技術資料

耐圧防爆形LED高天井照明器具

製造統括本部 照明部 商品開発課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 照明部 LEDエンジニアリング課

1．はじめに

震災以降，日本全体で節電ニーズは高まり，防爆機器が必要なプラント・工場においてもLED化が急速に進んでいる。当社は，耐圧防爆形白熱灯の代替商品である耐圧防爆形LED照明器具，安全増防爆形蛍光灯器具の代替商品である安全増防爆形LED照明器具などを開発・商品化し，市場に投入した。

現在，1種危険場所エリア(Zone1)の高天井照明には耐圧防爆形HID照明器具(水銀灯，高圧ナトリウム灯，メタルハライド灯)が多く使用されている。市場の省エネへの取り組みが進んでおり，高天井照明においても代替商品を強く求められている。高効率・長寿命光源であるLEDと反射板を搭載することにより配光制御を行い，省施工を考慮した耐圧防爆形LED高天井照明器具の開発を行い市場に投入した。

2．商品概要

器具の外観図を図1に示す。商品仕様を表1，品種一覧を表2に示す。

表2 品種一覧

種類	形式	寸法(全長×巾×高さ 単位:mm)
直付吊	EXL1111SA1/2.4-16	360×360×495
	EXL1111SA1/2.4-22	360×360×495
	EXL1111SA1/2.4-28	360×360×500
パイプ吊	EXL2111SA1/2.4-16	360×360×905
	EXL2111SA1/2.4-22	360×360×905
	EXL2111SA1/2.4-28	360×360×910
40°ブラケット吊	EXL3111SA1/2.4-16	725×360×760
	EXL3111SA1/2.4-22	725×360×760
	EXL3111SA1/2.4-28	730×360×760
スタンド吊(L形)	EXL6111SA1/2.4	360×360×510

• ※全4機種(タイプ)，厚生労働省型式検定合格済み。
• ※上表に示す形式について，直付吊・パイプ吊・ブラケット吊は，セット形式(本体，吊具，位置ボックス，プラグ)，スタンド吊は，セット形式(本体，吊具)を示す。

3．特徴・機能

3.1 配光性能

本商品の光学設計は，従来品である耐圧防爆形水銀灯器具の配光形状を目標とした。LEDの配置については，図2に示す通り，器具中心から離れた円周状に配置し，器具外周放熱面への距離が短くなり，放熱効果を高めた。

さらに，ガードによる損失を減らす為，ガードの格子目に囲まれた領域のほぼ中間にLEDを配置した。反射板形状については，ガードによる光損失や光効率を悪化させる多重反射成分の低減，床面照度ムラを考慮した形状とした。

3.2 器具構成

器具構成は，LED室，電源装置室，端子箱にて構成。熱解析を行いLEDの放熱，電源への影響を考慮し，LED室と電源装置室を別々の筐体とした。

また，既設ボックスへの取付けを可能にするため，器具上部に端子箱を一体化させた。

器具構成については，図3に示す。

3.3 幅広い使用環境

定格電圧は，100V～240V，50/60Hz共用で，使用温度範囲は，-20℃～+40℃，防爆構造記号はd3aG5であり，多様な使用環境に対応可能である。

3.4 長寿命，省メンテナンス，省エネ

本製品の器具寿命は60000時間であり，耐圧防爆形水銀灯に使用している水銀ランプ(HF400X)の定格寿命12000時間と比較し，4回分のランプ交換が削減できる。メンテナンス回数の削減が可能であり，照明器具の改修頻度が低い防爆エリアでは特に経済メリットが大きい。

消費電力については，約126W(定格電圧200V時)であり，水銀ランプ(400W)やメタルハライドランプ(400W)と比較し約70％，セラミックメタルハライドランプ(360W)と比較し約68.5％の節電を実現した。

水平面照度分布，消費電力の比較例

• 設計条件：反射率：天井30％、壁30％、床10％
• ※1：消費電力は電源電圧200V時の特性を示す
• ※2：電気料金目安単価は21円/kWh(税抜)、年間点灯時間は3000時間で計算
• ※3：CO₂排出量は0.43kg-CO₂/kWhとして算出
• ※：上記の照度分布図は維持値を示す。(単位：ℓx)

4．おわりに

本商品は，従来品である耐圧防爆形水銀灯と比較し，同等以上の明るさや長寿命化による省メンテナンス，省エネなど性能を満足させ，発売することができた。

今後，市場ニーズを分析し，耐圧防爆形LED照明器具の品種拡充を順次図っていく。