技術資料

LEDioc® LEDライトバルブ™ 124W

製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課

キーワード

LEDライトバルブ™,LED,街路灯,高効率,省エネ,長寿命,電源別置

1.はじめに

街路灯などで多数使用されている水銀ランプからLEDへの光源の代替は,省エネを目的として需要が高まってきている。近年のLED高効率化に伴い,器具性能も使用に耐え得るレベルまで上がってきており,各社からLED照明器具の市場投入が増えてきているが,既設器具にそのまま使用できるLEDランプの需要についても,初期コストを抑える等の目的で同じく需要が増えてきている。弊社では主に街路灯に使用される水銀灯代替のLEDランプをLEDライトバルブ™シリーズとして展開しているが,今回水銀灯300Wクラスを代替対象としたLEDランプを124W(電源別置形)として新規開発を行った。

2.商品概要

ランプ外観図を図1に示す。商品仕様を表1に示す。昼白色(Ra=70)と電球色(Ra=85)の2タイプをラインアップした。外観は両者共通である。

図1 ランプ外観図

表1 商品仕様
ランプ形式 LDTS124N-G-E39A LDTS124L-G-E39A
ランプ電力 [W] 124
全光束 [ℓm] 13500 10000
ランプ効率 [ℓm/W] 109 81
相関色温度 [K] 5000 3000
平均演色評価数 [Ra] 70 85
定格寿命 [h] 40000
全長 [mm] 274
外径 [mm] 114
質量 [g] 760

一般的な街路灯器具,下面解放器具(別途専用落下防止ワイヤが必要),吊り下げ形器具が適合する他,一部の開放形街路灯器具(ガードフレームタイプ等,ソケット部に防水パッキンがついている器具)にも適合が可能である(密閉形の場合は内容積の大きい器具に限定)。

LEDioc LEDライトバルブシリーズの諸要素比較を表2に示す。本商品の追加により,シリーズとして,既設HID照明器具を利用した代替提案の幅が広がった。

表2 LEDioc LEDライトバルブシリーズ諸要素比較(5000K)
ランプ電力 [W] 33 72 87 124
全光束 [ℓm] 4000 8000 10000 13500
定格寿命 [h] 40000
全長 [mm] 175 247 247 274
外径 [mm] 74 90 100 114
質量 [g] 240 420 510 760
削減消費電力 [%] 67 63 63 57
代替水銀ランプ 100W 200W 250W 300W
外観

3.機能・特長

3.1 高効率

LEDが発する熱を効率よく放熱することで,ランプ効率109(ℓm/W)と水銀ランプの2倍以上の高効率を実現した。

3.2 配光性能

発光面の広いLEDモジュールをランプ側面に配置する事で水銀ランプ300W(ランプ+器具)と同等の配光性能を実現した。

図2に両者の照度分布図の比較を示す。

図2 照度分布比較

水銀ランプ 300W
(照明器具形式:HG5011C)
LEDライトバルブ 124W昼白色
(照明器具形式:HG5011C)
水平面照度分布図
光束 15800ℓm 13500ℓm
保守率 0.69 0.64
灯高 4.8m 4.8m
  • ※曲線上の数値は維持水平面照度を示す 単位(ℓm)

3.3 極性フリー

LEDは直流点灯であるため,従来の電源別置形は接続時にランプと電源ユニットの極性合わせが必要であったが,ランプ内部にブリッジ回路を搭載したことにより,プラス・マイナスが逆の接続でも点灯可能な極性フリーを実現した。

図3 ランプ結線

3.4 低消費電力

水銀ランプ300Wから置き換えた場合,消費電力を約57%削減できる(200V時)。

3.5 長寿命

ランプきょう体の放熱設計の最適化により,水銀ランプの約3.3倍の定格寿命40000時間を達成し,メンテナンスコストを削減した。

図4 水銀灯300W比較

  • A水銀ランプ300W(200V安定器)
  • BレディオックLEDライトバルブ124W昼白色(200V時)

消費電力※1

  • A310W
  • B134W(200V)

約57%省エネ

光源寿命

  • A12000時間
  • B40000時間

寿命約3.3倍

3.6 演色性

平均演色評価数は,水銀ランプのRa=40に対し,昼白色Ra=70,電球色Ra=85と高いため,水銀ランプと比較して色の見え方が自然である。

3.7 幅広い使用温度

-20℃~40℃の幅広い温度範囲で使用可能である。

3.8 レトロフィット

既存器具をランプと安定器の交換のみで使用可能である。

図5 LEDライトバルブ/LED街路灯 置換比較

4.おわりに

今回の開発により,街路灯器具などで使用する水銀ランプ300Wに相当するLEDランプを製品化する事ができ,既存器具をそのまま利用したLED化の提案が可能になった。

今後,より付加価値の高い(高効率化,省エネ化等)LEDランプの商品開発を行っていく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第30号掲載記事に基づいて作成しました。
(2014年5月26日入稿)


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