施設報告
園田競馬場ナイター設備工事の照明設備 - 競馬場納入施設例 -
国内営業本部 西日本技術設計センター
国内営業本部 神戸営業所
国内営業本部 大阪営業所 第一営業課
キーワード
園田競馬場,関西初,内蔵ルーバ,高効率形投光器,LED,省エネルギー
1.はじめに
園田競馬場は,兵庫県尼崎市に位置し1930年12月に開場された歴史のある競馬場である。大阪国際空港から,3km南にあるため飛行機から競馬場の全景を見ることができる。
本競馬場は,右回りダートコース1周1051mを擁し,ゴール前は213mの直線となっている。また,向正面から3コーナーにかけて高低差1.2mの登り坂となっており,コース幅もフルゲート12頭に対応している。(図1)新しいエンタテイメントとして,関西初のナイター競馬「そのだ金曜ナイター」という愛称で9月7日から11月9日までの毎週金曜日に開催された。(図2)(平成24年9月竣工)
2.照明計画および照明手法
2.1 照明計画
本競馬場の照明計画にあたっては,以下のようなコンセプトにて計画を行っている。
- 適切な明るさを確保することで,安全・円滑なナイターレースへの対応。
- 省エネルギーを考慮した配置および照明器具の選定により,ランニングコストの削減。
- 場外への漏れ光を抑えた照明器具の選定により,周辺環境との調和。
2.2 照明手法
馬場照明は,北海道の門別競馬場をモデルに全般照明方式と走路照明方式から走路のみを照明する走路照明方式を採用している。全般照明方式は,全体的に照明するので全てが明るく安全性は向上するが,演出効果がなく騎手や観客に対して直接,光源が目に入り眩しさを感じる恐れがある。また,照明柱を多く建柱するため昼間の景観に影響を及ぼしたり,施工性や経済性も低下する。走路照明方式は,走路のみを照明するため走路以外は比較的暗くなるが,演出効果が高く追跡照明が可能なため,騎手や観客に対して光源の眩しさを抑えることができる。また,照明柱を少なくすることができるので,昼間の景観も損なうことなく施工性や経済性も配慮でき,省エネルギーな設備が可能である。本照明方式の特長を以下に示す。(図3)
- 観客の視線を走路に向ける照明演出。
- 騎手や観客へのグレアの影響を低減できる照明配置。
ゴール前直線部(■)スタンド屋上・走路外側配置
向正面直線部(■)走路内側配置(復電時用走路外側配置)
コーナー部・スタート部(■)走路両側千鳥配置 - 騎手がグレアを感じることなく,安全にレースができるように追跡照明を採用。
コーナー部およびスタート部は影を極力抑えるように,両側から照明し安全性を向上。
下見所(パドック)照明は,全般的に照明する必要があるため,下見所の両サイドに照明柱を建柱する他に,前側にも建柱することで馬や騎手に直接,照射でき,お客様から見たときに,馬の状態の確認や毛並みなどをきれいに見せることができる。(図4)
花道照明は,下見所から馬場まで繋がる通路であり,線形に沿って照明する必要があるため,通路沿いに千鳥配置で照明柱を建柱し照明をしている。(図5)
下見所裏壁面ライトアップは,壁面下から上方向に照射することで,浮き出た文字部分に陰影をつけ,より強調させている。また,照明器具が目立たないように通路裏の壁面に設置して景観に配慮している。(図6)
広場照明は,飲食店や下見所および出入口が混在するため,お客様が色々な方向に行き来する。お客様の安全の確保と読み書きができる程度の明るさを確保するために全般的に照明する必要がある。しかし,広場内に多くの照明柱を建柱すると通行に支障をきたし,危険であるためスタンドに設置されている太陽光パネル用の架台を利用し,照明器具を設置している。スタンドからの照明だけでは,補えない部分は既に設置されている照明柱や建屋を利用している。(図7)
3.照明設備
3.1 設計照度
馬場照明として,ゴール前直線は水平面で維持平均照度750ℓx以上,向正面直線,コーナーは400ℓx以上を確保している。また,ゴール前直線は,G.L.+1.5m高さの鉛直面(スタンドから走路を見た方向)で維持平均照度1000ℓx以上,向正面直線は860ℓx以上を確保している。(図8,9)
馬場照明の照度分布図を図10に示す。
その他の主な照明施設として,下見所照明は,水平面で維持平均照度500ℓx以上,花道は,水平面で維持平均照度50ℓx以上,広場照明は,水平面で維持平均照度30ℓx以上を確保している。
広場全体の照度分布図を図11に示す。
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