技術資料
LEDioc CEILING HB™高出力形 - LED高天井用照明器具 -
株式会社アイ・ライティング・システム 機器技術部 第一機器技術課
キーワード
LEDioc CEILING HB™,LED,高天井,高出力,省エネ,CO₂削減
「LED高天井照明器具」のご案内
低温・高温環境に対応、耐震設計基準適合などの機能を有し、工場や倉庫・体育館などで活躍する「LED高天井照明器具」の詳細は以下よりご覧いただけます。
- LED高天井照明器具
1.はじめに
本商品は,2010年6月に発売した,LEDioc CEILING HB™の高出力タイプであり,サービスステーション等のキャノピー照明,ヤード照明として使用されるLED高天井用照明器具である。
LEDパッケージの技術は日々進歩しており,最新のLEDパッケージを使用することにより光束の増加,消費効率の上昇が可能となり,照明器具の性能向上が実現できた。
以下に,このLED高天井用照明器具の概要を紹介する。
2.商品概要
本商品は,シチズン電子製21W高効率型LEDを8個搭載しており,配光制御は反射鏡(広角配光は反射鏡無し)で行い,狭角配光,中角配光,広角配光の3種類を実現している。
横方向への光漏れのない環境配慮形TYPE-Fと横方向への光で集客を狙うアイキャッチ形TYPE-Vの2タイプの照明器具から構成されている。また,専用取付金具として天井取付用の直付金具とエリア照明用の頭柱付金具も備えており,照明器具と専用取付金具を組み合わせたセット商品となっている。
2.1 商品構成
表1に商品構成を示す。本商品は計36品種から構成される。用途が2種類,形状が2種類,配光が3種類,LED色温度が3種類である。
タイプ | 器具形式 | 金具形式 | |||
---|---|---|---|---|---|
用途 | 形状 | 配光(目安) | LED色温度 | ||
直付 | TYPE-F | 狭角 | 5000K | EHCL19711N/SA1/2.4 | 直付金具 AEHCL11 |
4000K | EHCL19711W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19711LW/SA1/2.4 | ||||
中角 | 5000K | EHCL19712N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19712W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19712LW/SA1/2.4 | ||||
広角 | 5000K | EHCL19713N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19713W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19713LW/SA1/2.4 | ||||
TYPE-V | 狭角 | 5000K | EHCL19721N/SA1/2.4 | ||
4000K | EHCL19721W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19721LW/SA1/2.4 | ||||
中角 | 5000K | EHCL19722N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19722W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19722LW/SA1/2.4 | ||||
広角 | 5000K | EHCL19723N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19723W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19723LW/SA1/2.4 | ||||
頭柱付 | TYPE-F | 狭角 | 5000K | EHCL19731N/SA1/2.4 | 頭柱付金具 AEHCL12 |
4000K | EHCL19731W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19731LW/SA1/2.4 | ||||
中角 | 5000K | EHCL19732N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19732W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19732LW/SA1/2.4 | ||||
広角 | 5000K | EHCL19733N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19733W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19733LW/SA1/2.4 | ||||
TYPE-V | 狭角 | 5000K | EHCL19741N/SA1/2.4 | ||
4000K | EHCL19741W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19741LW/SA1/2.4 | ||||
中角 | 5000K | EHCL19742N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19742W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19742LW/SA1/2.4 | ||||
広角 | 5000K | EHCL19743N/SA1/2.4 | |||
4000K | EHCL19743W/SA1/2.4 | ||||
3000K | EHCL19743LW/SA1/2.4 |
2.2 外観
TYPE-F,TYPE-V,の外観を図1,図2に,外形・構造を図3,図4に,それぞれ示す。
2.3 仕様
表2に仕様を示す。
項目 | 仕様 |
---|---|
本体 | アルミダイカスト |
前面枠 | アルミダイカスト |
電源ケース | アルミダイカスト |
前面ガラス | 強化ガラス |
専用取付金具 |
|
塗装 | ポリエステル樹脂粉体塗装 |
仕上色 | ホワイト(半艶) |
LED | 21W×8個 |
使用周囲温度 | -5℃~35℃ |
質量 | 10.7kg(専用取付金具込み) |
LED電源内蔵 | 入力電圧:100V~240V 周波数:50Hz/60Hz共用 |
消費電力 | 190W |
口出線長 | 800mm |
3.特徴・機能
3.1 放熱構造
LEDioc CEILING HB高出力形は2010年6月に発売したLEDioc CEILING HBの灯体を流用し,熱伝導率の高いアルミダイカストのボリュームを主体とした伝熱・放熱の高効率構造を熱対策として採用している。しかし,従来のLEDでは高ワットになると発熱量が増え,LEDioc CEILING HBの灯体を搭載するとLEDのジャンクション温度が耐熱限界温度に達してしまう問題があった。
そこで本商品はLEDioc CEILING HB で使用していた13W型LEDと同等の放熱量しか持たない21W高効率型LEDを採用し使用することにより,温度の問題を解決し,さらに光束量を増やし消費効率を向上することが可能になり,器具光束は13W型LEDを使用している方が13600ℓmに対して21W高効率型LEDを使用している方は20000ℓmと約1.5倍となり,消費効率も60.6ℓm/Wから105.3ℓm/Wの高効率を実現している。
3.2 配光特性
TYPE-F,TYPE-V共に狭角,中角,広角の3種類の配光パターンを設定した。
TYPE-Fは,光害を抑制する照明に,TYPE-Vは,集客用の照明に適している。水平面照度分布図(単位:ℓx)を図5~図10に示す。(5000Kタイプ)
- ※上記の水平面照度分布図は初期値を示す。(単位:ℓx)
3.3 電源
LED電源を内蔵で,安定器の2次側配線が不要な省施工形の照明器具となっている。電源電圧AC100~240V・電源周波数50/60Hz共用である(図11)。
3.4 専用取付金具
直付金具と頭柱付金具の2種類を設定した。直付金具は,天井取付照明用として,頭柱付金具は,エリア照明用として使用できるようになっている。
器具と直付金具との組付例を図12に,器具と頭柱付金具との組付例を図13に示す。
頭柱付金具においては,照射角30°の範囲で角度調整ができる金具となっている。
照射角度30°を図14に示す。
また,今後の開発品としてアームを取り付けた投光器タイプ(図15)を開発する。
- ※編集注:投光器タイプは2012年9月に発売済み
3.5 省エネ,CO2削減
消費効率105.3ℓm/Wの高効率化を達成したことにより,従来品と比較して約54%省エネ,年間CO₂排出量も約6.9tの削減が計れる。従来品との経済比較を図16に示す。
従来品との経済比較
- Aメタルハライドランプ400W SS用器具+メタルハライドランプ400W(HSTD402+MT400LSH/BH)灯高:5.0m 取付台数:18台
保守率:0.47 - BレディオックシーリングHB 高出力形 タイプV 広角配光(EHCL19723N/SA1/2.4)灯高:5.0m 取付台数:18台
保守率:0.77
光源
- Aメタルハライドランプ400W
- BLED
消費電力※1
- A7470W
- B3348W
約55%省エネ
年間電気料金※2
- A627,480円
- B281,232円
約35万円お得
年間CO₂排出量※3
- A約12.8t-CO₂
- B約5.8t-CO₂
約7t-CO₂削減
光源寿命
- A12000時間
- B60000時間
寿命5倍
平均水平面照度
- A641ℓx
- B828ℓx
明るさ約1.3倍
- ※1:消費電力は電源電圧200V時の特性を示す
- ※2:電気料金目安単価は21円/kWh(税抜)、年間点灯時間4000時間で計算
- ※3:CO₂排出量は0.43kg-CO₂/kWhとして算出
4.おわりに
本商品は,高効率型LEDを採用することにより,105.3ℓm/Wという器具の高効率を達成することができた。
次の商品開発としては,今回のLED器具の水平展開を計り,更なる省エネ,CO₂削減が実現できる商品の開発を目指したいと考える。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第26号掲載記事に基づいて作成しました。
(2012年6月8日入稿)
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