施設報告
偕楽園・桜山駐車場及び偕楽橋照明設備改修
国内営業部 水戸営業所
キーワード
LED,駐車場照明,高欄照明,LEDioc ROAD™,偕楽園,偕楽橋
1.はじめに
偕楽園(茨城県水戸市)は「日本三名園」の一つで,天保13年(1842年)に水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園された日本庭園である。梅の名所として有名であるが,その他にも四季折々に見所があり1年を通して多くの来園者が訪れる。
今回,本施設のメイン駐車場である桜山第1,第2,第3駐車場の照明設備の新規設置及び隣接する千波湖と偕楽園を結ぶ偕楽橋の照明設備の改修を行った。以下に,これら照明設備の概要を報告する。
2.設計コンセプト
- 安全性の確保
夜間来園の防犯上の観点から,最低限の明るさを確保し安全性の高い施設とすること。 - 歴史ある日本庭園の景観を乱さないこと
安全性を確保しつつも,日本庭園の落ち着いた雰囲気や景観を乱すことのないようにすること。 - 省エネ性に優れていること
最新技術による照明設備を採用し,省エネ化を推進する。
3.設備概要
3.1 桜山駐車場
3.1.1 納入設備
景観に溶け込むよう照明器具自体が主張しすぎない器具及びポールのデザイン選定とした。(下記設計コンセプト 1.)また,省エネ性の高いLED照明を採用した。(下記設計コンセプト 3.)
表1に設備の一覧を示す。
LED道路灯 E7703SA1/2(400Cタイプ交差点用) | 28台 |
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6m段付鋼管ポール(溶融亜鉛めっき後指定色塗装) | 28基 |
3.1.2 照明設計
下記の考えに基づき,照明設計を行った。また,図1,図2に桜山第3駐車場の照度分布図と夜間の遠景を示す。(第1,第2駐車場は省略)
- 照明器具自体が主張しすぎない器具及びポールのデザイン選定とする。
- 平均照度10ℓx以上を確保する。
- 省エネ性の高いLED照明を採用する。
- ポール自体による圧迫感がなく,かつ効率的に照明できる6mポールとする。
- 通常の道路照明よりも低い6mポールにおいても,路面に照度むらがなく,前方に光が届くよう,連続照明用でなく交差点用のLED道路灯を採用する。
参考のため,図3に,6mポールにおける連続照明用と交差点照明用の照度分布比較(M=0.65とする)を示す。
3.2 偕楽橋
3.2.1 納入設備
既設の歩道橋の高欄照明の取替えのため,施工性のよい特注の高欄照明とした。(下記設計コンセプト 1.)
また,省エネ性の高いLED照明を採用した。(下記設計コンセプト 3.)
表2に設備の一覧を示す。
特注LED高欄照明器具 | 115台 |
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3.2.2 照明設計
下記の方針に基づき,照明設計を行った。また,図4に照度分布図(一部分)を,図5と図6に画像を示す。
- 既設の歩道橋のFL器具の取替えのため,高欄への器具の収まりと施工性のよさに注意する。(器具の取付イメージを図7に示す。)
- 平均照度20ℓx以上を確保する。
- 省エネ性の高いLED照明を採用する。
- 歩行者が偕楽橋から周りの千波湖などの景色を眺望する際に,照明によるまぶしさが邪魔をしないように取付角度など注意する。
高欄照明(幅員3.5m)では,取付高さ1.1m,取付間隔6.0mにて平均照度21.5ℓxを確保している。
4.おわりに
本施設では大型の駐車場においても,LEDで十分な照明環境を構築できることを確認でき,その後の照明設計においても「LED照明への移行」の大きな一歩となるご依頼であった。照明環境にも大変満足いただいたと同時に,歴史ある偕楽園の照明設備の整備に携わることができたことに非常に大きな喜びを感じる。
最後に,LED製品が注目を集め始めた段階で,LED照明器具の導入にご尽力いただいた関係各所の皆さまに感謝し,御礼を申し上げる。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第25号掲載記事に基づいて作成しました。
(2011年12月1日入稿)
納入事例
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