施設報告
三木総合防災公園 屋内テニス場(ビーンズドーム)の照明設備 - 屋内テニス場納入施設例 -
営業本部 西日本営業部 神戸営業所
研究開発本部 技術研究所 照明研究室
キーワード
三木総合防災公園,屋内テニス場,日本最大級,ビーンズドーム,型押し強化ガラス,昼光
1.はじめに
三木総合防災公園屋内テニス場は,兵庫県三木市にある計画面積202.5haの県立広域公園内に建設され,災害時には隣接する広域防災センターと一体となって全県の広域防災拠点として機能するとともに,平常時は県民のスポーツ・レクリエーションの拠点となる。
本屋内テニス場は,延床面積約16,167m²の最大高さ22.85m,センターコート1面,サブコート8面,観客席1500席を備えた日本最大級の屋内テニス場である。鉄骨トラス構造の建物は,柱が1本もない斬新なデザインのドーム型となっており,豆のさやを伏せたような丸屋根の外観から「ビーンズドーム」という愛称で呼ばれている。(図1)また,天井に設けられた楕円の窓から多くの昼光を取り込んで,昼間は照明を点灯させずにテニスを楽しむことができる。(図2)(平成19年10月竣工)
2.照明計画
本施設の照明計画にあたっては,以下のようなコンセプトにて計画を行なった。
- レクリエーションレベルから公式競技レベルまで,幅広い照度設定ができること。(JIS Z 9120 屋外テニスコート及び屋外野球場の照明基準)
- 競技者に対して,グレアを軽減すること。
- 保守・メンテが,容易であること。
3.照明設備
3.1 設計照度
センターコートの照明は,公式競技レベル対応とし,維持平均照度で1000ℓx以上を確保している。また,サブコート(A~H)の照明は,一般競技レベルの維持平均照度で500ℓx以上を確保している。また,施設の運営状況に合わせて,レクリエーションレベルから公式競技レベルまで対応を可能にしている。(図3)
全点灯時の照度分布図を図4に示し,点灯パターン一覧を表1に示す。
点灯パターン | 器具 | ランプ | 台数 |
---|---|---|---|
公式競技レベル(1000ℓx) | 高天井灯(SAW712) | 高効率形メタルハライドランプ1kW(MF1000B/BH) | 188 |
投光器(H573D) | 高効率形メタルハライドランプ1kW(MF1000B/BU) | 80 | |
一般競技レベル(500ℓx) | 高天井灯(SAW712) | 高効率形メタルハライドランプ1kW(MF1000B/BH) | 124 |
投光器(H573D) | 高効率形メタルハライドランプ1kW(MF1000B/BU) | 48 | |
レクリエーションレベル(250ℓx) | 高天井灯(SAW712) | 高効率形メタルハライドランプ1kW(MF1000B/BH) | 70 |
投光器(H573D) | 高効率形メタルハライドランプ1kW(MF1000B/BU) | 24 |
3.2 照明設備の概要
照明設備は,ランプとして高効率形メタルハライドランプ1kWを使用し,照明器具は,楕円型キャットウォークの中央付近に高天井用照明器具,両先端に丸型投光器を使用し,光を端まで照射できるように2種類の照明器具を使い分けている。また,前面にはランプが直接見えない型押し強化ガラス(図5)にすることで,グレアの軽減を図っている。
競技用の主照明の他に,周囲の壁面は蛍光水銀ランプ400Wの投光器によってライトアップすることで,全体的な空間の明るさを向上させている。(図6)
3.3 太陽光発電
天井部に設けられた天窓には,太陽光パネル(図7)がはられて,最大電力20kWを発電することができ,照明設備等に電気を供給している。発電された電力は,訪れるプレーヤーやお客様に見て頂けるように,受付の後方で表示される。(図8)
4.おわりに
本施設は,三木総合防災公園内に当社で納入した陸上競技場(平成17年3月竣工)に続き,大型施設であり施設内でもシンボル的な存在になっている。今回の照明設備でも実績が増えてきている型押し強化ガラスを全照明に使用しており,これだけ大規模に採用された事例はなく,今後のスポーツ施設の参考になると考えられる。
最後に,三木総合防災公園屋内テニス場(ビーンズドーム)の照明設備の完成にあたり,ご指導,ご協力を頂きました全ての皆様に心よりお礼申し上げる。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第18号掲載記事に基づいて作成しました。
(2008年4月10日入稿)
納入事例
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