができた。

従来品の構造を図5,新きょう体の構造を図6に示し,照度分布図及び設置間隔を図7に示す。

  • 注)*公益社団法人日本防犯設備協会の「防犯灯の照度基準」SES E1901-3による

図5 従来品の光学部材構造

図6 新きょう体の光学部材構造

図7 新きょう体の照度分布図

保守率:0.84の場合
クラスA 18m
クラスB+ 20m
クラスB 23m

4.おわりに

今回従来品と比較し,性能を向上させつつ低価格化を実現する事ができた。

今後も多くの競合メーカーの他,ベンチャー企業が10VA防犯灯をリリース・リニューアルしてくる事が考えられるので,商品企画部門と連携し新製品の開発を推進していく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第31号掲載記事に基づいて作成しました。
(2014年11月11日入稿)

商品詳細


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