施設報告

住戸に隣接した緑化歩道の照明 - コンフォール上野台,コンフォール明神台 -

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キーワード

コンフォール上野台,コンフォール明神台,住戸,歩道,低位置ワイドスパン形歩道灯(cerca®),ソーラーLEDブロック

1.はじめに

上野台団地及び明神台団地は,UR都市機構(=独立行政法人都市再生機構;当時,日本住宅公団)が建設,管理するUR賃貸住宅(旧公団住宅)である。どちらも高度経済成長により住宅が不足していた1959年(昭和34年)に建てられたが,近年,老朽化が進んだことから,それぞれ建て替え事業が行なわれている。

上野台団地は,埼玉県ふじみ野市(2005年10月1日に上福岡市と入間郡大井町が合併して誕生)にあり,ほぼ同時に完成した市内の霞ヶ丘団地とともに「東洋一のマンモス団地」と呼ばれた大規模な団地である。今回,先行して着工していた第一期区画が「コンフォール上野台」として完成し,その外構整備のため平成18年3月に納入した照明設備を紹介する(図1)。

明神台団地は,神奈川県横浜市保土ヶ谷区の県立保土ヶ谷公園に隣接し,見晴らしの良い高台にある。今回,中央の第二期区画が「コンフォール明神台」として完成し,その外構整備のため平成18年2月に納入した照明設備を紹介する(図2)。

どちらの施設も東京近郊にありながら,木々の緑が豊かな住宅として,長い間,沢山の人々に馴れ親しまれてきた。今回の外構整備ではこうした地域性を大切に,地域の特長を活かし,また安全・安心にも配慮した,快適で魅力ある緑化空間形成が図られた。

図1 上野台の昼景

図2 明神台の昼景

2.照明設計

緑化空間形成の一環となる照明設備の設計においても,「住戸に隣接した緑化歩道の照明」として,「住戸への光害」や「高木による遮光のロス」を極力抑え,光(エネルギー)を効率良く利用する手法により,住戸・歩道・緑地を最適に包括した光環境形成を図った。

その担い手となる照明器具には,低い位置から歩行空間だけを効率良く照らすため,ヒューマンスケールで光学設計された2種類の低位置ワイドスパン形歩道灯(cerca-H™,cerca-L™,)を採用した(図3)。その光源には,高効率・高演色形セラミックメタルハライドランプ(セラルクス®,3200K)の拡散形を使用し,歩行部の広さや空間のデザイン性に合わせ,70W(cerca-H)と35W(cerca-L)を配灯することにより,以下を実現している。

  1. 住戸側への光漏れの大幅な抑制と歩道部への効率的な照射
  2. グレアを抑えた暖かみのある光による歩道の明るさの確保
  3. 高効率・高演色形セラミックメタルハライドランプ(セラルクス®)と高機能反射板の高効率要素の組合せによる省エネルギー化
  4. 低位置ワイドスパン化によるコスト削減と昼間の緑化景観との調和
  5. 高木に遮光されず視認性,誘導性の高い光環境

また,配線工事を必要とせず太陽光の自然エネルギーだけで発光する,インターロッキング形ソーラーLED(ソーラーLEDブロック,図3)を歩道の両側に一定間隔で配置することで,「歩行空間の視線誘導効果」と「癒しの演出」を省エネルギー・低コストで実現している。また,万一の災害による停電時に,暗闇の不安を和らげる効果を兼ね備えている。

図3 歩道灯およびソーラーLEDブロック姿図


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