施設報告
新湊大橋(臨港道路富山新港東西線)の照明設備
国内営業本部 福岡営業所 技術課
国内営業本部 営業技術部 LCS
国内営業本部 西日本技術設計センター
国内営業本部 北陸営業所
国内営業本部 富山事務所
キーワード
ライトアップ,LED投光器,新湊大橋,富山新港
1.はじめに
新湊大橋は,富山県射水市に位置する富山新港港口部の東西地区を結ぶ日本海側最大級の斜張橋で,2012年9月に開通した(図1)。総延長はアーチ部分も含めて約3.6km,海上に架かる主橋梁部は600m,橋を支える主塔の高さは127mという規模を誇り,橋桁から海面までの高さは47mで,大型船もスムーズに航行することができる。海抜約50mに2車線の自動車道路があり,その下に自転車と歩行者の通路(愛称:あいの風プロムナード)がある2層構造であることも大きな特長となっている。
新湊大橋の開通により港の東西地区がつながり,物流・人流の円滑化と効率化,物流コストの削減が図られるとともに,既存の観光資源と連携した新たな みなと空間の創出に期待が寄せられている。(2012年10月竣工)
2.照明設計
2.1 照明手法
本施設は,白色で統一された橋梁で,夜間演出は,周囲とも調和するシャープで優美な橋を幻想的に浮かび上がらせる計画となっており,設計当初はHID光源で計画されていたが,維持管理費用の低減やCO₂排出量削減による環境負荷の低減を図るため,長寿命・低消費電力のLED投光器を用いた計画を提案した。それに伴い点灯実験を行い,ライトアップ効果の確認が取れたことによりLED投光器が採用された。ライトアップの照明手法は下記の事項に留意して決定した(図2)。
- HID光源を使用した場合の演出効果の再現
- 主塔をシャープに照らし出す
- ワイヤーを全体的に照らし出す
- 橋脚部を全体的に照らし出す
2.2 主塔部照明
主塔の高さは127mと高いため,主塔下部および自動車道路(海抜約50m)からの双方よりライトアップを行った。主塔全体を照らすには「高出力」で「シャープな配光」の投光器が必要となる。
このような条件を満足させるために,高出力形LED投光器(LEDioc FLOOD BLITZ®[レディオック フラッド ブリッツ™])の狭角タイプ(E4021N/SA1/2.4, E2021N/SA1/2.4)を採用した。LED投光器は漏れ光が少ないため,主塔が重点的に照らされ,夜空との対比によりシャープに浮き上がる景観が実現した。
2.3 ワイヤー部照明
ワイヤーは橋全体を支えるために広大な範囲を照明することとなる。さらにHID光源を使用した場合の演出効果を再現するために,照度分布図を作成し演出効果が同等となる機種選定を行い,高出力形LED投光器(LEDioc FLOOD BLITZ®)の狭角タイプ(E2021N/SA1/2.4)を採用した。HID光源の計画時に漏れ光を抑制するため,ルーバーを使用した配光となっていたが,LED投光器では狭角タイプで同等の配光となり省施工化を実現した。
2.4 橋脚部照明
橋脚は陸上および海上にあり,投光器の設置場所が橋脚により異なるため,各橋脚が同等のライトアップ効果となるように機種選定を行い,高出力形LED投光器(LEDioc FLOOD BLITZ®)の狭角タイプ(E2021N/SA1/2.4)および中角タイプ(E2022N/SA1/2.4)を採用した。HID光源と比較し,光束量では劣るLED光源での演出のため,対象面積に対し重点的に照明することで同等の明るさを確保した。また,主塔と同様に漏れ光が抑制されたことで周囲との対比により,明るさ以上の見え方を実現している。
2.5 照明器具の設置箇所および数量
主塔上部およびワイヤーを照らし出す投光器は,本線ガードレール外側に取付けることにより運転者の視界にLED投光器の発光部分が見えないように配慮した(図3)。
図3 ワイヤー部投光器設置状況
主塔下部を照らし出す投光器は,主塔基礎部に設置したが基礎高さが海面から1m程度となり,波の高い時には投光器に直接海水がかかる事が予測されるため,2m程度の照明柱の上に投光器を設置した(図4)。
図4 主塔下部投光器設置状況
橋脚を照らし出す投光器は,橋脚が陸地にある箇所については橋脚にブラケット架台を取付け上方向にライトアップを行った(図5)。橋脚が海上にある箇所については,メンテナンス等を考慮し陸地に照明柱を設置し上方向にライトアップを行った(図6)。
照射対象 | 照明器具形式 | 数量 |
---|---|---|
主塔上部+ワイヤー部 | E4021N/SA1/2.4 | 16 |
E2021N/SA1/2.4 | 56 | |
主塔下部 | E4021N/SA1/2.4 | 16 |
E2021N/SA1/2.4 | 12 | |
橋脚 | E2021N/SA1/2.4 | 16 |
E2022N/SA1/2.4 | 24 |
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