施設報告
豊洲埠頭開発 照明設備工事
国内営業事業部 営業技術部 LCS
キーワード
豊洲埠頭,再開発,道路,歩道,交差点,デザイン,南雲勝志
1.はじめに
東京都江東区豊洲地区は,銀座から直線距離にして約4km圏内という交通至便の環境にあり,都心に隣接する新しい街として大規模な開発整備事業が進行中である。2006年(平成18年)3月には,東京臨海新交通「ゆりかもめ」が有明駅から豊洲駅まで延伸され,また臨海部広域幹線道路の一部開通に伴い,晴海と豊洲埠頭を結ぶ晴海大橋,豊洲埠頭と有明を結ぶ有明北橋も開通し,晴海・豊洲・有明方面への交通アクセスが一段と向上した。(図1)
豊洲埠頭には,築地の中央卸売市場の移転も計画されており,「ゆりかもめ」の新豊洲駅,市場前駅の開業を始め,街路,広場,橋梁,緑地などの先行する都市インフラ整備が順次進行している。「美しい街」を超え「触れてみたくなる街」をインフラストラクチュア・デザインの基本方針とし,豊洲埠頭の豊かなランドスケープと煉瓦,鉄,コンクリート,ガラスなど,明治を境に大幅に導入された近代的な素材を多用した質感のあるデザインを融合させ,未来に向けて魅力的な街づくりが行なわれている。埠頭内の照明柱は,ナグモデザイン事務所の「南雲勝志」氏がデザインを行なった。鋳鉄の質感を生かした仕上がりとするなど,豊洲埠頭および対岸地域の歴史を象徴する素材が積極的に使用されている。
2.基本方針
2.1 照明の配置
地区全体のイメージをつくりだすために,照明デザインは全ての路線において統一している。
2.2 道路照明デザインコンセプト
道路照明は,トラス柱と鋳鉄の基壇を組み合わせた鉄の照明柱を採用した。質感を感じさせるスチールを使用する一方で,そのディテールには新しい施工技術を施している。基壇部を鋳物とすることによって歩行者に温かみのある鋳鉄の味わいを体感させると共に,構造上の役割や登攀防止の役割もある。上部はトラスとすることにより照明を風景に溶け込ませている。すなわち自然と空に消えていくような形状は,水際都市の明るさにふさわしく,連続したときに柱としての嫌みがないよう景観に配慮している。この二つの部分の組合せにより優しい印象の新しい照明柱とするのだが,同時にトラスも鋳鉄も,火と鉄が主役であった明治以来の豊洲の記憶を引き継ぐものである。(図2)
2.3 歩道照明デザインコンセプト
歩道照明は,車道照明から分離して配置し,行灯型の灯具が楽しく親しみのあるデザインとしている。歩行者の目線に近い基壇部は,鋳物とすることによって歩行者に温かみのある鋳鉄の味わいを体感させる仕上げとしている。(図3)
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