技術資料
LED頭柱形街路灯(普及形) - LEDioc AREA BRICIA™ -
製造統括本部 照明部 第二商品開発課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 照明部 LEDエンジニアリング課
製造統括本部 電子機器部 回路設計課
キーワード
LED,頭柱形街路灯,LEDioc AREA BRICIA™,ローコスト,高効率,長寿命
1.はじめに
LED街路灯は,低出力(水銀灯100W相当)から高出力(水銀灯400W相当)までのバリエーション展開が各社一段落し,ローコスト商品へ移行している。
また,LEDの高効率化に伴い,器具に求められる固有エネルギー消費効率の規格化も市場に関わらず進んで来ている。
弊社では,新コンセプトのLED街路灯(GK設計 監修)などを市場投入し,他社との差別化提案を実現すると共に,ローコストで且つ高効率化を狙った商品の開発を行い,幅広いニーズに応える商品展開により市場シェア拡大を図る。
2.商品概要
器具の外観・構造を図1,商品仕様を表1に示す。
明るさの目安 | 器具形式 | 器具光束 | 消費電力※1 | 固有エネルギー 消費効率 ※1 |
保守率※2 |
---|---|---|---|---|---|
水銀灯400W相当 | E5056SA9 | 11700ℓm | 116W | 100.9ℓm/W | 0.81 |
水銀灯250W相当 | E5057SA9 | 6450ℓm | 64W | 100.8ℓm/W | 0.85 |
水銀灯100W相当 | E5058SA9 | 2880ℓm | 27W | 106.7ℓm/W | 0.85 |
【共通仕様】 | |||||
|
- ※1:入力電圧100V時
- ※2:保守率=光源の設計光束維持率 × 照明器具の設計光束維持率(汚れ係数)
3.機能・特長
3.1 高い放熱構造
LEDの性能を最大限発揮するためには,如何にLEDの熱を放熱させるかが重要である。器具の外郭となるセードにLEDの熱を伝えることが出来れば効果が高いことから,セード内部(グローブの内側)にLEDを固定するための部位を設けた。LED固定イメージを図2に示す。
更にこのセードには,グローブ内の熱が一部に溜まらないようにするための構造を設けているため,高い器具光束,高い光束維持率(水銀灯400W相当で85%),長寿命を実現している。
3.2 LED電源装置の内蔵化
本器具は図1に示す通り,ポール挿入部上部にLED電源装置を内蔵している。電源装置を内蔵するにあたり,いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けず(防沫形),1.0mmより大きい固形物が浸入しない保護等級(IP44)を実現した。
密閉構造としていることから,LEDの汚れを最小限に抑え,照明器具の高い設計光束維持率【0.95】=高い保守率 に貢献している。
3.3 水銀灯同等の配光性能
水銀灯同等のむらの無い配光性能を実現するために,グローブ内面にプリズム形状を設け,LEDからの光を水平方向に広がりを持たせている。グローブの効果のイメージを図3に示す。
加えてグローブを乳白仕様とすることで,LED特有の発光部の粒々感を抑え,水銀灯同等のイメージを作り出している。
以上の効果により得られた各器具の配光性能を元に,水銀灯器具との照度分布比較図を図4~図6に示す。
4.おわりに
今回の開発により,高効率化とローコスト化を両立した製品開発をすることが出来た。ただし,これらは他社と決定的に差別化した商品にはなり得ないため,今後はより顧客価値を意識した付加価値のある商品が必要と考える。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第30号掲載記事に基づいて作成しました。
(2014年5月30日入稿)
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