施設報告

維新百年記念公園陸上競技場の照明設備

国内営業本部 仙台営業所 技術課
国内営業本部 広島営業所 技術課

キーワード

国体会場,第一種公認陸上競技場,発電機併用,ローテーション点灯

1.はじめに

「維新百年記念公園」は,山口県山口市にある都市公園(通称:維新公園)である。陸上競技場,体育館,野外音楽堂などを備え,山口県におけるスポーツ・文化の拠点となっている。陸上競技場は,平成23年秋に開催された第66回国民体育大会(おいでませ!山口国体),第11回全国障害者スポーツ大会(おいでませ!山口大会)のメイン会場となるのを機に,平成23年リニューアルされた。全天候型トラック400m×9レーン,約7170m²の天然芝のフィールドで収容人員約20,000人(含む芝生席)を有する県内唯一の日本陸上競技連盟公認第一種陸上競技場である。今回,本競技場のナイター照明設備を納入したので以下に照明設備の概要を報告する。図1に施設外観を示す。

図1 施設外観

2.照明計画(設計コンセプト)

本施設は,メインスタンドにかかる白い大屋根が特徴的な競技場である。照明設備には,施設デザインの特徴を活かしつつ,国民体育大会および全国障害者スポーツ大会のメイン会場にふさわしい照明設備であることが望まれる。さらに,省エネ・省メンテナンス等,経済性にも優れた設備であることも当然期待される。本施設の照明設計のコンセプトを以下に示す。

  1. 快適な照明環境が確保された施設であること(快適な照明環境の確保)
    利用者が安全かつ快適に競技または観戦が行えるような照明環境(照度・照度均斉度・演色性・グレア)を満足する照明であること。
    特に,本施設は,国民体育大会・全国障害者スポーツ大会での利用の他,一般利用,あるいは公認競技場としての利用も計画されており,より高い照明環境が要求される。
  2. 経済性に優れた施設であること(省エネ化・省メンテナンス化)
    大規模施設であるにもかかわらず,省エネ・省メンテナンス化を取り入れ,経済性に優れた照明であること。
  3. 施設デザインにふさわしい照明設備であること(景観との調和)
    施設デザインにおいて照明設備が目立つことなく,かつ,その機能を充分に発揮できる照明であること。

3.設備概要

3.1 照明方式

照明方式は,メインスタンド大屋根を利用した2列のライン配置とバックスタンド側照明塔2基からの投光照明を採用している。今回,メインスタンド大屋根からの照明を前方,後方の2列のライン配置としたのは,照度均斉度確保,メインスタンド手前部分の照度確保のためである。

メインスタンド後方取付器具については,取付高さが低くなる。しかしながら,前述のとおり,照度および照度均斉度確保のためには必要であり,グレア低減のためルーバ付としている。同様にスタンド前方取付器具についてもサッカーコーナー延長上となる部分に設置される器具についてはルーバ付としている。

メインスタンド取付器具は,屋根上部に設置するのではなく,スタンド屋根下に配置することにより,昼間の景観上,照明器具が目立ちにくく配慮されている。これにより,夜間の上空へ漏れる光を抑制でき,器具の点検は,メインスタンド屋根に設けられた開口部またはキャットウォークより行えるようになっている。図2,図3,図4,図5に照明器具設置状況を示す。

図2 照明取付イメージ図(メインスタンド大屋根・前方)

図3 照明器具取付状況(メインスタンド大屋根・前方)

図4 照明器具取付状況(メインスタンド大屋根・後方)

図5 照明器具設置状況(照明鉄塔×2基)


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