施設報告
城下町の照明設備
営業本部 西日本営業部 広島営業所 技術課
キーワード
津和野,城下町,景観,省エネ
1.はじめに
津和野は「つわぶき生い茂るの」をその名のルーツにもつといわれる地で,古くから城下町として栄えた(図1,図2)。明治22年の市町村制施行により津和野町が発足し,昭和22年に津和野町,小川村,畑追村,木部村の近隣4町村が合併,さらに平成17年,日原町と合併し現在の津和野町が誕生した。津和野は明治の文豪森鴎外や近代日本哲学の祖西周などの偉人を輩出した地としても有名である。本稿では,津和野町本通に設置された照明設備の概要について紹介する(図3,図4)。
2.照明設計
津和野町には,津和野城跡や嘉楽園など多くの名所・旧跡があり多くの観光客が,古くから城下町として栄えた町を楽しみに訪れる。津和野本通照明設備を設計するにあたっては,下記の点に留意した。
- 灯具・ポールのデザインは,城下町のイメージに合うものであること。
- 光源は町の雰囲気にあったやわらかいイメージに合うものであること。
- 省エネルギーであること。
- 周囲への漏れ光に配慮すること。
3.照明設備
灯具・ポールのデザインはデザインパースを作成し,津和野の景観にあうデザインを選定した。ランプはコンパクト形蛍光灯(EFD22W)の電球色を用いて,灯篭の自然な明るさをイメージさせる照明とした。周囲への漏れ光は,パンチングメタルの遮光板を器具に内蔵することで景観を損なわずに漏れ光を軽減した(図5,図6)。
4.おわりに
地方の小さな町や村では,夜間照明は防犯程度の照明があるだけのところが多くある。都市部では夜間に活動する人も多いので,防犯や交通安全の点からとても明るくしている。省エネや維持費の点から考えると明るくすることが必ずしも良いとは言えないが,景観照明が魅力ある町づくりにおおいに貢献できることを津和野本通の照明計画を通して改めて実感した。
今回の計画では,光量の大きいHIDランプではなくコンパクト形蛍光灯を使用することで,過剰な明るさをおさえ,やわらかな城下町のイメージと省エネを両立させることができた。この照明設備が津和野町をますます活性化させるきっかけになることを願っている。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第17号掲載記事に基づいて作成しました。
(2007年10月12日入稿)
納入事例
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