施設報告

小岩駅前北口通り会 商店街 街路灯

営業技術部 LCS
国内営業部 東京営業所 第一営業課

キーワード

商店街街路灯,間接照明,セラミックメタルハライドランプ,省エネルギー

1.はじめに

小岩駅前北口通り会商店街(図1)は,JR総武線小岩駅北口から北へ約200m,蔵前通りまでの商店街である。小岩駅のある東京都江戸川区は,「地区の将来のため,まちづくりの勉強をしましょう。」と,JR小岩駅周辺地区のまちづくりを推進している。区の提案を受け,この地域の代表者が「北口駅前地区勉強会」を設立し,小岩に適したまちづくりとはどのようなものなのか,再開発を行った地区の見学会や研修会などを開催し,定期的に街づくりの検討を行っている。その結果を,周辺地区住民に配布している「まちづくりニュース」等を通じて伝え,住民,事業者,江戸川区が一体となったまちづくりを推進している。

小岩駅前北口地区では,駅前広場の整備,北口通り拡幅の計画と合わせた,“駅前の顔づくり”が期待され,特に小岩駅前北口通り会商店街には,おしゃれな商店街づくり,安全な交通環境と安心・快適に歩ける歩道整備が計画された。(図1,2)

図1 改修前商店街

図2 改修後商店街

2.照明設計

魅力ある「駅前の顔づくり」が期待される今回の計画では,おしゃれな商店街,安全な交通環境と安心・快適に歩ける商店街をつくる照明設備として,次のようなコンセプトのもと提案を行った。

2.1 照明コンセプト

効率の良い照明器具

光が路面よりも天空へ漏れてしまう角グローブタイプの器具(図3)から反射板により必要な場所に光を制御する器具へ。(図4)

図3 改修前照明器具

図4 改修後照明器具

効率的な高さの設定

改修前は8m程度の高い街路灯であったが,5m程度の高さとする事で,街路樹などに遮光される部分を抑えた効率的な照明へ。(図5)

図5 効率的な高さの設定

低ポール照明により影の範囲を抑え路面を効率よく照らしだす

効率の良い光源

図6 効率の良い光源

セラミックメタルハライドランプ150W(MT150FCE-DW/S-G)は,改修前の水銀ランプ250W(HF250X)に比べ,ランプ効率が約1.7倍となり,明るさアップを図りながら省エネを実現できる。(図6)

演色性の高い光源

セラミックメタルハライドランプは平均演色評価数(Ra)90と,水銀ランプ(Ra40)の(図7)2倍以上で,色再現性が良く,色彩豊かな商店街をつくる。(図8)

図7 改修前水銀ランプ照明空間

図8 改修後セラミックメタルハライドランプ照明空間

グレアの抑制

図9 グレアの抑制

光源が直接見えるグローブタイプの器具から,下面配光タイプの器具とし,不快なまぶしさを軽減する。(図9)

オリジナルデザイン

特長のあるデザインで,小岩駅前の顔となるおしゃれな商店街づくりに貢献する。

図10 デザイン提案例

上記コンセプトの中,特にオリジナルデザインには強い期待があり,何案もの街路灯デザイン(図10)を提案し,最終案(図8)の採用が決定した。

3.照明設備

図11 照明灯wing

鳥や飛行機の羽(wing)をモチーフにした新しいデザインの街路灯で,商店街のイメージアップを図っている。羽にあたる部分にも光をあてることで,街をやわらかく照らしながら,未来へはばたく街,発展してゆく商店街をイメージしている。(図11)

3.1 光源

光源には効率が高く,演色性の高いセラミックメタルハライドランプを使用し,省エネ・CO₂削減に配慮するとともに,商店街を彩る色や行き交う人の様子を美しく見せ,街の活性化に貢献している。

図12 改修後商店街

歩車道用照明にセラミックメタルハライドランプ150W,色温度3200Kの光源(MT150FCE-DW/S-G)を使用し,ウォーム温白色のやわらかい光で,商店街を色鮮やかに照明する。羽にあたる部分を照らす光は,セラミックメタルハライドランプ35W,色温度4200Kのランプ(MT35CE-W/G12)ですっきりと軽やかに照らしている。(図12)

3.2 照明器具

上下配光の特注デザイン街路灯,車歩道2灯用が22基(図13),1灯用が4基(図14)設置された。

図13 2灯用街路灯

図14 1灯用街路灯

3.3 間接照明

車歩道用特注照明器具の上部にコンパクト投光器アーバンアクトβポケット®(HCF0375BHE/W)をのせ,その上にある羽(wing)をイメージした反射板を照らす。その反射板による間接照明で,空間の明るさ感を確保し,商店街の華やかさと未来へはばたく街,発展してゆく商店街のイメージを創出する。(図15,16)

図15 街路灯図面

図16 照明器具図面

3.4 照度

改修前の照明器具は,上向きグローブタイプにランプ効率51ℓm/Wの水銀ランプ250Wを使用していたため,路面の明るさは効率良く確保されていなかった。本件で新設された照明器具はミーティスアームタイプB(H6147)の反射板を内蔵し(図16),ランプ効率87ℓm/Wのセラミックメタルハライドランプ150W(MT150FCE-DW/S-G)を使用しているため,JIS照度基準-商店街(繁華)-通路の30-100ℓxを十分にクリアする大幅な明るさアップを実現している。

3.5 省エネ

改修前の水銀ランプ250W×4灯用の街路灯が,1基あたり消費電力1040Wに対して,新設した街路灯は1基あたり消費電力460Wと約55%の省エネルギー,CO₂削減を実現し,地球温暖化対策,環境負荷低減に大きく貢献している。

4.おわりに

大幅な照度アップを実現しながら,省エネルギーにも貢献する「小岩駅前の顔」となる商店街照明が実現できた。日中は周囲の景観に溶け込み,夜間には周囲を色鮮やかに照らしながら,街路灯自体もすっきりと浮かび上がり,賑やかでありながら爽やかな印象の商店街に生まれ変わり,大変満足して頂いていると聞く。

最後に,小岩駅前北口通り会商店街照明を実現するにあたり,ご協力いただいた皆様に感謝の意を申し上げる次第である。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第22号掲載記事に基づいて作成しました。
(2010年5月21日入稿)


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。