施設報告
首都高速道路料金所の安全対策及び省エネ対策 - 高速道路料金所内階段・通路施設納入例 -
国内営業部 東日本技術設計センター
キーワード
首都高速道路料金所,安全対策,省エネルギー,省メンテナンス,LEDioc CEILING™,大師料金所,狩場料金所,浮島料金所
1.はじめに
本施設は,首都高速道路の料金所に付帯する施設で,料金所で働く方々が各料金所ブース間・ブース~休憩所までを安全かつ円滑に移動するための施設である。
この施設は,約300mの通路部と各ブース・休憩所に降りるための階段を有する,3階建ての壁のない簡易構造となっている。主に,人が通行するのみの施設であるが,施設下部および周辺は高速道路であり,車の往来が常にある施設となっている。
今回,大師料金所・狩場料金所・浮島料金所(神奈川県横浜市および川崎市)の各通路・階段に照明設備を納入したので,以下にその概要を報告する。(図1,図2)
2.照明計画
本施設は,主に人が通行するための施設であるが,施設下部を常に車輌が通行する施設でもある。そこで,本施設の照明設備は以下に示す照明コンセプトにて設計を行った。
- 必要照度の確保
半屋外空間であること,人のみが通行する施設であることを考慮し,人の顔が認識できる水平面維持平均照度5ℓx以上を通路・階段・踊り場それぞれで確保する。 - 不快グレアの軽減
施設利用者のみではなく,施設下部を通行する車輌運転者に対しても不快グレアを与えないよう,現場で調査・実験を行い,最適な取付位置・角度を決定する。 - 省エネルギー
施設で使用する電気量をできるだけ軽減できる設備を採用する。 - 省メンテナンス
保守点検が行い易い設備を採用する。
3.設備概要
3.1 照明設備
本施設では従来,20W蛍光灯器具を使用していたが,消費電力7Wと大幅な消費電力の削減を可能とすることから,LEDioc CEILING™を採用した。この器具は,従来使用されていた器具と同等の照度を確保するとともに,前面に使用されている乳白グローブにより,LED独特の指向性やまぶしさを軽減していることも採用の理由の1つになっている。さらに寿命が40000時間と長く,ランプ交換の手間が省けるとともに,紫外域の波長が少ないので誘虫性が低く,清掃回数等も削減できることからも,大幅なランニングコストを削減することが可能となっている。
また,器具の大きさも従来器具に比べて小さいので,取付位置の制限も少なく,施工性が良いことも採用理由の1つとなっている。(図3,図4)
3.2 照明手法
照明器具の配置においては,配光特性を考慮し,基本的には通路・階段の中央部に配置した。(図5,図6,図7)
ただし,現場調査・実験において施設下部から見た際に不快グレアが発生しそうな場所においては通路の隅に寄せ,グレアの低減に努める配置とした。(図8,図9)
4.おわりに
高速料金所内の通路・階段で,人が使用する施設でありながら,通行車輌からの見え方等も考慮した設計を行ったことで,双方が利用しやすい景観を創り出している。
今回納入した3施設の他,花之木料金所及びみなとみらい料金所にも納入が決定しており,今後神奈川エリアの他の料金所,さらに東京エリアの料金所での採用の可能性も期待できる。
最後に,照明設計及び施工にあたり,ご指導,ご協力頂いた皆様に感謝の意を申し上げる。
- ※本設計は,2009年IWASAKI環境照明賞最優秀環境照明賞を受賞。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第22号掲載記事に基づいて作成しました。
(2010年5月18日入稿)
納入事例
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