技術資料
LED投光器 - レディオック フラッド スポラート™ LEDioc FLOOD SPOLART™ -
株式会社アイ・ライティング・システム 機器技術部 第二機器技術課
キーワード
LED,投光器,LEDioc FLOOD SPOLART™,省エネ,継承,リニューアル
「レディオック フラッド スポラート」のご案内
HID投光器のデザインを継承し既存の架台などをそのまま利用できるLED投光器「レディオック フラッド スポラート」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- LEDioc FLOOD SPOLART(レディオック フラッド スポラート)
1.はじめに
近年,地球温暖化の問題から省エネ要求が高まり,さらに2011年3月の東日本大震災による電力不足から省エネ要求が加速している。また,国連環境計画(UNEP)での水銀条約により2020年以降,一般照明用高圧水銀ランプの製造,輸出及び輸入が禁止となる為,既存の水銀ランプを主な適合光源とするHID投光器の代替が必要となる事から,大幅な省エネ効果を可能とするLED投光器(H373タイプ代替)の開発をスタートすることとした。
2.商品概要
器具の外形・構造を図1に示す。
図1 外形・構造図
3.機能・特長
①既存部品の流用と意匠
HID器具であるH373の代替LED投光器を開発するにあたり,30年以上の歴史がある器具の代替となることから,本商品(LEDioc FLOOD SPLOART™)は今までのH373の持つイメージを崩さないように既存部品を出来る限り流用し,基本構造(反射鏡,支持枠,アーム部)及び意匠を継承したLED商品としている。
②新規設計(リニューアル対応)
既設のHID器具の場合,ランプ交換の際,光源筒を開けランプ交換をすることで光は新しいものとなる。本商品は,既設器具のランプ交換の感覚でLED化へのリニューアルが可能になるように光源筒部をLEDユニットとした。これにより,既設器具の光源筒を今回開発したLEDユニットに変更することで既設器具を活かした対応を可能にしている。
本商品の構成概略を図2に示す。
③構成
本商品は,放熱構造にLEDioc FLOOD DUELL™で構築したヒートパイプによる設計を採用した。これにより高出力LEDパッケージ(119W形)の搭載が可能となり,電源別置きとしたことで,器具1種類(配光2品種)・電源2種類の組み合わせで複数品種のラインアップとなっている。
④省エネ
既存HID光源の水銀ランプ(250W・400W)と同等以上の照明効果を得ることができ,従来比で約69%の省エネ効果とCO₂削減が可能である。
以下に,商品構成(表1)と仕様(表2),2種類の配光特性図(図3,4),水銀ランプ400WとH373Dの組合せとの比較(図5)を示す。
水銀ランプ250Wクラス | ||
---|---|---|
タイプ | 中角タイプ | 広角タイプ |
セット型式 | E30401M/NSAN8 | E30401W/NSAN8 |
投光器形式 | E30401M/N | E30401W/N |
電源形式 | LE056044HS1/2.4-A1 |
水銀ランプ400Wクラス | ||
---|---|---|
タイプ | 中角タイプ | 広角タイプ |
セット型式 | E30402M/NSAN8 | E30402W/NSAN8 |
投光器形式 | E30401M/N | E30401W/N |
電源形式 | LE119090HS1/2.4-A1 |
項目 | 材質・仕様 | 項目 | 材質・仕様 | |
---|---|---|---|---|
支持枠 | アルミダイカスト | 塗装 | ポリエステル樹脂焼付塗装 | |
前面カバー | 強化ガラス | 質量 | 5.7kg±10% | |
反射鏡 | アルミ | 電気特性(適合電源使用時) | ||
放熱部 | アルミ・銅 | 入力電圧 | 100V,200V,242V | |
アーム | 鋼板(溶融亜鉛メッキ) | 消費電力 (200V時) |
水銀250Wクラス | 63W |
LED | 119W形LED×1 | |||
水銀400Wクラス | 127W | |||
使用周囲温度 | -5℃~35℃ |
図3 水銀ランプ250Wクラス配光特性図
中角タイプ
1/2照度角 11°
1/10ビームの開き 66°
広角タイプ
1/2照度角 16°
1/10ビームの開き 86°
※上記の図は初期値を示す(単位:ℓx)。
図4 水銀ランプ400Wクラス配光特性図
中角タイプ
1/2照度角 12°
1/10ビームの開き 66°
広角タイプ
1/2照度角 16°
1/10ビームの開き 88°
※上記の図は初期値を示す(単位:ℓx)。
図5は40m×20m,高さ5mのエリアで,従来型HID光源水銀ランプ400W(透明形)と投光器H373Dの組合せと今回開発したLED投光器(中角タイプ)の照度分布比較である。
この結果より,照度分布において,水銀ランプ400WとH373Dの組合せを使用した場合と同等以上の性能をもたらすことが分かる。
LED照明化による顧客要求は,消費電力削減による省エネである。HID投光器と本商品との省エネ比較を図6に示す。本商品は,平均照度がアップし、消費電力が約69%の大幅な省エネ効果と5倍の光源寿命を実現した。
図6 水銀ランプ400W(透明形)とLED投光器との比較
- AH373D+水銀ランプ 400W(5700K)
- BE30402M/NSAN8+LED 119W(5000K)
平均照度
- A8.8ℓx
- B9.2ℓx
明るさアップ
消費電力(200V時)
- A415W
- B127W
約69%削減
光源寿命
- A12000時間
- B60000時間
5倍
4.おわりに
現在の地球温暖化の問題から省エネの要求が高まっている。加えて水銀条約による2020年の水銀ランプ廃止問題もあり,水銀ランプ代替のLED照明器具の開発が急がれる。さらに震災以降,国内では一層の省エネが必要とされている。今回,従来のHID照明の代替が可能であり,従来比で69%以上の省エネを実現するリニューアル可能なユニットを持つLED投光器の紹介をしたが,今後もリニューアルを可能にしながら,さらなる大幅な省エネ効果のある開発を推進していき,社会に貢献していきたいと考える。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第30号掲載記事に基づいて作成しました。
(2014年6月10日入稿)
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