技術資料

LEDioc® LEDアイランプ®SP 170W

製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 海外ものづくり推進室

キーワード

LEDアイランプ®,屋内高天井照明,電源別置,省エネ,長寿命

1.はじめに

体育館や工場,倉庫などで多数使用されているメタルハライドランプからの省エネ置換えとして,LED照明器具の需要が高まってきている。近年LEDの高効率化に伴いLEDの効率も上がってきており,高天井に対応できるLED照明器具も増えているが,既存の器具(ホルダ+セード)をそのまま使用できるランプの需要も高まってきている為,メタルハライドランプ400Wからの代替可能なLEDアイランプSP(電源別置形)を追加投入することで,更なる販売数の増加を図ることにした。

2.商品概要

本商品は,高天井用ホルダ(O39シリーズ)に適合する屋内専用の電源別置形LEDランプである。セードの併用も可能。ランプの外観を図1に,商品仕様を表1に示す。高天井照明用LEDアイランプ及び,LEDアイランプSPシリーズのラインナップを表2に示す。

図1 ランプ外観図

表1 商品仕様
ランプ形式 LDRS170N-W-E39/HBA
ランプ電力 184W
全光束 20000ℓm
ビーム光束 10000ℓm
ビームの開き 71°
寿命 60000時間
固有エネルギー消費効率 108.7ℓm/W
相関色温度 5000K
平均演色評価数(Ra) 70
全長 300mm
外径 ø260mm
質量 1,850g
表2 高天井照明用LEDアイランプ及び、LEDアイランプSPシリーズラインナップ一覧
品種 形式 ランプ電力 代替ランプ 消費電力削減
LEDアイランプ LDR45N-W/E39W750 45W セルフバラスト水銀ランプ300W 約85%
LEDアイランプSP LDRS75N-W-E39/HBA 79.5W 水銀ランプ250W 約69%
LEDアイランプSP LDRS140N-W-E39/HBA 148W 水銀ランプ400W 約64%
LEDアイランプSP LDRS170N-W-E39/HBA 184W メタルハライド>ランプ400W 約56%

3.機能・特長

3.1 配光性能

図2 レンズを用いた光学設計

メタルハライドランプ400W同等の照度分布を実現するために,光学設計の結果,LEDモジュールの一部に集光レンズを取付ける事で(図2参照),全光束をほぼ維持したまま,1/2ビーム角を狭角にし,メタルハライドランプ400W(ランプ+セード)と同等以上の配光性能を実現した。図3に両者の照度分布図の比較を示す。

図3 経済比較例

  • Aセード+メタルハライドランプ 400W 200V 点灯時保守率:0.49
    器具取付高さ:8m
    反射率:30%・30%・10%(天井・壁・床)
  • Bセード+LEDアイランプSP 170W 200V 点灯時保守率:0.74
    器具取付高さ:8m
    反射率:30%・30%・10%(天井・壁・床)

維持平均照度

  • A575ℓx
  • B663ℓx

明るさアップ

3.2 高熱伝導性材料の採用

既存の器具(セード+ホルダ)に適合させるために,従来は形状や外寸,重量に制約が有り,放熱性において課題があったが,従来の材料に比べて熱伝導率が,LED基板では約3倍,ダイカストきょう体においては約1.5倍の高熱伝導性材料を新規採用する事によって,放熱の問題をクリアした。

3.3 長寿命,少メンテナンス,省エネ

高熱伝導性材料を用いたランプ放熱設計の最適化により,メタルハライドランプに比べて,約5倍の定格寿命60000時間(裸点灯時)を達成,既存のセードを使用した場合でも定格寿命50000時間(セードSAW412)を達成し,メンテナンスコストを削減した。

消費電力に関しては,184W(電圧200V時)であり,メタルハライドランプ400Wと比較して,約56%の省エネ効果を実現した(図4参照)。

図4 経済比較例

  • Aセード+メタルハライドランプ 400W 40台
  • Bセード+レディオックLEDアイランプSP 170W 40台

消費電力※1

  • A16,600W(415W×40台)
  • B7,360W(184W×40台)

約56%省エネ

年間CO₂排出量※3

  • A約21.4t-CO₂
  • B約9.5t-CO₂

約11.9t-CO₂削減

光源寿命

  • A12000時間
  • B50000時間(セードを取り外した場合60000時間)

寿命約4.2倍

年間電気料金※2

  • A1,045,800円
  • B463,680円

582,120円お得

  • ※1:消費電力は、入力電圧200V時の値とする
  • ※2:電気料金単価: 21円/kWh(税抜)、年間点灯時間: 3000時間として算出
  • ※3:CO₂排出係数: 0.43kg-CO₂/kWhとして算出

3.4 ランプの落下防止機構

ホルダからの万一の落下防止抑制の為,ランプ本体に落下防止ワイヤを標準で取り付け,さらに口金上部へシリコン製の防振パッキンを付属し,2重の落下防止対策を講じている。ランプ取付時,防振パッキンによりソケット部と口金部が密着する事で,地震等による口金の緩みを防止する。また,万一ソケットや口金部が破損し,ランプを保持出来なくなった場合は,落下防止ワイヤにより落下を防止する。

3.5 幅広い使用環境

点灯電圧は,100V/200~242Vのフリー電圧,50/60Hz共用で,使用温度範囲は-20~+50℃と幅広い温度範囲で使用が可能。夏場,高温となる工場や倉庫の高天井へ対応できる。(セード併用時での使用上限温度は40℃となる為,40℃を超える環境ではセードとの併用は不可)

3.6 極性フリー

LEDアイランプSPシリーズでは,ランプ部にブリッジ回路を組み込んであるため,電源装置を逆接しても点灯が可能で,極性に関係なく点灯できる。

4.おわりに

放熱性の問題より困難であった既存の器具を併用できるメタルハライドランプ400W対応のLEDランプの製品化により,高天井照明用LEDアイランプ及び,LEDアイランプSPのラインナップを拡充する事ができた。(表2参照)

今後の課題としては,更なる放熱性の改善,光量アップ,コストダウンであり,高効率・省エネ化目指して改善を継続して進めていく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第30号掲載記事に基づいて作成しました。
(2014年5月26日入稿)


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