技術資料

LEDioc LEDライトバルブ30W・72W - 水銀ランプ100W・200W代替LEDランプ -

製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
株式会社アイ・ライティング・システム 機器技術部 第一機器技術課

キーワード

LEDライトバルブ,軽量化,省エネ,全周配光,既設器具取付,電源別置形

1.はじめに

これまで水銀ランプが多く使用されてきた公園・街路灯市場では,他の市場と同様省エネ光源への切り替えが進んでおり,高効率なセラミックメタルハライドランプの需要が高まってきている。さらに,LED化への需要も多く,当社もLED専用器具の開発も進めているが,一方で既設の器具を利用しランプ・安定器交換のレベルで省エネが達成できるLEDランプの要望も多い。このような状況を踏まえ,既存HID器具との組み合わせによるLED化の促進を行い,LED化の需要に応える事で売り上げを確保するため,水銀ランプとの置き換えが可能なLEDランプ・電源ユニットの開発を行った。

2.商品概要

商品外観を図1に,商品仕様を表1に示す。

図1 商品外観

表1 商品仕様
形式 LDTS30N-GA LDTS30L-GA LDTS72N-G-E39A LDTS72L-G-E39A
消費電力 30W 72W
相関色温度 5000K 3000K 5000K 3000K
全光束(ℓm) 4000 2800 8000 5600
光源寿命 40000
平均演色評価数 Ra70 Ra85 Ra70 Ra85
質量 290g 460g
電源部
(専用電源)
形式 LE030025HS1/24-A1 LE072044HS1/24-A1
定格電圧 100V~242V 100V~242V
消費電力
100V
35W
200V
34W
100V
80W
200V
78W
質量 2.5kg 2.5kg

※上記スペックは執筆時現在のものです

本ランプは,構造の工夫により軽量化を図り既設照明器具を使用可能なLEDランプであり,HIDランプから本ランプにそのまま代替交換することができる。LEDモジュールを3面に配置した30Wタイプ(水銀灯100W相当)と4面に配置した72Wタイプ(水銀灯200W相当)の2種類がある。相関色温度は5000Kと3000Kの2種類を用意している。専用電源と組み合わせて使用する(表1)。

3.特長・機能

3.1 全周に広がる配光

本ランプ専用にカスタマイズした発光面の広いLEDモジュールを側面に配置(30Wタイプは3面,72Wタイプは4面)することでHIDランプと同等な全周配光を実現した。例として,水銀ランプとの比較で,等照度線の円の大きさ(表2),あるいは壁面の目盛を背景に点灯させたランプの光の広がり(図2)によって,そのことを確認できる。

表2 水銀ランプとLEDライトバルブの水平面照度分布比較

30W (E26口金形)

  • A水銀ランプ100W(照明器具形式:HG3011C)保守率:0.69
  • BLEDライトバルブ30W(昼白色)(照明器具形式:HG3011C)保守率:0.60

光源全光束

  • A4200ℓm
  • B4000ℓm

水平面照度0.5ℓxライン同等

  • ※曲線上の数値は維持水平面照度を示す。単位:ℓx

72W (E39口金形)

  • A水銀ランプ200W(照明器具形式:HG5011C)保守率:0.69
  • BLEDライトバルブ72W(昼白色)(照明器具形式:HG5011C)保守率:0.60

光源全光束

  • A9900ℓm
  • B8000ℓm

水平面照度0.5ℓxライン同等

  • ※曲線上の数値は維持水平面照度を示す。単位:ℓx
図2 水銀ランプとLEDライトバルブの明るさと光の広がりの比較

水銀ランプ 100W

LEDライトバルブ 30W(昼白色)

水銀ランプ 200W

LEDライトバルブ 72W(昼白色)

3.2 高効率発光

本ランプへの使用に特化したLEDモジュールを採用し,放熱構造の改良や,LEDをダウンドライブさせたことにより,高効率発光が可能となり,30Wタイプで光束4000ℓm,発光効率133ℓm/W,72Wタイプで光束8000ℓm,発光効率111ℓm/Wを実現した。

3.3 高い省エネ性

水銀ランプ100W・200Wと比較し,本ランプ30Wタイプで約72%,72Wタイプで約62%の省エネ効果を実現した。

※:電源電圧100V時の特性の場合

3.4 大幅な軽量化

当初,本ランプは中央部に構造体を備えており,この構造体の周囲にLEDモジュールを配置し,構造体へ蓄熱する構造としていたが,試作を繰り返し行った結果,LEDモジュールの上下を保持し中央部の構造体を無くすことにより,30Wタイプで約15%(目標340gに対し290g),72Wタイプで約23%(目標590gに対し460g)の軽量化を実現した。

3.5 放熱効果

軽量化のために中央部の構造体を取り除いたため,蓄熱することはできなくなったが,LEDモジュール背面の放熱フィンを大きくすることと,空洞になった中央部の煙突効果により,中央部の構造体を無くす以前と比較し同等の放熱効果を実現した(特許出願済み)。

4.おわりに

LEDライトバルブは,既設の照明器具にランプと電源を交換するだけで使用可能(一部の器具を除く)となるため,初期投資額を低く抑える事ができ,多用途に使用できるLEDランプである。

今後は,適合器具の拡大・品種の拡大を行う事で,LEDライトバルブの定着化を図りたい。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第26号掲載記事に基づいて作成しました。
(2012年5月29日入稿)


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